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日常

第8話 気持ち良いのか?

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 仰向けで動けない男の顔に腰を近づける。
 首輪が嵌められた喉元の上を跨いで、何をやっているのかと言いたげな視線で見上げてきた旭陽の鼻先にペニスを晒し出してやった。

 俺のそこは既に熱くなっていた。臨戦態勢とまではいかなくても、人間とは比べ物にならない大きさのものだ。
 今は膨らみつつある途中で、少し頭を掲げている。
 もう既に、並の男の勃起時は上回っていた。

「っ……!」
「今度は旭陽が舐めてくれよ」

 嫌な予感がしたのか、旭陽の肩がずり上がった。
 それを掴んで元の位置に戻しながら、半ばほど勃ち上がりかけているペニスの先端で薄い唇に触れる。
 冗談だろうと言いたげな目に笑顔を返すと、本気だと理解したらしい男が眉を寄せた。

「……この体勢じゃ何もできねえよ」

 そうだな。どれだけ首を持ち上げても、俺のがデカすぎて絶対全部は届かないもんな。
 だから良いんじゃないか。

 旭陽のフェラがめちゃくちゃ巧えのは身を持って知ってんだよ。好きにさせたら俺なんてあっさり思い通りに絞り取られて、早々に主導権を奪い取られるに決まってる。
 あくまでも俺が好きに使うだけなんだから、自由にさせて堪るか。

「俺が手伝ってやるから。ほら、あーんってして?」
「ああ? …………趣味わっりいな」

 俺の意図を理解したらしい男が、露骨に顔を歪めた。……お前にだけは言われたくはないんだが!?

 何言ってんだ気色悪い死ね潰すいや殺す、くらいの罵詈雑言は覚悟していた。
 なのに旭陽は渋々といった様子ながら、文句は言わずに口を開いた。

「舌出して」

 思わず要求を重ねてみると、僅かな逡巡のあと、ゆっくりと舌先が咥外へと出てきた。「もっと」と言ってみれば、素直に舌が伸ばされる。
 こいつ、時々やたらと素直になるんだよな……何されるか分かってるだろうに。

 これ、もう同意ってことでいっか。


 勝手な判断を下しながら、伸ばされた舌にさっきより硬くなってきたペニスを乗せた。
 正直こいつの一挙手一動に一々煽られてしまう俺は、何もしなくても今の一連だけで臨戦態勢に近付きつつある。

 長身の旭陽は、背丈や体格に合わせて口も結構デカい。
 前は気紛れを起こして咥えられる度に、全部食われそうな恐怖を伴った。……まあすぐにそんなこと考えてる余裕は吹っ飛んでたんだが。

 ともかく、そんな旭陽の口にも今の俺の性器は流石に全部入らない。
 そういう意味で壊したいわけじゃないからな、仕方ない。
 突き出された舌に先走りを塗り込めるように先端を擦り付ければ、シーツから旭陽の肩が浮いた。

「ッン、ぁ? あ、ゥ、ん……っ」

 舌が引っこみかけ、辛うじてその場に留まる。
 突如震え始めた舌と甘い声に驚いて顔を見れば、旭陽自身も驚きの表情を浮かべていた。

 試しに、ずずっと腰を進めてみる。
 舌の先から中腹まで擦られた旭陽は、目を丸くして腰を跳ねさせた。

「っあ、ぅっ! ふ、ぁっ、あ、ひら、ゃ、」

 舌を伸ばしたままの聞き取りにくい声でも、やめろと言い掛けているのは理解できた。
 制止されるより先に旭陽の後頭部に手を回し、頭をシーツから引き上げながら開かれている口の中に俺を押し込む。

「っう゛、ぐぅッ」
 舌に触れているだけだったものに突如押し入られた旭陽が、がくりと身を跳ねさせた。
「ゥ、ンぐ、……っ」
 全部は無理だから途中までだが、それでも口腔全てを満たす怒張に貫かれて苦しそうに顔を歪めている。

