お前の辞書に自重って文字を加えてくれないかな！？

日常

第9話 嫌がらせ成功……か？

「っは、……ぁーー……」

　自分でも驚くほどに長かった射精を終え、漸く旭陽の口から萎えた雄を引きずり出す。

「っぇ、ッァ゛、げほっゲホッ！　はっ、ハッ、ぁ゛、えぅ……っ」
「……あ、ああ！　ごめん旭陽、大丈夫か！？」

　途端に大きな体が丸まって、激しく咳き込み始めた。

　口元を押さえたいんだろうが、両手は拘束されているからシーツに顔を擦り付けている。横倒しになって折れ曲がった両足が、指先まで丸まって震えていた。
　俺が出した精と旭陽の唾液が混じったものがだらだらと唇から流れ出している。
　その唇を震わせながら咳込む合間に、ひゅうひゅうと細い呼吸が混じっていた。

　はっとして跨っていた場所から飛び退く。
　咄嗟に後ろに突こうと伸ばした手が、濡れたものに触れた。

「げほっ、ハっ、ひっぅ、」
　咳き込みながらも、浅い呼吸に微かな嬌声が混じる。

　振り返れば、そそり立ったペニスが白濁を滴らせていた。……うん？

　これは……。一瞬頭が真っ白になったが、どう見ても射精してるよな。
　あれだけ乱暴に扱われて、それでもイったのか。
　ただ俺に、好き勝手に口を使われただけで。

　口の中や舌を擦られるの、そんなに気持ち良かった？
　それとも、俺の吐き出した精液の勢いや熱さが思わぬ快感に繋がったりしたのかもしれない。
　いや、それは流石に思い上がりすぎか。
　こいつの体液なら何でも欲しい俺はともかく、普通は他人の精液なんて生臭くてとても口にしたいとは思えないだろ。

　後ろ手に亀頭へ指腹を擦り付けてみると、酸欠でぼんやりしていた瞳が見開かれた。
　ぐりぐりと鈴口に指を押し付ける。

「けほっ、はっ、ァッ、ァアッ！　ゃ、あッ、ゲホッ、だ、め、ャっ――ッぁ　ヒッぃっ」

　全く呼吸が整っていない中で、酸素を取り込むことよりも俺を制止することを優先して必死に言葉を紡ごうとしている。
　先日ここを弄り続けたのが相当キツかったらしい。そんなに強く覚えてくれてるとは光栄だ。
　旭陽の態度があまりに変わらないから自信なくなってたけど、これならヤった甲斐があった。

　嬉しくなって、今度は俺が旭陽の股座までにじり下がる。
　閉じていた両足を掴んで、無理やり開脚させた。酸欠でふらふらな状態の旭陽は俺にされるがままだ。

　うんうん、今度は俺がお前を気持ち良くしてやるからな。
　まあ俺に強制的に奉仕させられただけでも善くなれるみたいだけど、それはそれ。
　とんでもなくエロかったし可愛かったけど、別の話だからノーカンだ。

　開かせた両足を俺の肩の上に乗せる。
　逞しい太腿は力が入っておらず、ずしりと肩に食い込んでくる。
　とはいえ、頑丈さが増した俺の体は人間の重み程度では何ともならない。ああ、これはやりやすくて良いや。
　反応する間を与えず、ぱくりと旭陽の性器を咥えた。

「っ、ぁ、？」

　まだ先日のダメージが抜けきっていない喉が、少し掠れた声で疑問符を発した。
　何をされたのか、感覚に頭が追い付いていないらしい。白に塗れた唇が慄いているのが見えるようだ。
　それも、俺が先端に吸い付くまでのことだったが。

「ぅ、アっ、あうッ！？　あっあッひぃアっ！　んんっ！　ふっ、ぅあっ……！　やめッ、あ、きらっ、は、なせ、ぇ、っぁあ……ッ」

　体の作りが違うからか、案外俺は喉の奥まで迎え入れても苦しくない。
　俺以外では知っている中で一番デカい旭陽の性器も、思いきり喉を開けばいけそうだ。
　難なく飲み込んでいけば、鈴口からどぷりと特別濃厚な体液が溢れ出した。

