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始まりの異世界
新しい出会い【その2】
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俺達はリモに案内され森の中を歩き、小さな山岳の道を歩いていた。
まだ誰に会うのかすら話を聞いていないんだが…どこに向かってるんだろうか…?
「なぁ。結構移動したが…どこに向かってるんだ?」
まだ聞いていなかった目的地について、リモに問いかけた。
「ミノタウロス族のところだ」
「へぇ…ミノタウ…ミノタウロスッ!?」
俺は驚愕のあまり、大声を上げた。
いやっ、だってミノタウロスだぞ!?
ファンタジー物をかじったならば知らぬはずがない有名な存在だぞ!?
ラビリンスの守護神と言われるほど有名な牛頭の大男。
そんな存在に会いに行くとか、正気かっ!?ってなるわ!?
えっ…?
マジなの?
ワクワク半分恐怖半分なんだけどっ…!?
「だ…大丈夫なのか?いきなり攻撃されるとか」
獰猛…本当かはわからないが、基本敵対関係している位置に多い設定だからな。
「…否定はできんが、いきなりは彼らとて、余程のことがない限りないとは思うぞ?」
「…まぁいきなり襲われないなら…でも、ミノタウロスかぁ…どれくらい大きいんだろうか…」
「…大きい?…何がだ?」
「何がって…体の大きさだよ」
「……何か勘違いしておるようだな…まぁミノタウロスは戦闘能力が高いのは事実だ…だが、大きさは…」
「あれぇ~あそこに誰かいるよ~」
とスラミーがゆびをさす。
そこには、木の下敷きになった男の子がいた。
…いやっ!?えッ!?。
「ちょッ!?。おいっ大丈夫かっ!?」
慌てて近寄り、無事かを確認する。
いや、下敷きの時点で無事じゃないんだが…
見える限りじゃ怪我はないみたいだけど…この体に巨大な倒木…体の内側とかにダメージがあるかもしれない。
そう考えながら、とりあえずどう木をどかすかを考えていると…
「ん…あれ…だれ、あんたら?」
気絶していたのか、目を開けてこちらを見ると不思議像に問いかけてきた。
いや、問いかけたいのはこっちだこっち。
何で、平然と話してるの?
「…いや、君が木の下敷きになってたから…」
「ん…あぁ、いけねっ。木を伐採してる最中に落ちてきた硬い木の実に頭ぶつけて気絶したんだったわ…悪りぃね旅の人。心配させちまったようで」
まるで、どじっちゃった的な感覚で話をする少年。
いや…なんか違うだろう…なんか…
「…相変わらずだな…お主は」
俺が戸惑う中、下敷きの少年に対して、リモは話しかけた。
あれ、知り合い?
「ん…おぉっ、リモじゃん!。珍しいな、誰かといるなんてっ」
知り合いみたいだ。
「…まぁいろいろあってな…少し付き合ってる」
「そうかそうかぁ…ようやく誰かと関わるようにしたのかよっ」
「違う…とは言い切れんな…ひとまず、コウヨウを主にした集団ならばぐらいだ」
「コウヨウ?」
誰って感じてこっちを見てきた。
いや、まぁ初対面だから仕方ないんだが…
「ひ…日向紅葉と言います…」
「おぅ。俺はモールスってんだ、よろしくなっ!」
にかっと笑みを浮かべる少年。
木の下敷きになってなければ、元気な少年の凄い明るい笑顔なんだがなぁ…
あれぇ?
「…あの…今更なんですが、大丈夫ですか?」
「ん、何がだ?」
「…いや、何がって…」
「心配などいらんぞ、コウヨウ。モールス、コウヨウは木の下敷きになっておるのを心配している。はやく“どかすなり”しろ」
「あっなるほど。そういうことか…よっと!」
納得したのか、少年は頷くと片手でヒョイっと乗っかっていた倒木を持ち上げた。
…嘘だろ?
少年の何倍もある大きさの木だよ?
