カラー・ロック

他島唄

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  楽しそうにドラムを叩く明音を横目に、私は渚先輩からベースを教わることになった。千代さんは紅葉先輩とギターを弾いている。

 「まぁ1回肩にかけてみなよ。」
 「はい。渚先輩。」
 「渚が先輩だと…。感動…。」

 先輩と呼ばれてウキウキしている渚先輩を余所に、私はベースを両手で持ち上げる。持ってわかるが、結構重い。落とさないように丁寧に扱う。
 「結構重いですね。」
 「そう?まぁ慣れれば楽になるよ。さぁストラップを肩にかけて。」
 「ストラップ?」
 「そのベルトみたいなやつのことだよ。そこに、頭と肩を通すんだよ。」
 「ヨイショっと。こんな感じですか?」
 私は見様見真似でベースを構える。
 「うん。いい感じ。そしたら、ベースの凹んでるとこに右手をのせて。そう、いい感じ。鏡の前に立ってみて。」
 「はい。」
 渚先輩に言われるままに、部室の全身鏡の前に立つ。そこには、ベーシストのコスプレをした私が立っていた。
 「まだコスプレみたいですね。」
 「うん。そうだね。」
 鏡の前で色々構えてみる。
 「でも、これから本物のベーシストになるんだよ。さあ、指で弦を弾いてみて。」
 言われたとおりに中指で下から3本目の弦に、ベースと平行に真っすぐと力を入れていく。ゆっくりと引っ張りあげていくと、弦が限界を迎えて指から離れる。その時、「ボーン」という低音がなる。ベースに触れているおなかの部分から、心臓や両足へと音が響いていく。両足から床に音が響いていくのと同じように、低音は空気を震わせる。とても落ち着く気持ちの良い低音だった。不格好ではあるが、私は次に人差し指で下から4本目の弦を弾く。さっきよりも太い弦だ。少し指が痛い。しかし、もっと気持ちの良い低音が響いた。
 「すごい。」
 「でしょ。上手くなればこんなのも出来るよ。」
 さっきのじんわりと響く音とは違い、鋭く刺さるような音が鳴る。
 「先輩、カッコイイ。」
 「そうでしょ。私も先輩から教わったんだけどね。」
 
 「私、ベースにする。」
 「いいと思う。これで取りあえずはバンドの形になったね。」
 ギターを弾いていた千代さんが同意してくれる。
 「うん、ありがと。」

 こんな感じで、パートわけは初日に終わった。
 そして、この日から私の特訓が始まった。
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