三択楼の番人

とかげのしっぽ

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10、スエキチ(後)

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 掃除と修繕の現場にいない限り、あんなに良い子はいない。
 この言葉は、ある程度は真実だと思う。……そう。ある程度は。

「ほら!鰻重弁当かっぱらって来たよ!」
「え?!」

 いきなり飛び込んできた言葉に、私は耳を疑った。

「え、……待って、どういうこと?」
「僕はお弁当屋さんだから!ちょっとお店からかっぱらって来るくらいお茶の子さいさいなんだよ!!」
「盗みは犯罪だよね?例え店からでも駄目でしょう?!」

 慌てた私に、緑色のほっかむりを被った蝦蟇のスエキチは、心底不思議そうに首を傾げた。
 ちなみに、彼が入ってきたのはまたしても玄関ではなく、窓。

「違うよ?僕は賄いの弁当貰ってきただけだからね、店長優しいから食べ盛りさんの僕には二つセットでくれるんだよ?」
「それじゃあ“かっぱらう”なんて変な言葉を使わないで!」
「あはは、ごめん!」

 スエキチはもうちょっと言葉の使い方というものを学んだ方がいい。しかも、である。それを忠告した私に、スエキチははっきり嫌だと断言してきた。もう、始末に追えない。

「だってさ、僕は文法博士でも新聞記者でもないもんね!」

 清々しいまでの簡潔さで、スエキチは私に語る。自分に必要なものと不必要なものをはっきりと二分してみせる。

「僕が学ぶのは、毎日美味しいお弁当の作り方、保存の仕方、お金の回し方、お客さんの相手、呼び込み。でも、言葉の使い方を間違えるのはご愛嬌。これくらいでちょうど良いんだから、勉強はしないんだよ!」
「ちょうど良いって言うのは違うんじゃない?今さっきのアレは、言葉の意味が通じないよ。」
「アハハ、でも結局通じたでしょ?僕は今まで、本当に困ったことは一度もないよ!」

 何かがおかしい。私はそう思いながらも、明確な反論が浮かばすにいた。自分の胸の中に巣食うモヤモヤを言語化しなければ。その論理はおかしい。実利にならないものを全て捨てるなんて、それは本当に良い結果をもたらすとは思えない。私は必死に頭を巡らせる。

「お弁当屋さんに、正確な文法とか単語の意味がわかる脳みそとか、いらないでしょ?」
「で、でも、そんなこと言ったら……。」
「ねえ、柚子ちゃん。逆に、僕は不思議だよ。」

 その瞬間だった。

「————ねえ。柚子ちゃんには、何ができるの?」

 スエキチの透明感のある声が、ガラス鈴を鳴らしたように私の頭を透過して胸の奥底の琴線に直撃した。
 そう。それは、衝撃的な事実だった。

「……私は。」

 私は信じられないような思いで、狼狽にうろうろ視線を泳がせた。

「ねえ。柚子ちゃんは、自分のことどう思ってるんだろう?自分にとって本当に誇りに思える何かはある?」
「私は、何も……」

 唇が、震える。ポロリと溢れかけた言葉が何なのかを認識しかけた時、私は絶望に口を閉じた。
 今、私は何と言った?
 何と言おうとした?

 ……嘘だ。私の台詞は、これは絶対に間違っている。

「あはは。でも、出来るはずなんだよね。僕は見た。」
「………へ?」
「柚子ちゃんは、本当に凄いことが出来るって。だから僕、さっき大興奮しちゃったんだよ。」

 私はさらにウロウロと視線を泳がせる。黒い天井。丸太の壁。木の机。


—————青い、鶴。


 気付けば私はふらりと立ち上がっていた。手を伸ばして、机の上に置かれた折り紙の青鶴ちゃんを掬い上げる。
 私はくるりと振り向くと、すっくと立ってスエキチの目を見つめた。
 不思議に、景色が鮮やかだった。視界がくっきりはっきりと、揺らめいている。まるで、光に酔ったような気分だった。

「私は、折り紙の生き物を操ることが出来る。」

 私が呟いた。その時だった。
 糸が繋がる。薄い銀糸が、不可視の闇の道を通って、魂と魂を接続する。

「私の能力は、紙人形劇。ヒトの見る夢が、薄っぺらな紙に命を吹き込む。それまさしく神の所業。君臨するは、人呼んで『紙人形使い師』『雨の香の申し子』『柚子の御方』。」

