国道7号線家族

藤沢 南

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躍進

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 そして、新しいシーズンが始まった。うちの社のサッカー部が加盟するサッカー全日本リーグである。オフの冬に、諸星、ロペス と言った若手がめきめき力をつけてきたので、チーム内の競争は激しくなっていると聞いている。昨シーズンは全日本リーグ5位、天皇杯16強という、評価の難しい成績だった。昨年以上の躍進をはかる今シーズンはいやがおうにも気合が入る。

 応援団長の副工長からは、応援団長の青年部長を任されることになった。俺も若いわけだし、サッカーそのものをやってみたい気持ちもあったが、応援団活動には工場長、副工長らの期待?もあったので、今シーズンも応援に専念して、息抜きに工場の若手仲間と昼休みに草サッカーをする事にした。

  とはいえ、応援団活動は多岐にわたる。うちのチームには、企業チームには珍しくマスコットキャラクターが存在しており、ホームの試合やイベントの日には、誰かが着ぐるみの中に入って、子供達と触れ合うことがあった。基本的にホームゲームでは、ベンチ入りできない選手が着ぐるみの中に入ってくれる。ところがイベントの日は、レギュラーメンバーも控え選手も子ども達とパス交換の練習に駆り出される。仕方ないので青年部長の俺がやることにした。これはなかなかしんどい仕事で、気温が上がると、着ぐるみの中の体感温度は異常に上がる。雪国育ちの俺には本当にこたえた。副工長は俺に着ぐるみの中に入ってもらうがために青年部長に指名したのではないかとも思えた。それほどイベント時の着ぐるみ係はみんなから敬遠されていたのである。しかし、応援団に冷やかしで入った後輩たちに着ぐるみ係を指名すると応援団から逃げられる可能性があった。俺が応援団に入った時にそれをやられたら、逃げ出していたと思う。では前任の青年部長はどうか。彼は正規職員だったので、今年の春に三重県の鈴鹿工場に転勤になっていた。やはり彼もイヤイヤ着ぐるみに入っていたという。
 
 着ぐるみ。テント張り。試合の日に応援に来てくれた従業員の家族にスポーツドリンクとうちわを配る。そういった雑務をひとつひとつこなしていく。仕事とは別の意味で、いろいろと神経を使う。でも俺には一緒に新潟へ遠征した応援団仲間がいる。応援団の仲間に仕事を振るのも仕事。自分一人で抱えこむと、もたない。この年は本当にめまぐるしい1年となった。
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