「……」
「…コウヨウよ、知らんから知らないとは思うが…コレがミノタウロスだ」
「マジかよ…」
立ち上がった褐色肌の少年をよくみてみる。
あんな細い腕のどこにあんな馬鹿力が眠っているのか…
いわゆるアレか?
圧縮に圧縮された筋肉だから細いように見えるってやつか?
なら確かに、すらりとした腕や足は無駄ないというか…健康体なのが丸わかり…しかも、褐色肌なのも相まって艶かしい感じもする…
さらには、頭に小さな角らしき突起があった…
「……」
意外すぎる現実を前に固まってしまう。
「んーで、何でリモ達はここにいんだよっ?」
背伸びをしながら、問いかけるモールス。
「お主に会いにきたんだ。用があるのはそこのコウヨウだがな」
くいくいっと指を向けるリモ。
まぁ、その通りだけども…彼に会いに行こうと考えたのは君なんだけど?
「あっそうなの?。ならウチで話すか」
◇◇◇◇◇◇
呆気に取られながらも案内された…ミノタウルスの集落…
しかも、ミノタウロス族の長たる村長宅に…
「乾杯ー!」
と元気よく、なぜか渡された飲み物の容器を持ちながら、モールスは叫んだ。
いやいや、宴会じゃないんだから…
「乾杯~」
スラミーはいつもからのほほんとしているためか、すぐノリに合わせることができたようだが…俺とリモには無理だった。
てか、リモの場合はそもそもそういった性格じゃないからな…
ある意味、俺だけ取り残されたような感じだな…
「…」
「なんだよ~、ノリ悪いなぁ」
「いや…いきなりすぎて何が何だかで…えと…とりあえずモールスさん…あなたが村長?」
1番驚いてるのはそこでもあった。
「おう!」
まじかよぉ…
ミノタウロスがイメージとは異なるのは百歩譲っていいとしても、その長が何で木の下敷きになって寝てるんだろうか…
「てか、なんか用があったんだろ。なんだよ?」
グビグビと飲み食いしながら聞いてきた。
「あ…えと…実はですね…」
とりあえず、来た目的を伝え始めた。
「…なるほどなるほど…だからノリがいいスライムとリモが一緒だったわけか…」
よかったぁ…
あまり説明がうまくできないのと、ミノタウロスは武闘派なイメージがあったから話がこじれると思ってたけど…ちゃんと理解してくれたみたいだ…
「まぁ…偶然なんですが…」
「…まぁ、偶然なんてよくある話だ。…にしても異世界人ねぇ……古い話の中では聞いたことあったけど…まさかお目にかかれるなんてなぁ…本当に本物?」
「…疑うのも無理はないが、本物だ…出なければ、我がついていないし、スライムもここまで懐かない」
「確かに…異世界人の噂が本当なら、スライムだけじゃなく、堅物なリモが懐くのもわかるってもんだ」
小さく、頷くように認めるモールス。
どうやらリモほどではないが、モールスも異世界人については知っているようだ。
「しっかし、またとんでもない話を持ってきたなぁ……要するに、異世界人のコンパクをモンスターに与えて、質の良い生産物を作ろうって話だろ?」
「まぁ…簡単にまとめるとそうですね」
「んで、俺らに声をかけに来たと」
「はい…といっても、リモからの案なので、皆さん…ミノタウロス族がどんなことができるかわかってないんですが…」
「…ふむふむ…なるほどなるほど…そういうとこは相変わらずだなぁ、リモ……確かに俺らを取り込めりゃ、目的の物を大量に作れるだろうし、力関係だっていい感じに調整可能だしな…そりゃ、声をかけない方がおかしいよな…」
と腕を組みながら、考えるモールス。
…やはり、いきなりすぎただろうか?
なんせ、悪く言えば良い餌を与えてやるから作れって言われてるのと変わらないだろうし…
別にそんなつもりはないんだけど…やっぱりここは、ミノタウロス族が温和だって分かっただけでもよしとして
「…よしっ、面白そうだから手伝ってやるよ!」
「はぁ……えッ!?いいんですか!?」
まさかの乗り気な姿勢に思わず驚く。
さっきまで、何か気難しそうな雰囲気だったじゃんっ!?
