解雇(クビ)にされた細工師が自分の価値を知る【リ】スタート冒険者生活~ちまたで噂されてる伝説の職人の正体は、どうも俺らしい~

安野 吽

文字の大きさ
52 / 58
【第二章 第一部】

第二十二話 賞金首ウルガン

しおりを挟む
 木々が茂る深い森にさしかかり、孤児たちの救出部隊一行は一旦停止して、アルトロが直接指示を下し始める。どうやら洞窟はもう近いらしい。

「40……いや、50人ちょいってとこですか。今洞窟の中にいる奴らの数は……」
「よし……こっちは100人はいる。手筈通り、半数は洞窟から少し離れて待機させ、残りで突っ込む。気合入れろよ、おめえら」

 一定範囲内の人間や魔物を感知できるアビリティ――《察知》を持つのは、確かセインの案内の時に見た初老の男だ。彼の能力で、内部の様子を確かめたアルトロは部隊をいくつもに分け洞窟の周辺に放つ。もし野盗たちが別ルートで逃走するのを確認できた場合、呼び笛を鳴らし、ただちに集合して追い詰める予定だという。

「じゃ、あんたらはさっき言ったように《隠蔽套ハイド・クローク》を付け、見張りを始末して中に入ってくれ。それが確認できたら俺らもすぐ突っ込む。中のガキどもは任せたぜ」
「ああ……わかってる」

 俺たちはそれぞれ灰色の外套を手に取り、身につけていく。

「これで、姿消えてるです?」
「わぅ……ちゃんと見えなくなったよ、不思議! けど触れる。なんかやらかいな……」
「ちょっ……はぅん!! リュカちゃん、変なとこ触らないで! ダメです! ひゃぅ……」
「この子らは……遊んでないで、とっとと被れ!」

 気が抜けるから止めて欲しい。おそらく俺と同じことを思ったライラが、リュカに頭から無理やり外套を被せると、彼女は目を丸くして笑う。

「あっ……チロルが見えるようになった! おもしろ~い!」

 同じ外套を身につけたものに隠蔽は聞かないらしく、着脱してはケラケラ笑うリュカ。それを恥ずかしそうに体を抱えたチロルが後ろから刺すような視線で睨む。

「後で、覚えてるです……!」
(がんばれ、チロルよ……)
 
 いつもしてやられる側の彼女にエールを送りながら俺も袖を通し、晴れて無事全員の姿が消え、準備が出来たところでアルトロに合図を告げた。
 
「……それじゃ、俺たちは先行するよ」
「ああ、よろしく頼むぜ」

 もう彼らにはこちらの姿は見えないらしく、あらぬ方向に視線が向いている彼らの姿を少しおかしく感じながら、俺たちは行動を開始する……。

(さて、ここからはなるべく音を立てないように行くからな。声を出すなよ)
(れっつすに~きんぐなのです……!)
(すに~……?)
(いいから、口にチャック)
(ふわぃ……)

 ライラに左右から頬を引っ張られ強制的に黙らされたリュカが悲しそうな鼻声で返事をし、足音を立てないようゆっくり洞窟に近づくと……外側に男がふたり立っているのが見える。

 あれが見張りだろうが、警戒は緩そうだ。ひとりは土壁に寄りかかって船をこいでしまっている。
 
(ライラ、無力化できるか? 左の男を頼みたいが)
(……はいはい、やるわよ)
(おお……、そういう使い方もできるのか)

 まだ少し不機嫌ながらも彼女は大人しく従い、なんと魔力で地面との間にクッションを作り、ほぼ無音のまま男たちに近づいていった。魔力の物質化は本当に便利だ。

 俺も感心しながら、忍び足で接近……そして見張りたちの背後に佇むと、息を合わせ同時にアルトロから貰った薬を付けた布で、男たちの口を塞ぎ眠らせる。ロープとさるぐつわで拘束した彼らを近くの茂みに転がすと、リュカたちを手招きした。

(格好いいのです……おふたりとも、腕利きスパイみたいなのです!)
(こーさくいん! こーさくいん!)
(頼むから騒ぐな……! よし、他は誰もいないな)

