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マンホールの向こうは…
村からまた森へ!
しおりを挟む「……すげぇ…まじでぴったし…」
マニ君が用意してくれた村人の服を着てみれば、サイズが合っている事に驚愕…
…これ、純粋にすごくない?
「…まっ…まぁ、せっかく用意してもらえたんだし…あんま気にしないでおこう……なんでサイズの把握ができてるかこわっ…気になるけど…」
もしかしたら、そういった才能や、異世界特有のスキルを持っているだけかもしれないしな…
…さて、気分を入れ直してっ…
「じゃぁ、マニ君。行こっか」
「にっ!」
そうして、異世界に来てから初めて…
初期位置から動き出したのだった。
◇◇◇◇◇◇
森の中はみんな同じような木々ばかり…
俺1人なら迷ってしまいそうになるが…マニ君が先陣を切って歩いてくれるからすごい楽だ…
ほんと、マニ君には感謝しかないな…
そんなことをしみじみ噛み締めていると、ようやくガヤガヤと、久々に聞く賑やかな音が聞こえてきた。
どうやら、村についたみたいだ。
「…案外近くだったな…」
決して少ない距離ではないとはいえ、1日もかからない場所に村が広がっていた。
「…開拓村ってやつか?」
じーと村の様子を側から眺めれば、簡単な作りの家が多い。
それに、周りには森の木を切った後や、急ごしらえの柵…後はかっこいい武器や防具を持った人がそれなりにいた。
「にっ!」
マニ君は俺の手を引いて村に連れて行こうとする。
「わかったわかったっ」
変に側から眺めていれば不審者と間違われてしまうかもしれないし…
俺は意を決して、村の中に入って行った。
◇◇◇◇◇◇
村の中は賑やかで、活気にあふれていた。
商人らしき人たちも、商売魂たくましく声を出して客寄せしてるし…まぁ言葉はわからないんだけど…
「にっ!にっ!」
マニ君は人混みに慣れているようで、俺の手を引きながらどんどん進んでいった。
…マニ君はこの村にいる子なんだろうか…?
「…マニ君っ、マニ君っ」
「…にっ?」
「…えーと……なんか絵を描ける場所は…」
俺は道の端に移動すれば、絵を描き始めた。
とりあえず、これからどうしたものか悩んでいることを伝えてみた。
村に来てみれば何とかなると思っていたが、そもそも何をどうするのかなんて決めてなかった…
「…にぃぃ…」
「…これは…」
意図が伝わったのか、マニ君は悩むそぶりを見せた後、ある建物を描き始めた。
どうやら、これはギルドみたいだ。
モンスターとかなんか探したりとかしてお金らしきものを稼ぐ絵を書いてるし……まぁ…開拓村にかっこいい装備とくれば、ギルドくらいあってもおかしくないよな…
……だが、問題もある。
そもそも俺は戦える気がしないんだが…
剣道とかそんな武術なんて…学校で昔に柔道とかしたことあるけどもう忘れたしな…
「にっ!」
戦えないかもしれない事を伝えてみると、意外にもマニ君が任せろと言わんばかりに胸を張っていた。
…えっ…マニ君戦えるのっ?
「…そういや…森の中でいた俺を見つけたのはマニ君だったし……それなりに戦えるってことなのか…?」
…そんな戦えて、飯まで用意してくれてるマニ君にちんぽ舐めさせてる俺って最低じゃね?…いやまぁ、マニ君から求めては来ているんだけれども…
「…ごめんね、頼りにさせてもらうよ」
かなり迷ったけど…
そもそも、マニ君に頼る以外俺は何もできないしな…
「まにに!」
任せてと言わんばかりに胸を張るマニ君がすごいたくましく見えた。
◇◇◇◇◇◇
マニ君に案内されてギルドらしき建物についた。
木造の建築で、中はかなり広い。
左手には受付らしき場所があり、奥には専用の道具屋みたいな場所もあった。
中央では色々な防具や武器を持った人達が宴会をしたり、情報交換をしていた。
「…まじで、ファンタジーって感じだな…」
あまりにも、典型的なギルド内の様子を見て内心胸を昂らせる。
「まににー」
俺が感動している中、マニ君が服を引っ張り、受付の前まで連れて行った。
受付嬢さんは、俺を見てにっこり笑うと、紙に絵を描いて見せてくれた。
どうやら、マニ君から言葉が通じず絵でしか会話できない事を聞いたみたいだ。
描かれた絵をみて、俺は何となく理解した。
どうやらギルドとしての簡単な説明だ。
クエストを受ける際はクエストボードに貼り付けてある紙を持って受付に来ること。
成功すれば報酬がもらえて、失敗すれば報酬は無し。
ランクごとに分かれており、現ランクより高いクエストは受けられない…ちなみに最初はFランクからのようだ。
ギルド内の設備は自由に使用可能、もちろん食事なんかはお金がいる。
予想外の事があった場合は、すぐにギルドに報告する事。
まだ他にも細々としたルールがあるみたいだけど、大まかにはそんな感じだった。
てか、受付嬢さん慣れてらっしゃる…
やっぱり、言葉が通じない相手とかざらにいるんだろうか…?