流石にダメかと思ったよっ!?
「断る理由がない…と言えば嘘になるがなぁ。参加しておいた方が良いかなって思ったまでだっ」
にっと、八重歯を見せながらの笑顔。
どうやらいろんな意味がありそうだけど…彼が考えられる限りのことを考慮して決めたみたい…
さすが、ミノタウロスの長というべきか…肝がデカイ。
「これで牧場はひとまず用意できたな」
と、少し安堵したリモが呟いた。
「…牧場…」
「何だ、コウヨウ?」
「いや、ちょっと言葉が引っかかったっていうかな…」
「ん…だが、間違ってはいないだろう?」
確かに…
モンスター牧場という言葉があってそうな気もするんだけど…でもなぁ…
ほら、家畜扱いみたいじゃん?
みんなを。
「…なんか、牧場って…みんなを家畜扱いみたいな感じがするから嫌かなぁ…」
「まぁ…俺らも良い気はしないが…だが、気持ちはどうあれ結果として言葉的には適切じゃないか?」
「……あくまで、俺が協力を申し出てるわけだし…やっぱり、対等っていうか……まぁその、仲間みたいな物なんだから対等にいたいじゃん?。だから、牧場って言葉は無し!」
せっかく協力してくれてるのに…
まぁ、イメージの問題だけど、やっぱり気持ちとして、牧場って言い方はしたくないかなぁって…
そんなふうに考えていることを伝えてみた。
当然、皆呆気に取られて…
「……はっはっはっは!!。いいねぇいいねぇっ!、あんた気に入ったよ!」
なぜか、モールスに好かれた。
てか抱きつかないでっ///
あなた結構全裸に近いんだからッ!///
「…異世界人らしい発想というのかの…」
とリモはさらに腕に引っ付いてきた。
あれ?
ここでさらに甘えですか?
「コウヨウ~♡」
とスラミーはリモと反対側に抱きついては首筋に顔を埋めてキスをしてくる。
…え…どしたの…いったい…
と状況を理解できていない俺。
いきなり、自分の考えを伝えただけでここまで好かれたら戸惑わずにいられなかった。
…後から知ることだが、異世界には異世界なりの事情があり、彼らに対する現状がある。
もちろん、悪い意味で…
そんな中、コウヨウは彼らと対等にいたいという考えを示したのだ。
もちろん、コウヨウのコンパクにひかれたというのもある。
とくにスラミーやリモはそっち側に近い。
対してモールスは、コンパクに興味もあるが、参加することで自分たちにも利益があるから話に乗っかった側だ。
それぞれの思惑があるように、紅葉もそういった考えがあるものだと考えていた。
だって彼がその気になれば、コンパクの力を使えば無理矢理にでも自分達を支配できるのだから…
家畜のような扱いも十分にあり得ると、少なくともモールスは考えていた。
ある程度までなら許容する覚悟すらあった。
しかし、コウヨウはちゃんと対等な関係を築きたいと言ったのだ。
その言葉が本当なのかについては、普段から探り探り…他者の考えを読みながら生きてきた彼らが本当だと判断するに足り得る何かがあった。
そんな、彼に対して好感を示さないはずはない。
「せっかくだっ、コウヨウっ。お前のコンパクを味合わせてくれよッ…!」
「…え?」
いきなりのモールスの言葉に俺は戸惑う。
「ぁぁ~いいねいいねぇ~♡」
と乗り気なスラミー。
まぁ、スラミーはいつも通りだな。
「残念だがだーめっ。親睦を深める意味もあるから俺とコウヨウだけだ!。もちろん、リモも不参加だぞ?」
「…我は別に構わん」
と、どこか残念そうなリモ。
だが、スラミーはそう簡単に納得して諦めるなんてしまい。
「ぶぅ~ならぁ、リモに構ってもらうもーん」
「それは拒否を入れたいのだが…きかんよな…あっ♡」
スラミーに体を弄られ、タマタマをいじられればリモの喘ぎ声がでだした。
「いやいやッちょッ…!!?」
「それじゃぁ早速行くぞ~!」
「あっおいっ!話を聞けってっ!おーい!?」
「行ってらっしゃーい」
「いくぅっ!!いくぅぅぅぅううう!!?♡♡♡♡♡♡」
モールスに担がれた俺はそのまま、(一方的にスラミーが)じゃれあう2人に見送られながら、寝室に運ばれるのだった。
まだ誰に会うのかすら話を聞いていないんだが…どこに向かってるんだろうか…?