　気持ち良いだろうに、旭陽はやけにうろたえている。
　表情が見えなくても、声に滲んでいるのが快感だけではないことはすぐに分かった。
　本気で止めたがっている声だ。

　気持ち良すぎるのもあるだろうが、だから嫌がっているって感じでもない。
　そういえば旭陽って、俺のはちょくちょく口でも弄んでたのに自分のは殆ど咥えさせなかったんだよな。
　……俺に咥えさせるのは嫌だった？　何でだ？


　今まであまり考えてこなかった疑問が浮かんで、今更ながら疑問に眉が歪む。
　逃げようとしている腰を掴んで、思いきり引き寄せた。

　口腔一杯を占領している男根に牙を当て、根元に突き立てる。

「――～～ィ゛ああァァああああーーーーッッ！！」

　がくがくがくがくっ！

　旭陽の全身が引き付けを起こしたように激しく痙攣して、ペニスから大量の精液を噴き出した。
　噛み付いた場所から流れた血と一緒に飲み込みながら、今度は亀頭に牙を食い込ませる。

「ヒッッィいあああっ、ああうっ！　はあァうぅっ！　あ゛っぁああっ、ァッ、ッ！！」

　痙攣しながら身悶えようとする体を、腰を掴んだ指で強引に捻じ伏せた。
　俺の牙は痛みを感じさせないらしく、何処を噛んでも強烈な媚薬効果にしかならない。一番敏感な場所に直接注ぎ込まれると、もう快感という名の暴力に等しい。
　勝手に暴れてしまっていると思わしき旭陽の両足が、俺の背中をがんがんと踵で蹴り付けてきた。
　今の俺だと痛みは感じないが、一応咎めるつもりで鈴口に牙を立てた。

「ーーーーッッ！　ーーーーーーッッッ！！」

　鋭く息を飲む音が聞こえて、それからさっき以上に旭陽の全身が跳ね上がった。
　感じすぎて声が出ないのか、引き攣った呼吸音を微かに響かせながらがくんがくんと大きく痙攣している。

　決壊したきりごぽごぽと噴き出し続ける濃厚な精液を、俺は追い付ける限り飲み込んでいく。
　俺が喉を締め上げる度、ひぃひぃと泣きながら旭陽は壊れたように射精し続けた。
　普通だったらこんなに飲めないと思うんだが、俺はもっともっと欲しいとしか思わない。
　体液を一番の食事としている今の体に感謝だ。

「ひっィい゛っ、あっ、かッ……！　ぁ゛っ、あうっ、あーっ！　ゃ、っあ゛、ッ、も、か、む、っな、ッ……吸っ……な、ぁ……っ！」

　上手く動かない舌を必死に動かして、旭陽が掠れた声で訴える。
　そうか？　まあお前がそうして欲しいなら。

　いいよ、と軽く頷く。
　小さな振動だけでも感じすぎるらしい男はまた嬌声を上げたが、俺が動きを止めたことで、強張っていた下肢から僅かに力を抜いた。

　どくどくと脈打っている裏筋に噛み付いてやる。
　吐精し続ける先端に舌先を押し込み、尿道口から更に精液を吸い上げた。

「ひはぁぁあ゛ーーッ！　あ゛アアアッッ！？　っがッあアうっ！　ッ、ぁっ、んで、ヒッゃううッ！」

　油断していた体が一気に緊張して、ばたばたと暴れ出す。
　そろそろまた呂律回らなくなってきてるな。かーわい。

　何でって、俺がお前の言う通りにするはずないんだし。
　その上で要求してくんだから、言葉とは逆の要求してきてるんだろ？　貪欲でエロいなあ。

　そこまでこの状況で頭回らないって？　はは、知－らない。