 ほめそやすふたりを軽くはたいて黙らせ、俺たちは洞窟内に踏み入る。
 入り口は薄暗く……奥まで見通すことが出来ない。明かりをあえて点けていないのは、もし敵が侵入した時内部で迷わせて時間稼ぎをする意図があるのか。

(ここからはリュカ、お前が頼りだ。よろしくな)
(うん! こっちだ……)

 夜目と鼻の効くリュカに先導を任せ、しばらく俺たちが歩いていくと……やがて明かりでぽつぽつと照らされたエリアが目に入ったので、リュカの肩を叩いて止めた。

(この辺りが奴らの本拠地らしいな。少し、この辺りで待機しよう)
(おっけー)

 外で騒ぎが起き始めたのが聞こえ、俺たちは洞窟の窪みに身を潜ませる。
 少しして異変に気付いたひとりの野盗が走っていき、泡を食って戻ってゆく。

「やっべぇぞぉぉぉぉ……攻めて来やがった! おぉい、おめぇら敵襲! 敵襲だァァァ……!!」

 ――ビュィィィィィ!

 耳障りな音を出す笛をそいつが吹くと、たちまち奥から大勢の野盗たちが武器を手に走ってゆく。その数を俺はざっくりと数え、40に達し後続が途切れると行動に移る。

(賞金首は出て来なかった。多分奥だな……そろそろ行くぞ)
(外套の魔力がもうないわ。効果が消えちゃうかもしれない)
(急ごう。リュカ、先導してくれ)
(うん。多分こっち!)

 ライラの指摘に小走りになる俺たち。リュカの案内は迷うことなくスムーズで、いくつかの小部屋を経由した後彼女の背中越しに広がったのは、先程までより一回り大きな空間。いくつか横穴が有り、そこかしこに生活物資やゴミが散らかっている。

 中央ではふたりの男が慌ただしく金品をそこかしこから持ち出し、荷物袋に詰め込んでいた。

(賞金首ですね……)
(ああ、間違いない)

 チロルの指摘通り、内ひとりはあの人相書きに出ていた《大鉄槌のウルガン》とかいう男だ。背中に金属製の巨大なハンマーを背負っているし、間違いない。

「お、お頭、どうすんですか!? やべえっすよ!」
「出口は一個しかねえんだ。あいつらが戦ってるスキに、どさくさに紛れてとんずらこくに決まってんだろ! くっちゃべってねぇで、とっとと袋に金目の物を詰めやがれ!」
「へ、へい! ですが、《錆鎖》の奴らとの契約は……」
「仕方ねえだろが、破棄だ破棄! 手下も金も、俺さえ無事なら後はどうにでもなるんだよ!」

 どうやら、子分たちは放っておいて自分たちだけ姿をくらますつもりだったようだ。

 《錆鎖ラスティ・チェーン》――アルトロの言っていた非合法の仕事をこなす闇ギルドとも関わりがあるようだが、小物臭さが行動からにじみ出ていて見ていて虚しくなる。こんな野盗崩れになにを期待するものでもないのだろうが。

 とはいえ賞金首、このまま逃がして出入り口のアルトロとぶつかれば被害が出る可能性もある。叩くならここだ。

(どうするの?)
(この場で無力化を図る。リュカ、子供たちの場所は分かるか?)
(うん……!)
(チロルを連れて、子供たちの治療と、動けるように解放をしてやってくれ)
(わ、わかりましたです)
(頼むぞ。それじゃライラ、俺たちであいつらを引き付けるぞ)
(ええ……)

 俺たちの姿がうすぼんやり明滅し始めた。もう《隠蔽套ハイド・クローク》の効果はいくばくもない。急いで脱ぐと、先に俺たちが物陰から飛び出して注意を引きつけた。

「お前ら、黙って逃がしてもらえると思うなよ……!」
「てぇっ、てめぇ!? どこから出てきやがった!」
「聞く意味あるか? とにかく、大人しく捕まれ。そうすりゃ無駄に危害は加えない」
「そっちのあなたもよ……」
「お、お頭ぁ……」