「なぁ。結構移動したが…どこに向かってるんだ?」
まだ聞いていなかった目的地について、リモに問いかけた。
「ミノタウロス族のところだ」
「へぇ…ミノタウ…ミノタウロスッ!?」
俺は驚愕のあまり、大声を上げた。
いやっ、だってミノタウロスだぞ!?
ファンタジー物をかじったならば知らぬはずがない有名な存在だぞ!?
ラビリンスの守護神と言われるほど有名な牛頭の大男。
そんな存在に会いに行くとか、正気かっ!?ってなるわ!?
えっ…?
マジなの?
ワクワク半分恐怖半分なんだけどっ…!?
「だ…大丈夫なのか?いきなり攻撃されるとか」
獰猛…本当かはわからないが、基本敵対関係している位置に多い設定だからな。
「…否定はできんが、いきなりは彼らとて、余程のことがない限りないとは思うぞ?」
「…まぁいきなり襲われないなら…でも、ミノタウロスかぁ…どれくらい大きいんだろうか…」
「…大きい?…何がだ?」
「何がって…体の大きさだよ」
「……何か勘違いしておるようだな…まぁミノタウロスは戦闘能力が高いのは事実だ…だが、大きさは…」
「あれぇ~あそこに誰かいるよ~」
とスラミーがゆびをさす。
そこには、木の下敷きになった男の子がいた。
…いやっ!?えッ!?。
「ちょッ!?。おいっ大丈夫かっ!?」
慌てて近寄り、無事かを確認する。
いや、下敷きの時点で無事じゃないんだが…
見える限りじゃ怪我はないみたいだけど…この体に巨大な倒木…体の内側とかにダメージがあるかもしれない。
そう考えながら、とりあえずどう木をどかすかを考えていると…
「ん…あれ…だれ、あんたら?」
気絶していたのか、目を開けてこちらを見ると不思議像に問いかけてきた。
いや、問いかけたいのはこっちだこっち。
何で、平然と話してるの?
「…いや、君が木の下敷きになってたから…」
「ん…あぁ、いけねっ。木を伐採してる最中に落ちてきた硬い木の実に頭ぶつけて気絶したんだったわ…悪りぃね旅の人。心配させちまったようで」
まるで、どじっちゃった的な感覚で話をする少年。
いや…なんか違うだろう…なんか…
「…相変わらずだな…お主は」
俺が戸惑う中、下敷きの少年に対して、リモは話しかけた。
あれ、知り合い?
「ん…おぉっ、リモじゃん!。珍しいな、誰かといるなんてっ」
知り合いみたいだ。
「…まぁいろいろあってな…少し付き合ってる」
「そうかそうかぁ…ようやく誰かと関わるようにしたのかよっ」
「違う…とは言い切れんな…ひとまず、コウヨウを主にした集団ならばぐらいだ」
「コウヨウ?」
誰って感じてこっちを見てきた。
いや、まぁ初対面だから仕方ないんだが…
「ひ…日向紅葉と言います…」
「おぅ。俺はモールスってんだ、よろしくなっ!」
にかっと笑みを浮かべる少年。
木の下敷きになってなければ、元気な少年の凄い明るい笑顔なんだがなぁ…
あれぇ?
