無関係の相談屋〜平民、貴族、王族関係無い。相談したいことがあるなら話に来い〜

クレアンの物書き

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1つ目の国内

第三の相談:鍛冶屋の悩み(相談編3)

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「いやぁ~、良い出来だったねぇ」


「うむ、クリームがしっかりとしていて、口の中で広がる甘さがなんとも言えんかったなっ!」


ケーキを食べ終えた俺たちは感想を言い合いながら歩いてます。


どうやら、ケーキを食べて活力が戻ったようですねぇ…よかったよかった。


「同じ店でも“鍛冶屋”と“菓子屋”はこんなにも違うとはねぇ…オッサン感激ですわっ」


「あぁ、まったく……あれ?……鍛冶屋と菓子屋?………ん…?……もしかして…ギャグ?」


「……い…いやいやっ、あからさまに引かないでくださいよぉ…オッサンだって、ギャグくらい言いますから…」


「……そっ…そうかっ…まぁ…そうだよな……うん……んんっ…それよりルート殿…なんだか雰囲気が変わったような…?」


「ん?、オッサンはこれが普通なんですが…?」


「…しかし…初めて会った時に比べて陽気になったような…」


「…ぁーなるほどなるほど…それは変わったかもしれませんねぇ……オッサン、お腹空いてたから」


「なるほど…ん?……えッ!?」


「いやぁっ、あの時はすごい腹ぺこでね~。力んでないと、倒れそうでしたから…言葉とか雑になっちゃうんですよ」


「…そぅ……なのか?」


「そうそう。あっ、後寝起きとかは少しテンション低いから…そこも口調が変わってるかもねぇ…まぁ、オッサンってそんなもんです」


「……オッサンっていったい…」


「ふふっ、謎大き存在という事で…さて、小腹も満たしたし、鍛冶屋探しに戻りますか」


「…ぁ……ぁぁ………オッサンとは本当に…何なのだろうか……ん?」


「それはあれですよ、お前さんがもっと成長すれば自ずと……どうかした?」


急に立ち止まったマリーナに声をかける。


どうやら、店頭の端の端に飾られていた短刀を見ているようだ。


「……ほぅ……これは…」


俺自身も思わず感嘆の言葉を吐いてしまうほど…


その短剣から強い思いを感じた。


見た目は何処にでもありそうな短剣なんだが…思わず意識を向けてしまう何かがその短剣にはあった。


柄の部分には白い包帯がしっかり巻かれ、こちらの顔が映るくらい滑らかに整備された刃…


刃に映る自分の目が短剣自身の目であるように感じてしまうほど…その短剣が意思を持っているように感じてしまうほどの出来だ…


「おぉぉ……こんな逸品が…こりゃ掘り出し物か?」


ふと、飾られていた店を見渡す。


かなり時間が経過した木造建築…


所々痛んではいるようだが、それでもなおしっかりとした作りにより、未だ現役といった感じだ…


…職人場所を選ばずともいうし、店の大きさからして店主が職人である可能性は高い…


熟練の職人がいるならば、良い品があったとしてもおかしくはないだろう…





…ただ、客が全然いないのは気になるところだけどねぇ…


「……る…ルート殿っ…」


「ん…この短剣が気に入ったの?」


「あぁ…専門家じゃ無いからよくわからないが…その…使ってみたいと思えた…」


ほぉ……直感で良い武器の判断を…


…こりゃ、俺が思っている以上に潜在能力高そうだねぇ…


「よし、なら話を聞いてみますかっ」


「えっ…いいのっ?」


「ん…別に拒否する理由もないしねぇ。それに、騎士であるお前さんが使ってみたいと思える武器に出会った…これをただの偶然と考えるのは勿体無いでしょ?…ささっ、入った入った」


「…う…うむ…っ…」


マリーナの背を押すように催促すると、扉を開けて中に入る。


中にはいればそこは鍛冶場…


ではなく、普通の店内だ。


構造的にさらに奥にスペースがあるだろうから、そこで作ってるんだろうねぇ…


そして、店内に飾られた武具はいい品ばかりだ。


「こりゃ…“当たり”かね」


「…ルート殿もそう思うのか?」


伺うようにマリーナが聞いてきた。


「お前さんほどじゃないが…ここらにある物はいい品ってことぐらいはわかるよ。さっきのドヤ顔三流店主どもに、良い品ってのはこういうのを言うんだって言ってやりたいぐらいだ」


「ははっ…それは見てみたいな…」


「でしょ~?……んん…でもなぁ…」


周りの武具を見て、不思議に思うことが1つ…


いや、ここにある物は全て良い品って言ってもいいくらいだよ?





…でもねぇ…あの“短剣”程ではない……


職人が想いを込めて作り上げた作品であるのは間違い無いけれど、明確に出来が違う。


…それにこの人の少なさ…てか、俺たち以外いないし…


「…こりゃぁ…何かありそうだな…」


「…?」


「ひとまず、お店の人にお話でも聞いてみましょうか」


「あっ、ルート殿っ」


後を追うようにしてついてきたマリーナと共に、店員らしき人がいるカウンターへと向かうのだった。


◇◇◇◇◇◇


「…らっしゃい」


カウンターらしき場所には、すごい筋肉ムキムキなごつい男性が…


いや、いろんな意味ですごいな…


ここは可愛い子を置いとくのがベストじゃない…?