 手下の男は動揺しているが、《大鉄槌のウルガン》だったか、賞金首の方は、背中の武器を構えふてぶてしい笑みを浮かべる。

「へ、へへ……舐められたもんだよなぁ、たかがふたりで。この大鎚がどれだけの野郎ども頭をかち割って来たか知らずによぉ……! ドビー、おめえは女の方をやれ!」
「へ、へぇ……わ、悪く思うなよ別嬪の姉ちゃんよ!」

 手下もナイフを取りだしライラに向けた。

 逃げだそうとしていたどの口でそれを言うのかと思うが、俺たちを見ていきなり強気に出た野盗どもに、反射的に憎まれ口を返す。

「……下衆な仕事専門の肉団子とその手下なんぞ知るわけねえだろ。そんなに割るのが好きなら鉱山でツルハシでも振るか、団子らしくころころ転がって岩に自分の頭でもぶつけとけ!」
「な……んだと!? この、地味顔野郎が、この美男をよりにもよって団子とは……。形も分からなくなるほど挽き潰してやらぁ……!」

 奴は禿げた額に血管を浮かべ、俺に向けて飛び掛かってきた。
 その動きは機敏で素早い。曲がりなりにも賞金首、舐めてかかると痛い目に遭いそうだ。振りかぶった大鎚が、風を巻いてうなる。

 砕かれる前の地面から飛びのき抜刀すると、俺はライラに声を飛ばした。

「っと……ライラ、手下は任せるぞ!」
「はいはい。あの子たちにやらせるわけにはいかないからね……!」

 ライラも、奴らの行いには怒りを感じているらしく、体から紫色の魔力を放出する。

「へへ……あんた魔族って奴か? 多少は魔法が使えるようだが……こっちも遊んでる暇はねえ、とっとと死んでもらおうか! 《ウィンドカッター》!」
「……救いようのない……!」

 手下のナイフ男が放つ風魔法を、彼女の魔力をこめた手刀が散らす。
 見ていられたのはそこまでだった。ウルガンの野郎が下品な笑みを浮かべ、横に構えた大槌ごと体を回し出したからだ。

「ゲハハ……そんなナマクラ、俺様の一撃で体ごと真っぷたつにしてやるわ! くらえい!」

 遠心力を利用した回転が、勢いを徐々に増しこちらに接近してくる。
 鎚術スキルLV35――《ウィールウインド》。

 まともにこの細い刀で受ければ、いかに強固な金属で造られていたしても無事では済むまい。
 俺は舌打ちしながら飛び退り、その一撃を躱す。
 
「威勢がいいのは口だけか? どこぞの冒険者が、大方賞金目当てで身のほども知らず挑んできたんだろうが! 今なら、身ぐるみ差し出して謝れば許してやるぞぉ!」
(……言いたい放題言いやがって!)

 奴のスキルの途切れを狙って攻める。そんな心づもりは、ここでもまた頭の中に響いた声に中断される。

(うるさいの……なにを騒いでおるのじゃ? ふぁぁ……)

 ――スッ。

 薄ぼんやりとした黒い光が刀身を包み出し、そして映り込むのは、この霊刀の魂であるとかいう、クウとかいう少女の姿。

(なんじゃ、あんな程度の相手に手間取るとは。お主雑魚だったのかえ? ざ~こ、ざ~こ!)
「うるせーよ! あんなゴツイのとかち合ったら、刀身がいかれちまうだろが!」
(なにぃ……?) 

 まるで敵のようにこちらを罵るクウは、俺の言葉に切れ長の目をすぼめる。

(舐めるでないわ! 我が刀身は《真朱銀ヒヒイロカネ》製ぞ!? あんな雑な造りの肉叩きごとき、屁でもない! よーっぽどお主の腕がポンコツでない限りはな~!』
「……言いやがったなぁ。壊れても知らねえぞ……!」

 未知の金属に興味を惹かれつつ、煽りに青筋を立てた俺はクウを握り込むと、切っ先をウルガンに向けた。そこまで言うならどれほどのものか試してやる。

「待たせたな肉団子、体は温まったか? 料理の時間だぜ。なにと一緒に茹でられたいか、考えとけ!」
「まだ言いやがるか! 二度とその口きけないよう、念入りにすり潰してやるぁッ!」

 互いの怒りと共に、振りかざされた得物が空間の真ん中で激突した――。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

処理中です...