「らららっ」
受付嬢さんは、不思議な球を差し出してきた。
何だこれ…?
…何々……ステータスを測る装置って感じか…
ん…念じればいいのか?
どうやら、この球を使ってステータスを可視化するみたいだが…念じるだけなのか…
試しに手に持ち、どんなステータスか見せてくれっと念じてみた。
すると…
「…ららっ…ららららっ…」
受付嬢さんが困惑した表情を受けべている…
まさかっ…俗に言うチートイベントが俺にもっ!?
「あー…まにににぃ…」
…マニ君?
何で、そんな苦笑いなの…?
…まさか…?
「ら…ららら…」
受付嬢さんが絵を描き始めた。
…えーと……これは強さのランクみたいなやつか…?
…平均より結構下かぁ…まじかぁ…
それに、いくつかスキルがあるみたいだけど……えっ…こ…壊れてるっ?…なんで?
どうやら俺には複数スキルがあるみたいだがほとんど壊れて使う事ができないらしい…
道具作成っていうスキルは壊れていないらしいが……えぇ…
何で壊れているのか確認してみるがわからないとのこと。
…俺が異世界転生をしたからなのだろうか…
「ににっににに!」
必死に励まそうとしてくれるマニ君…やっぱり天使だよ…
◇◇◇◇◇◇
とりあえず、落ち込んでいても仕方ないので、受付嬢さんに良いクエストは無いか聞いてみた。
本来なら自分で確認してくるべきなんだろうけど……俺の状態を理解してくれていたため、その場で探してくれた。
選んでくれたクエストは、薬草の採取作業だ。
どうやら、あの森にまた入って探してくる必要があるみたいだな…
それに、このクエストが達成できれば宿屋代も大丈夫とのことだ、やるしかないよなこれは。
ってわけで、俺たちはすぐに森に向かったんだが…
「…待てよ…薬草ってどれだ?」
根本的な問題に直面した。
そもそも何が薬草かわからない…
「…まにぃ」
マニ君はどれかわかるみたいだけど、絵で俺に伝えるのは無理なようだ…
どうやら、花が咲いているみたいだが…色とか具代的な場所とかがわからない…
「…マニ君に探してもらって、俺が荷物運びをするか…」
本当なら2人で探した方が効率がいいが…
…いや、無理な事を言っても仕方ないよな…とりあえず、今はサポートで回って勉強しながら、徐々に自分でもできるようにするのが1番だな…
毒草とか拾ったら洒落にならんし…
「まににぃ~!!」
早速見つけたのか、マニ君の元気の良い声が響いた。
…若いっていいなぁ…
まだ若いだろって言われそうだけど…自分より年下な子が元気に走り回ってるのをみるとどうしても思っちまうなぁ…これ…
「にっ!にっ!」
マニ君はマニ君で絶好調みたいだ。
やり慣れてるのか、マニ君は流れるように薬草ばかり集めていく。
すでにマニ君のそばにはたくさんの薬草らしきものが…
…見た目はたんぽぽみたいだな…なるほど、これが薬草なのか…
「ににっ!」
終わったよ!という表情。
…マニ君相手なら言葉が通じなくても表情でわかるから助かるわぁ……あっ、そうじゃないそうじゃないっ
「マニ君、お疲れ様。いっぱいとったね」
「ににぃぃ~♡」
優しく頭を撫でてあげれば、すりすり頭を擦り付けながら嬉しそうに顔をとろけさせる。
…頭を撫でてあげるだけでこの喜びよう…変な人についていかないか心配だよ…
「…さて、これ持って帰ろう…ん?」
マニ君が集めた薬草の束を持ち上げようとした時、離れた木のそばに何やら光るものが…
「…ん…何だこれ?」
「…ににぃ?」
近寄って拾い上げれば、見たことないハート型の果実。
よく育っているなと感心してしまうが、そばの木を見てもそれらしい実はつけていなかった。
…モンスターとかが運んできたのだろうか…?
「ににっ?」
マニ君も不思議そうに果実を見ている。
どうやら何の実かわからないみたいだ。
「…とりあえず、形はいいし…持って帰る?」
「…にっ」
珍しい実なら売れるかもって考えた俺は持ち帰ることに決めた。
「………」
その様子を見つめる存在がいることに気づかずに…
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