「…あの…今更なんですが、大丈夫ですか?」
「ん、何がだ?」
「…いや、何がって…」
「心配などいらんぞ、コウヨウ。モールス、コウヨウは木の下敷きになっておるのを心配している。はやく“どかすなり”しろ」
「あっなるほど。そういうことか…よっと!」
納得したのか、少年は頷くと片手でヒョイっと乗っかっていた倒木を持ち上げた。
…嘘だろ?
少年の何倍もある大きさの木だよ?
「……」
「…コウヨウよ、知らんから知らないとは思うが…コレがミノタウロスだ」
「マジかよ…」
立ち上がった褐色肌の少年をよくみてみる。
あんな細い腕のどこにあんな馬鹿力が眠っているのか…
いわゆるアレか?
圧縮に圧縮された筋肉だから細いように見えるってやつか?
なら確かに、すらりとした腕や足は無駄ないというか…健康体なのが丸わかり…しかも、褐色肌なのも相まって艶かしい感じもする…
さらには、頭に小さな角らしき突起があった…
「……」
意外すぎる現実を前に固まってしまう。
「んーで、何でリモ達はここにいんだよっ?」
背伸びをしながら、問いかけるモールス。
「お主に会いにきたんだ。用があるのはそこのコウヨウだがな」
くいくいっと指を向けるリモ。
まぁ、その通りだけども…彼に会いに行こうと考えたのは君なんだけど?
「あっそうなの?。ならウチで話すか」
◇◇◇◇◇◇
呆気に取られながらも案内された…ミノタウルスの集落…
しかも、ミノタウロス族の長たる村長宅に…
「乾杯ー!」
と元気よく、なぜか渡された飲み物の容器を持ちながら、モールスは叫んだ。
いやいや、宴会じゃないんだから…
「乾杯~」
スラミーはいつもからのほほんとしているためか、すぐノリに合わせることができたようだが…俺とリモには無理だった。
てか、リモの場合はそもそもそういった性格じゃないからな…
ある意味、俺だけ取り残されたような感じだな…
「…」
「なんだよ~、ノリ悪いなぁ」
「いや…いきなりすぎて何が何だかで…えと…とりあえずモールスさん…あなたが村長?」
1番驚いてるのはそこでもあった。
「おう!」
まじかよぉ…
ミノタウロスがイメージとは異なるのは百歩譲っていいとしても、その長が何で木の下敷きになって寝てるんだろうか…
「てか、なんか用があったんだろ。なんだよ?」
グビグビと飲み食いしながら聞いてきた。
「あ…えと…実はですね…」
とりあえず、来た目的を伝え始めた。
「…なるほどなるほど…だからノリがいいスライムとリモが一緒だったわけか…」
よかったぁ…
あまり説明がうまくできないのと、ミノタウロスは武闘派なイメージがあったから話がこじれると思ってたけど…ちゃんと理解してくれたみたいだ…
「まぁ…偶然なんですが…」
「…まぁ、偶然なんてよくある話だ。…にしても異世界人ねぇ……古い話の中では聞いたことあったけど…まさかお目にかかれるなんてなぁ…本当に本物?」
「…疑うのも無理はないが、本物だ…出なければ、我がついていないし、スライムもここまで懐かない」
「確かに…異世界人の噂が本当なら、スライムだけじゃなく、堅物なリモが懐くのもわかるってもんだ」
小さく、頷くように認めるモールス。
どうやらリモほどではないが、モールスも異世界人については知っているようだ。
「しっかし、またとんでもない話を持ってきたなぁ……要するに、異世界人のコンパクをモンスターに与えて、質の良い生産物を作ろうって話だろ?」
「まぁ…簡単にまとめるとそうですね」
「んで、俺らに声をかけに来たと」
「はい…といっても、リモからの案なので、皆さん…ミノタウロス族がどんなことができるかわかってないんですが…」
「…ふむふむ…なるほどなるほど…そういうとこは相変わらずだなぁ、リモ……確かに俺らを取り込めりゃ、目的の物を大量に作れるだろうし、力関係だっていい感じに調整可能だしな…そりゃ、声をかけない方がおかしいよな…」
と腕を組みながら、考えるモールス。
…やはり、いきなりすぎただろうか?
