桜で奏よう

ノーネーム

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第二章

桜の木の少女

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 僕は先日彼女に振られた。
「はぁ、」今は授業中だが、振られたせいか、驚くほど授業に集中できない。頭いっぱいに彼女、いや、元カノのカナデの事で頭がいっぱいだ。互いに好きなまま別れたせいか、彼女は今何をしているだろう。彼女は僕の事を考えていてくれているだろうかと考えてしまう。
 ざわざわと教室内に賑やかな雰囲気が戻ってきた。やっと1限目の授業が終わった事に気づいた。
 どうせ授業を受けても上の空だし「帰るか」と僕はカバンを手に取った。廊下に出ると周りからは変な目で見られる。だが僕はそれを気にせずそのまま家までの帰路を辿る。
 帰路の途中で気晴らしの為に僕のお気に入りの場所に行く事にした。
 そのお気に入りの場所は一本だけ大きな桜の木がある。この桜の木は1000年も前からあると言われている。その木の近くに1人の少女がいた。その少女は黒髪ロングで綺麗な顔立ちをしていた。僕がその少女の近くに座ると少女が
「どうしたの、こんな時間に人が来るなんて珍しいね。なんか、表情が暗いけどなんかあった?辛い事があったなら私が聞くよ」
と少女が僕に話しかけてきた。
「実は僕、彼女に先日振られたんです。それで気晴らしのために学校をサボってここに来たんです」
「そんな事があったんですか。その彼女とは何年くらい付き合ったんですか?」
「3年くらいです」
「その彼女にはなんで振られたのかしら?」
「それが、振った理由を教えれば貴方が傷付くと言って教えてくれなかったんです。どうして振ったのか分からない所為か、ずっと彼女の事を考えてしまうんです。どうすれば良いと思いますか?考えても、考えても自分がどうすればいいか分からないんです。振られてからずっと心に穴が空いたような、この感覚が嫌なんです。どうすればいいですか?」
と、この少女に、こんな事言っても意味が無いのに、一度話したら、自分の感情を止める事ができなくなってしまった。
「貴方はその彼女を本気で愛していたんですね。それなら貴方のその気持ちを彼女に本気でぶつければ、彼女が貴方を振った理由を教えてくれるはずです。その内容がどれだけ貴方を傷付ける内容だとしても、聞く事で、今の貴方を確実に一歩前進させます。なので、その思いを彼女にぶつけてみてください。これを明日にでもやってみてください」
「ありがとうございます。こんな見ず知らずの僕にアドバイスをくれて」
「お礼なんて良いわよ、私はそろっと帰るわ」
「今日はありがとうございました」
「ちょっと待って貴方の名前なんて言うの?
私の名前は春風サクラよ」
「僕の名前は神木ハヤテです」
「ハヤテね。今日はありがとう。また今度会えるのを楽しみにしてるよ」

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