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外伝

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 ……確かに、了承はしたのだが。

「ッヒグ、ゥウウー……ッ! ッぁ゛、ャめッ、エ、っルマぁッ、動くな……!」
「ッむ、りっ! ご主人のナカッ、きもちよすぎ……っ!」
「ッヒっァアあ゛! ァぐッひィイッ! ぃアアアーッ!!」

 二人の人間に挟まれて、まさかの泣き喚く事態に陥っていた。

 背後から固く抱き締められて、腹のナカを無茶苦茶に穿たれている。
 挿入された直後は確かに激しく感じたはずの異物感も、痛みも、ペニスを扱かれて何度も射精している内にすっかり快感で紛らわされてしまった。

 一本は、私の精を纏わり付かせたエルマの手に。
 もう一本は――

「ッひ、ぃ゛イっ! ッァ、ぁああ゛! っも、すこし、ゆっく、りぃッ……! っぁ゛、ぁううっ」

 仰向けでベッドに横たわり、私の下で泣きながら身悶えているウルススの襞に。

 最初はエルマに誘導されて、私が発情してしまったウルススを押し倒した。
 こうだよと導かれて挿入した場所は、思わず押し入るなり射精してしまうほど熱かった。

 あまりの熱さと快感に、挿入直後から私は動けなくなる。また暴発してしまいそうだったからだ。
 私だけではなく、ウルススも挿入されるなりどろりと白濁を吐き出していた。同じく、激しく乱れた呼吸を整えようと深呼吸を試みていた。

 少し落ち着こうとしていた私とウルススを他所に、背後で見ていたエルマが尻を撫でてくる。
 何をしているのかと尋ねたくとも碌に口を動かせない。
 そんな私の腰を掴み、熱いものを押し付けてきて――

 気付いた時には、太い性器に貫かれていた。
 そのまま、男に挿れた状態で別の男に穿たれ出したというわけだ。


「ッぅ゛、ァッアあっ、やめっ、む、りッ、ムリだっ、もう……!」
「ッゃあ゛ああアっ! は゛いらなっ、もっ、はいらないぃィ゛……っ!」

 呻く私の声に合わせて、一緒に揺さぶられているウルススが泣き叫んだ。
 私が突き上げられて体が揺れる度、ウルススも私に深く腹の奥を穿たれている。

 人間よりも長い性器が腹の深い場所を抉じ開けたのは、そこまで時間が経っていない頃だった。
 悲痛なまでの悲鳴を上げて意識を飛ばした男は、止まらないエルマの抽挿でまたすぐに飛び起きることになっていたのだが。

 びしゃびしゃと精液がひっきりなしに撒き散らされ、男自身の割れた腹筋や私の体を濡らしている。
 私も、二本のペニスと……意識したことはなかったアナルの両方を他者の熱に食われ穿たれて、何度も意識が遠くなった。
 目の前が白くなる前に、三箇所から襲ってくる絶頂に叩き起こされてしまうのだが。

 眼前の男に、不本意ながら縋るように掴まってただ必死に前後の快感に耐えるだけになってしまっている。
 数え切れないほど吐き出した白濁は、全て組み敷かれて泣きじゃくる男の腹の中に注ぎ込み続けている。
 まるで孕んだように膨らんだ腹が痛々しい。
 だが、泣き腫らして真っ赤に染まった目尻は奇妙な欲を煽ってきた。

 もっと泣かせてやりたい気がして、初めての欲に戸惑う。
 だがそんな思考力は、いつまでも精力が尽きない男の律動に呑まれて何が何やら分からなくなっていく。

「っは、ははっ! ウルススも、ご主人もッ、すごくかわいい……ッね、もっと、啼いてッ!」

 私が感じている言葉を口にして、エルマが顎を掴んでくる。
 振り向かされて、また舌先を咥え込まれた。

 ぐちゃぐちゃになった頭では何も気が配れずに、とにかく噛んでしまわないよう大きく口を開く。
 男が笑う振動が、舌から全身に伝わってきた。

 舌も腹の奥の熱い部分も、同時に吸って穿たれるのがとんでもなく気持ちいい……
 ああ、もっとやってくれないか。
 すっかりネジの外れた頭で考えて、自分から小さな舌に絡めていった。



「…………ゥ、ぐ」

 ふと、いつの間にか途切れていた意識が戻る。

 私は、何を…………なんという、夢を……。
 起き上がろうとして、両腕に何かの重みを感じた。

「っぅ……」
「んん……」
 同時に二つ、自分以外の声が両脇から上がる。

「…………」
 ダメだ。現実逃避してはならない。
 事実を、確認しなければ。

 思い切って、右側に顔を向けた。
 小麦色の肌と銀髪に白濁を飛び散らせた、背の高い男が仄かに頬を紅潮させて眠っている。

「………………」
 左側を見る。
 白い肌と金髪を持つ人間としては一般的な背丈の男が、随分とすっきりした顔で心地よさげに眠っていた。

「ゆ…………」
 夢では、なかった……!

 思いっきり頭を抱えたい気持ちを堪えて低く唸る。
 その声を聞き付けたのか、ぼんやりと二人の男が目を覚ました。

 エルマの青い目は、私を見るなりぱっと明るさを増す。
 ウルススは首まで赤くなって視線を反らしたが、紫の目がちらちらと私を見ていた。

「ご主人、おはよう! 昨日は沢山気持ち良くなってくれて、嬉しかったよ」
「お……はよ、うございます……そ、その、途中で気絶してしまって申し訳ありません……」

 大丈夫だ。私も自分がいつ意識を飛ばしたのか、覚えていない。
 律儀なウルススの謝罪に、思わず遠い目になりそうだ。

 呆然としている私の手を、つるりとした二つの手が取った。

「暫くは、先に意識を飛ばしてしまうこともあると思うが……絶対に、いつか俺だけの力で主を気持ちよくしてみせる」
「あんまり可愛かったからがっついちゃってごめんね、ご主人。次はちゃんと、ご主人の快感だけを追求してみせるから!」

 一人はにこにこと笑いながら、一人は大真面目に。
 だが双方が真剣だと伝えたがってきている眼差しで、力強く宣告してきた。

「…………勘弁、してくれ…………」

 どうにか一言だけ呟いて、不覚にもまた意識を飛ばしてしまった。

「主!?」
「ご主人!!」

 驚く声を聞きながら、今度こそ夢から覚めたいと願う。
 まあその願いは、四半刻後に見事打ち砕かれることになるのだが。

 本当に勘弁してくれ。これ以上悦くされるなど、死んでしまう。
 そんな間抜けな死に方は、あまりにも魔王様に申し訳が立たない。

 心の底からそう思うのに、青と紫の瞳が熱に溺れている様は悪くなかったと思ってしまうのだから――結局、次の機会もそう遠くはないのだろう。
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