なんせ、悪く言えば良い餌を与えてやるから作れって言われてるのと変わらないだろうし…
別にそんなつもりはないんだけど…やっぱりここは、ミノタウロス族が温和だって分かっただけでもよしとして
「…よしっ、面白そうだから手伝ってやるよ!」
「はぁ……えッ!?いいんですか!?」
まさかの乗り気な姿勢に思わず驚く。
さっきまで、何か気難しそうな雰囲気だったじゃんっ!?
流石にダメかと思ったよっ!?
「断る理由がない…と言えば嘘になるがなぁ。参加しておいた方が良いかなって思ったまでだっ」
にっと、八重歯を見せながらの笑顔。
どうやらいろんな意味がありそうだけど…彼が考えられる限りのことを考慮して決めたみたい…
さすが、ミノタウロスの長というべきか…肝がデカイ。
「これで牧場はひとまず用意できたな」
と、少し安堵したリモが呟いた。
「…牧場…」
「何だ、コウヨウ?」
「いや、ちょっと言葉が引っかかったっていうかな…」
「ん…だが、間違ってはいないだろう?」
確かに…
モンスター牧場という言葉があってそうな気もするんだけど…でもなぁ…
ほら、家畜扱いみたいじゃん?
みんなを。
「…なんか、牧場って…みんなを家畜扱いみたいな感じがするから嫌かなぁ…」
「まぁ…俺らも良い気はしないが…だが、気持ちはどうあれ結果として言葉的には適切じゃないか?」
「……あくまで、俺が協力を申し出てるわけだし…やっぱり、対等っていうか……まぁその、仲間みたいな物なんだから対等にいたいじゃん?。だから、牧場って言葉は無し!」
せっかく協力してくれてるのに…
まぁ、イメージの問題だけど、やっぱり気持ちとして、牧場って言い方はしたくないかなぁって…
そんなふうに考えていることを伝えてみた。
当然、皆呆気に取られて…
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ここでさらに甘えですか?
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…え…どしたの…いったい…
と状況を理解できていない俺。
いきなり、自分の考えを伝えただけでここまで好かれたら戸惑わずにいられなかった。
…後から知ることだが、異世界には異世界なりの事情があり、彼らに対する現状がある。
もちろん、悪い意味で…
そんな中、コウヨウは彼らと対等にいたいという考えを示したのだ。
もちろん、コウヨウのコンパクにひかれたというのもある。
とくにスラミーやリモはそっち側に近い。
対してモールスは、コンパクに興味もあるが、参加することで自分たちにも利益があるから話に乗っかった側だ。
それぞれの思惑があるように、紅葉もそういった考えがあるものだと考えていた。
だって彼がその気になれば、コンパクの力を使えば無理矢理にでも自分達を支配できるのだから…
家畜のような扱いも十分にあり得ると、少なくともモールスは考えていた。
ある程度までなら許容する覚悟すらあった。
しかし、コウヨウはちゃんと対等な関係を築きたいと言ったのだ。
その言葉が本当なのかについては、普段から探り探り…他者の考えを読みながら生きてきた彼らが本当だと判断するに足り得る何かがあった。
そんな、彼に対して好感を示さないはずはない。
「せっかくだっ、コウヨウっ。お前のコンパクを味合わせてくれよッ…!」
「…え?」
いきなりのモールスの言葉に俺は戸惑う。
「ぁぁ~いいねいいねぇ~♡」
と乗り気なスラミー。
まぁ、スラミーはいつも通りだな。
「残念だがだーめっ。親睦を深める意味もあるから俺とコウヨウだけだ!。もちろん、リモも不参加だぞ?」
「…我は別に構わん」
と、どこか残念そうなリモ。
だが、スラミーはそう簡単に納得して諦めるなんてしまい。
「ぶぅ~ならぁ、リモに構ってもらうもーん」
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