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3.妹は反抗期
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「さっきからなに一人でしゃべってんの?キモいんだけど」
「いや…」
留美は扉の前で仁王立ちをしている。
「いや…じゃないわよ!あんたのせいで友達に変に思われたらどうすんのよ」
「そ、それはごめん…」
「葛城留美のお兄さんは一人おしゃべりが趣味のド変態野郎って噂になるわよ」
「独り言と変態関係なくない!?」
留美は俺に罵倒の言葉を浴びせた後、どうだと言わんばかりの勝ち誇った顔をしていた。
「それはそうと、いつお風呂沸かすのよ。私さっきからずっと待ってるんだけど」
「え…あぁ、ごめんよ。今からやるよ」
どうやら気絶している間、留美は俺がお風呂を沸かすのを待っていたらしい。
自分で沸かせばよかったのにと思ったが、兄として頼られることはまんざらでもないため、素直に聞くことにした。
「しっかりしてよね~」
「はいはい…」
どうやら俺の妹はわがままな子に育ってしまったらしい。いや、いつも甘やかしている俺が悪いのか?
「んじゃ、お風呂よろしく~」
そう言い残し、留美は部屋を出た。
留美がこんな性格になったのはいつからだろうか。
俺たちが黒羽町に引っ越してきた時はあんなに愛らしく、まるで小動物のように可愛かったのに今はどうだろうか。まるで金剛力士像のような力強さを誇っている。そして、いかめしい表情ができるまで成長した。
もし、全日本威圧選手権なんてものがあったなら、留美は恐らく女子部門でぶっちぎりの一位になることだろう。
そんなことはさておき、さっさとお風呂を沸かさないと。
「ずいぶんと怖い妹さんね。私見てるだけで死にそうだったわよ」
どうやら俺と留美が話をしている間、礼子さんは本棚によっかかっていたらしい。
「いつもはもっと怖いですよ。ってか礼子さんもう亡くなってるじゃないですか。」
「あっ、そうだった」
出た、幽霊しかできないギャグ。もう亡くなってるなんてツッコミ初めてしたよ。
「とりあえず、俺お風呂沸かしてきますね」
「あ、待って!私もついてく」
俺と礼子さんはお風呂場へと向かった。
「へぇ~、結構大きいお風呂じゃないの」
礼子さんは浴槽をまじまじと見つめていた。それを尻目に俺はいつもと同じ手順で浴槽を洗っていく。
五年も家事をやっていると手慣れたものである。もちろん、ここに引っ越してきた時からすべてできるわけではなかった。当時の俺は中学一年生で、料理の仕方も調理実習で習った程度のものしか作れなかったし、家事も全然できなかった。幸い、近所にあった本屋で「初心者向け家事のコツ」、「今日から始める自炊講座」という本を見つけたため、難を逃れることができた。そのおかげで、最初は留美に不味いと言われていた料理も今は悪くないといった顔で食べてくれるようになり、掃除や洗濯はもはや楽しみに近いものとなっている。
「ふぅ…こんなもんでいいか」
浴槽洗剤のおかげか、あるいは俺の実力なのか、浴槽は光を反射するほどピカピカになっていた。
「あなた結構やるわね。もし私が生きてたら雇いたかったわ」
「普通に考えてめんどくさそうなので嫌です」
礼子さんはムスッとした顔をしている。
掃除を終えたところで、湯沸かし器のボタンを押す。あとは部屋に戻る前に留美にお風呂の準備ができたことを伝えに行かねばならない。
俺と礼子さんはお風呂場をあとにした。
コンコン…
「留美、お風呂準備できたから十分ぐらい経ったら入りな」
「…」
おかしいな。返事がない。
「おーい。留美ー」
「…」
やはり返事がない。トイレだろうか。
「入るぞ」
少し不安になったため、留美の部屋に入ることにした。
「レディの部屋に勝手に入るなんていけない子ね」
「こ、これはしょうがないですよ」
背後から礼子さんからの冷たい視線を感じる。
部屋に入った瞬間、返事がない理由が分かった。
留美はベッドの上でスヤスヤと寝息を立てていた。
その寝顔を見ていると、なんだか心が落ち着くような気がした。
「どんなに怖くても寝てるときは可愛いものね」
「確かにそうですね」
留美の寝顔を見たのは小学四年生以来だろうか。
あの時はたしか心霊番組を見た日だった。それで夜中に留美が俺の部屋を訪れてきて、怖くて寝れないから一緒に寝ようって言ってきたんだっけか。最近の留美を見ていると考えられないものだ。
留美の寝顔を見ていると、ひょっとしたら今も昔も彼女は変わってないのではないかと思ってしまう。
「じっくり寝顔見ているとこ悪いんだけど、起こさなくていいの?」
「あ、そうでした。でも、どうやって起こしましょうか…」
「たしかに無理矢理起こすのは気が引けるわね」
俺と礼子さんはどうやって留美を起こすかしばらく悩んだ。
その結果、
「よし!このままにしておきましょう」
「そうね、いきなり起こして怒られても嫌だもんね。」
ということになった。
お風呂は先に俺が入り、上がった時に留美を起こすことにしよう。
俺たちは留美の寝顔を目に焼き付けて、部屋を後にした。
「いや…」
留美は扉の前で仁王立ちをしている。
「いや…じゃないわよ!あんたのせいで友達に変に思われたらどうすんのよ」
「そ、それはごめん…」
「葛城留美のお兄さんは一人おしゃべりが趣味のド変態野郎って噂になるわよ」
「独り言と変態関係なくない!?」
留美は俺に罵倒の言葉を浴びせた後、どうだと言わんばかりの勝ち誇った顔をしていた。
「それはそうと、いつお風呂沸かすのよ。私さっきからずっと待ってるんだけど」
「え…あぁ、ごめんよ。今からやるよ」
どうやら気絶している間、留美は俺がお風呂を沸かすのを待っていたらしい。
自分で沸かせばよかったのにと思ったが、兄として頼られることはまんざらでもないため、素直に聞くことにした。
「しっかりしてよね~」
「はいはい…」
どうやら俺の妹はわがままな子に育ってしまったらしい。いや、いつも甘やかしている俺が悪いのか?