 意外と暴れてはこないが、額に脂汗が滲み出すのが見えた。
 頭上では俺の唾液で濡れた手が指を握り込み、喉まで届く雄に耐えていた。

 目一杯に開いた口の中に、俺の性器が飲み込まれている様をまじまじと見つめた。
 触れている唇や舌から、旭陽が苦しさに呻く振動が直接伝わってくる。

 気付けば俺の掌も、突然噴き出した汗でじっとりと湿っていた。
 もうすっかり下半身に血が巡って、硬く勃起しきっている。
 後頭部を掴んでいる手に力を込め、口から抜ける寸前まで腰を引く。

「ぐ……ッ」
 裏筋を舌腹に押し付けるようにして旭陽の顔を引き寄せれば、絞り出すような声が落とされた。

「っぅ゛、ンッ!」
 またぎりぎりまで引いて、今度は上向きに突き込む。
 上顎のでこぼことした凹凸に先端が擦れて気持ち良い。

 旭陽が強く両目を閉じ、また薄らと開いた。
 息苦しさか、雄に奉仕させられている屈辱からか、歪んでいる瞳と確かに目が合う。
 初めて知る征服感に、ぞくぞくと腰から背筋へ快感が駆け上った。

 腰が抜けそうなほど気持ちが良い。
 確かめる動きはすぐに速度が上がって、欲のまま腰を振るようになるまで時間はかからなかった。

「ッゥ゛ぐっ、ッん、ン゛ぐっぅ、うっ、ン゛……っ!」

 上から覆い被さった体勢から真っ直ぐに喉まで貫かれるものだから、旭陽の瞳には見る見る涙が浮かんで溢れ出した。
 引いても突いても、隙間なく俺に埋め尽くされている口からは苦悶の声が零れ落ちる。ちゃんと息できてるのか?
 心配しつつも歯止めが利くような快感ではなく、加減なく腰を振ってしまう。
 呻く唇から先走りと唾液が飛沫として溢れ、褐色の頬を幾箇所も濡らした。

 本当に苦しそうで、辛そうで――なのに、旭陽の呻く声には明らかな色が乗っている。
 振り返って確認すれば、触れてもいない場所が勃ち上がって先走りを滴らせていた。

 あー……そういえばあの時、舌は特に念入りに噛んだんだっけ。

 血を飲んでない箇所がないくらい、何処も彼処も噛んでは吸い付いた覚えがある。
 口に突っ込まれてるだけで、こんなに苦しそうでも快感になるほど敏感にしちゃってたのか。えっろいな……。
 元々は噎せ返るような雄の色気を放ってた男が、なあ?
 感慨深くて、つい穿つ力が強くなる。

 喉の奥まで先端が嵌り込み、敏感な亀頭がぎゅうぎゅうと締め付けられた。

「っぁ、あさひ、出る……!」
「んぐ、っぅううっ! ぅ゛、んン゛んんっ……!」

 込み上げる射精感に、俺も声が上擦った。
 掴んでいる頭が、微かに首を振って否定する。出すなと言われているのは分かっていたが、我慢できるはずもない。
 思いきり喉奥まで突き込んで、熱い奔流を吐き出した。

「ン゛ぅう゛ウゥウ゛っーーーーッ!」

 どくどくと流し込まれる精液に、旭陽が悲鳴を上げた。
 あまりに勢い良く流れ込んでくる白濁に喉を塞がれ、ほぼ溺れているような声だ。

 それでも俺は自分の股間に引き寄せた頭を解放するなんて思い付きもせず、むしろ暴れられないように頭を押さえ付けて、なかなか終わらない吐精を旭陽の喉奥に注ぎ続けた。

 息ができない旭陽はどうにか流し込まれる液体を嚥下しようとしているが、俺の吐き出す勢いの方が強くて追い付かない。
 すぐに溢れ出した精液が唇から零れ、褐色の肌を伝ってシーツに広がっていった。
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