初恋エンジン‼︎ー武蔵社宅の少年少女の日々ー

藤沢 南

文字の大きさ
51 / 111

2月同窓会(下)

しおりを挟む
    「1組の保川ほがわさんって子が、前からツーに夢中だったみたいでね。なんとか彼とデートしたいようだけど、彼はいつも満川さんと仲良くしているから、付け入る隙がないって。そして、ツーの転校の話が、私達だけの秘密じゃなくなっちゃったじゃない。2月から、なんでかわかんないけど、ツーが転校するって話を、みんな知る様になっちゃった。そして、保川さんも転校するんだよね。東京都へ。」

    アッコは、保川という女の子を思い出していた。ツーのように細身だったはずだ、でも、あまり記憶にない。3年生の時一緒だったっけ。顔も、あまり印象に残っていない。満川はどうか。健康的な小麦色の肌。何事もそつなくこなす優等生。図書委員会。…それだ。満川とツーの接点。アッコは図書室なんてほとんど行かないから、図書委員会での2人の様子は知らない。…さらに高野の話は、続いた。

「本当は、今日、もしツーが欠席じゃなかったら、保川さんの事、ツーに伝えるつもりだった。もしokなら、デートしてあげてって。転校生同士、最後の思い出になるじゃない。」
「…。そう。」


アッコは、いつもじゃれ合っていた、蹴りを入れたりしていた、ツーが、急に大人になって遠くに行ってしまう気がした。(確かに遠くには行くのだが)そして、高野にも驚いた。まみがイヤイヤ同窓会仲間に入れた彼女が、地味ながらも、転校の決まったクラスメイトの恋の相談に乗っている。彼女もまたアッコの知らない間に成長していたのだった。そういえば、10月ごろ、高野が不自然に、満川の話題をブッ込んで来たことがあった。あれは私は、付き合いの悪いツーの代わりに満川さんを同窓会に入れる話だと受け取ってしまった。そしてその話が流れた。それ以来、ツーはマイペースながらも、相変わらず自分のいいじゃれ合い仲間だと理解していたアッコ。私だけが、なにも知らないまま、ツーが遠くに行ってしまう。アッコはストックを強く握りしめた。
「高野さん、ツーが今日いなくて良かったよ。」
「え、なんで?」
「何でも!」
そういって、アッコは、「ちょっと滑ってくるわ」と高野を置いて滑走し始めた。

   高野の予想は見事に外れていた。何も知らない僕と武田は、久保田先生の手作りのログハウスにお邪魔して満悦だった。外は雪がちらついているのにログハウスの中はストーブ1つでとても暖かかった。武田は、これから土曜日はこの幼稚園で久保田先生と過ごし、園児の相手をするお手伝いをする事になった。かなり急でしかも意外な展開だったが、僕もそのボランティアに参加することになった。来週は、園児達と遊んだ後、みんなで焼き芋を落ち葉で焼こうということになった。僕と武田それぞれの母親や弟も来ることになった。母を連れて来ることには何も抵抗はなかった。むしろ、1986年からは母の体調が安定しているので、1つでも多く、母にもこの武蔵市でいい思い出を作って欲しかった。…僕のように。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

明日のために、昨日にサヨナラ(goodbye,hello)

松田丹子(まつだにこ)
恋愛
スパダリな父、優しい長兄、愛想のいい次兄、チャラい従兄に囲まれて、男に抱く理想が高くなってしまった女子高生、橘礼奈。 平凡な自分に見合うフツーな高校生活をエンジョイしようと…思っているはずなのに、幼い頃から抱いていた淡い想いを自覚せざるを得なくなり…… 恋愛、家族愛、友情、部活に進路…… 緩やかでほんのり甘い青春模様。 *関連作品は下記の通りです。単体でお読みいただけるようにしているつもりです(が、ひたすらキャラクターが多いのであまりオススメできません…) ★展開の都合上、礼奈の誕生日は親世代の作品と齟齬があります。一種のパラレルワールドとしてご了承いただければ幸いです。 *関連作品 『神崎くんは残念なイケメン』(香子視点) 『モテ男とデキ女の奥手な恋』(政人視点)  上記二作を読めばキャラクターは押さえられると思います。 (以降、時系列順『物狂ほしや色と情』、『期待ハズレな吉田さん、自由人な前田くん』、『さくやこの』、『爆走織姫はやさぐれ彦星と結ばれたい』、『色ハくれなゐ 情ハ愛』、『初恋旅行に出かけます』)

たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―

佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。 19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。 しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。 突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。 「焦らず、お前のペースで進もう」 そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。 けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。 学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。 外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。 「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」 余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。 理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。 「ゆっくり」なんて、ただの建前。 一度火がついた熱は、誰にも止められない。 兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

処理中です...