…少なくとも、こんなゴツメな人を受付として配置するのはいかがなものかと思うんだが…


「あぁーすみません、ちとお尋ねしたいことがあるんですがぁ」


「…うちは飲み屋じゃねーぞ、買わないんなら帰んな」


「いやぁ~そう言わずに…俺たち、“バレないよう窓の隅に配置してた短剣“について、お聞きしたいことがありましてね?」


「……」


ジロリとこちらを睨んでくる…


…ふむ…どうやら、”何かに触れること”は成功したようだ。


「る…ルート殿っ…バレないようにとはいったい…?」


「ん?、柄の部分に白い包帯がガンまきにされてたでしょ?。あれには人避けに使われる薬草の汁が染み込ませてありましてね」


「…え?……いや…えっ…?……嘘?」


「いやいや、本当~。ねぇ、店長さん」


「…あぁ…本当だ……バレるとは思ってなかったがな…」


「嘘っぉ!?」


「…どうして気がついた?」


「んー…勘かねぇ…オッサンも長いこと生きてきたから…どうしても“隠したいなぁ”って雰囲気には敏感なもので」


「…精神力だけで、あの人避けを逃れたってのかよ……」


「ははっ、まぁ物理的な人避けは完璧じゃありませんし…運が良かったってことで」


「…そういうことにしておいてやる…」


「ありがとうございます。で、本題なんですがね」


と俺はマリーナを前に押し出した。


「こちらはベルヘルナ騎士団の騎士団長マリーナです。ご存知ですかね?」


「…あぁ…知ってるさ…こんな有名人、この王都にいて知らないはずがない」


「それは話が早くて助かります。実は、訳あって騎士団関連武具の新規委託先を探してまして…色々とみて回っていたんですが…このマリーナが、店頭に飾られてました短剣をえらく気に入ったようで…是非、取引ができないかなぁと」


「おっ…お願いしますっ!」


「………」


「…あら、だめですかね?」


「…いや、少し驚いただけだ……先代と違い、礼儀正しかったからな」


「先代…もしや、グラーダ前騎士団長のことでしょうか?」


ビクッと震えた後、恐れ恐れといった感じで問いかけていた。


…いや、誰?


「あぁ……騎士として、武具の良し悪しはわかっていたようだが……人としてなっていなくてな…迷惑をかけられたという印象しかない男だ…」


…うわぁ…めんどくせぇのが前任者かよ…


「そっ…それは申し訳ございませんっ!!」


「…嬢ちゃんが謝ることじゃねーよ……こっちの都合だ…だが、こちも水に流すには大きすぎる汚れでな……悪いが、売ってやることはできても、取引なんざは首を縦に振ることは出来ねぇ…すまねぇな」


「…い…いえっっ……身内からでた錆であることに変わりはありませんからっ…お気になさらずっ」


…やれやれ…


…本当にめんどくさいものを残していったみたいだな…


それを後任であるマリーナがツケを追う形になるというのもへんな話な気はするんだが…


「…そういえば、売るは売るんですね…あの短剣」


「…そりゃそうさ、武具ってはの使われて初めて価値が出る…あの短剣が活躍できる場があるなら喜んで売るさ…もちろん、それ相応の人物にしか売りたくないけどな…」


「自分の作品でもないのに?」


「ッ…!?」


目を見開き、こちらを驚嘆の表情で見てきた店長。


「ちょッ!?ルート殿!?」


「…何故知っているっ?」


「えッ!?」


「知ってるわけじゃないですよ…ただ、職人言葉で語らず作品で語るってね……あの短剣だけ、異質なんですよ…ここらにあるものと比べて…」



「……」


「あっ、いやっ勘違いしないでくださいね?。ここらにあるのが駄作とかそんなふうには言ってません、かなり上質な物ばかりです…が、あの短剣と比べたら異質なだけ……この事から、職人は2人いるんじゃないかと思った次第でして」


「…なるほどな…だが、俺が作ったとは言わないんだな」


「もちろん可能性はありますが…あの作品だけ店長さんが作ったと考えるより、あの作品以外は店長さんが作ったと考えるのが無理がないでしょ?」


「…ふっ、違いない…」


店長はしてやられたといった感じで頭をかくと、扉のほうに歩いていき、立てかけてた看板を片し始めた。


「…今日はもう終いだ…時間もあるし、短剣について話してやる」


「あっ…ありがたいが…何も店を閉めなくても…」


「…構わん…どうせ“誰も来んからな”」


「…それはどういう…?」


「お前さん…とりあえず、店長さんがこう言ってんだから甘えましょうや」


「…だが…」


「なに…気になることについては、このあと教えてくれるさ…なぁ店長さん?」


「…」


否定がない沈黙は肯定…


俺たちは店長に案内され移動した。


…はてさて…どんな話を聞けるやら。
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