「んじゃ、お風呂よろしく~」
そう言い残し、留美は部屋を出た。
留美がこんな性格になったのはいつからだろうか。
俺たちが黒羽町に引っ越してきた時はあんなに愛らしく、まるで小動物のように可愛かったのに今はどうだろうか。まるで金剛力士像のような力強さを誇っている。そして、いかめしい表情ができるまで成長した。
もし、全日本威圧選手権なんてものがあったなら、留美は恐らく女子部門でぶっちぎりの一位になることだろう。
そんなことはさておき、さっさとお風呂を沸かさないと。
「ずいぶんと怖い妹さんね。私見てるだけで死にそうだったわよ」
どうやら俺と留美が話をしている間、礼子さんは本棚によっかかっていたらしい。
「いつもはもっと怖いですよ。ってか礼子さんもう亡くなってるじゃないですか。」
「あっ、そうだった」
出た、幽霊しかできないギャグ。もう亡くなってるなんてツッコミ初めてしたよ。
「とりあえず、俺お風呂沸かしてきますね」
「あ、待って!私もついてく」
俺と礼子さんはお風呂場へと向かった。
「へぇ~、結構大きいお風呂じゃないの」
礼子さんは浴槽をまじまじと見つめていた。それを尻目に俺はいつもと同じ手順で浴槽を洗っていく。
五年も家事をやっていると手慣れたものである。もちろん、ここに引っ越してきた時からすべてできるわけではなかった。当時の俺は中学一年生で、料理の仕方も調理実習で習った程度のものしか作れなかったし、家事も全然できなかった。幸い、近所にあった本屋で「初心者向け家事のコツ」、「今日から始める自炊講座」という本を見つけたため、難を逃れることができた。そのおかげで、最初は留美に不味いと言われていた料理も今は悪くないといった顔で食べてくれるようになり、掃除や洗濯はもはや楽しみに近いものとなっている。
「ふぅ…こんなもんでいいか」
浴槽洗剤のおかげか、あるいは俺の実力なのか、浴槽は光を反射するほどピカピカになっていた。
「あなた結構やるわね。もし私が生きてたら雇いたかったわ」
「普通に考えてめんどくさそうなので嫌です」
礼子さんはムスッとした顔をしている。
掃除を終えたところで、湯沸かし器のボタンを押す。あとは部屋に戻る前に留美にお風呂の準備ができたことを伝えに行かねばならない。
俺と礼子さんはお風呂場をあとにした。
コンコン…
「留美、お風呂準備できたから十分ぐらい経ったら入りな」
「…」
おかしいな。返事がない。
「おーい。留美ー」
「…」
やはり返事がない。トイレだろうか。
「入るぞ」
少し不安になったため、留美の部屋に入ることにした。
「レディの部屋に勝手に入るなんていけない子ね」
「こ、これはしょうがないですよ」
背後から礼子さんからの冷たい視線を感じる。
部屋に入った瞬間、返事がない理由が分かった。
留美はベッドの上でスヤスヤと寝息を立てていた。
その寝顔を見ていると、なんだか心が落ち着くような気がした。
「どんなに怖くても寝てるときは可愛いものね」
「確かにそうですね」
留美の寝顔を見たのは小学四年生以来だろうか。
あの時はたしか心霊番組を見た日だった。それで夜中に留美が俺の部屋を訪れてきて、怖くて寝れないから一緒に寝ようって言ってきたんだっけか。最近の留美を見ていると考えられないものだ。
留美の寝顔を見ていると、ひょっとしたら今も昔も彼女は変わってないのではないかと思ってしまう。
「じっくり寝顔見ているとこ悪いんだけど、起こさなくていいの?」
「あ、そうでした。でも、どうやって起こしましょうか…」
「たしかに無理矢理起こすのは気が引けるわね」
俺と礼子さんはどうやって留美を起こすかしばらく悩んだ。
その結果、
「よし!このままにしておきましょう」
「そうね、いきなり起こして怒られても嫌だもんね。」
ということになった。
お風呂は先に俺が入り、上がった時に留美を起こすことにしよう。
俺たちは留美の寝顔を目に焼き付けて、部屋を後にした。
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