国道7号線家族

藤沢 南

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帰省、新潟

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 期間従業員になって1年半後、少し多めの休みを取って新潟に帰省することにした。

彼女も休みを合わせてくれ、ひさびさに彼女の温もりを背中に感じながらのツーリングだった。看護学校卒業式の日に果たせなかった約束...日本海に沿って行けるところまで突っ走るというツーリングを敢行した。途中の道の駅では、1年半の間、手紙やメールでは話しきれなかった事、積もる話を道の駅ごとに話題を変えて話し続けた。そして、長い長い国道の、秋田県側の最後の道の駅。青森との県境だった。
「正社員になれるの?」
彼女はやはり聞いてきた。なかなかに痛い質問だったが、避けて通れない質問だった。俺は期間従業員の更新が2回目に及び、この調子なら3度めの更新も堅いので、工場長の印象もいいのではないかという話をしたが、だからといって正社員になれるとは限らない。
「私、静岡行くからね」
彼女の決意は変わらないようだった。准看護師の学費は予定通り2年で完済の見込みだった。彼女はさらに静岡の夜間看護学校のパンフまで見せてくれた。
「あなたを追っかけて静岡へ行くけど、私の夢も追っかけるつもり」
今度は正看護師の受験を考えているとのこと。俺は少々びびった。俺がいつまでも期間従業員でいる事に彼女も危機感を感じたのかもしれない。正看護師なら年間所得がさらに上がる。学費の工面はしなければならないが、「大丈夫、また寮生活だから。安く生活できる。今度は最初から個室だよ。いい時代になったよね。」
 俺は道の駅で彼女と将来の夢を話していたが、期間従業員から正社員に昇格するのは至難の業だという事は彼女もよく分かっているようだった。それでいて、そんな俺との苦労を共にするという決断をする彼女が愛しく感じた。
 彼女は3連休の有給を取っていたが、新潟から青森までの道は結構長かった。その往復の3連休では道草も出来ず、唯一寄り道した弘前城の前で記念撮影しておしまいだった。夜は彼女を安いラブホになんか泊める訳にいかない。皆勤手当をはたいて、ちょっと高めなホテルに泊まったので、相当に彼女は喜んでくれた。弘前城よりもホテルの中で彼女は記念撮影を楽しんでいるようだった。特にホテルのアメニティが彼女のお気に入りで、洗面台の上のグッズやコーヒーセットは2泊ともごっそり無くなった。
 「もう、夏も終わりだね」
新潟への帰り道、背中の彼女がささやきかけた。
「次の夏は、静岡だね。」
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