 最早、自分でも何を言っているのか分からなくなっていた。
 何かに取り憑かれたように、唇が勝手に言葉を紡ぐ。自分自身の台詞の内容すら理解ができない。そもそも聞こえているようで意味のある言葉に聞こえていない。
 夢に巻かれたように、頭がぼんやり霞がかる。だというのに、視界はさらに鮮やかに、さらにはっきりと。透明感と色彩を同時に強めてゆくこの世界において、びゅうっと風が舞った時。


——————ふわり。

 青鶴ちゃんが、私の手を離れて空中を飛翔した。





 それはまるで、虹のようだった。
 光の具合と、宙を舞う水の粒。精密に計算され尽くした限られた条件においてのみ発揮される、自然界の芸術品。

 ふわり。ふわりと、青鶴ちゃんは翼をはためかせる。
 信じられないと、私は目を見張った。
 風の吹く野外において、凧揚げをするように糸を指に絡めて飛ばすのが、私の得意な術だった。どんなに緩やかな風でも、上手く空気の塊に乗せて自由自在に舞い踊らせるのが、自慢だった。

 ……決して、折り紙を勝手気ままに空中浮遊させる術ではなかった。

「…え。私……えぇえ?!」

 正直に言う。私は慌てふためいていた。
 周りのオバケたちが魔法を使うのはまだいい。何せ、彼らは常識で測れない存在だから。

 ……しかし、自分自身は?

 こんなに論理で説明が付かない現象を自分が引き起こしてしまったことに、未だ理解が追いついていなかった。

「すごい!やっぱり人間って、カッコいい!!」

 そして、何やら叫んでいる蝦蟇使いのスエキチの興奮も、よくわからない。私はただただ自分の手と、ひらひら蝶のように舞い続ける青鶴ちゃんを交互に見ては、目を白黒させるしかなかった。

「……えぇえ…どうしよう。どうしよう。どうしてこうなったんだろう。」

 低い声でぶつぶつ呟き、懸命に論理を考える。
 しかしどんなに考えても、この現象に説明は付かなかった。

 ……青い鶴が、空を飛ぶ?折り紙に命を吹き込む?人間が魔法を使う?

 そんな。あり得ない。エレーの神の世において、非常識というものは普遍的に存在する事実なのだろうか。残念ながらそうらしい。

「そりゃあ決まってるじゃないか!」

 テンションが最高に上がったスエキチが、天へ向かって拳を突き上げる。私は面食らって目をパチパチするも、スエキチは輝く太陽の笑みで私を圧倒する。笑顔にキラン、と白い歯が光った。

「これが柚子ちゃんの能力だからだよ!!」
「…………なるほど。」

 なるほど。
 よくわからない。
 私の混乱は、ついに極みに達した。





 そういえば。と、私は思い出した。
 エレー神殿の鳥居を潜る前のこと。紅鶴ちゃんを失くした、あの時。
 糸は繋がっていたけれど、紅鶴ちゃんが自分の意思で勝手に羽ばたき出したように感じた。あの感覚。

 ………そう。ちょうど今と似ている。

 黒い丸太の天井を背景に、青鶴ちゃんはひらひらと舞っている。宝石のように透明感のある瑠璃色。通り過ぎていった路に光の尾が走ってゆくように錯覚されるそれは、まるで青アゲハが鱗粉を撒き散らしながら飛び回っているかのよう。

「おいで。」

 私が静かに声をかけると、青鶴ちゃんは大人しく宙を滑ってきて、差し伸べた指の上にとまった。ちょい、と黒尾を傾げて私を見上げる青鶴ちゃん。宿り木を用意した方がいいかもしれないなぁ、とぼんやり思った。

「……そういえば、今朝窓が開いてた理由って……。」
「そりゃあ、その鶴が開けてくれたんだよ?いくらなんでも、鍵の掛かった窓からは侵入しないよ!」
「じゃあ、もしかして胡麻ねえさんは嘘を付いてなかったってこと……?」
「やだなあ。母さんは嘘つくような人じゃないよ。」

 スエキチは、「それにしても、無意識かぁ。やっぱり無意識下で具現するんだね……。」などとぶつぶつ訳の分からないことを呟いている。そして、うーんと伸びをすると、また私の方を見た。

「うわあ。やっぱり、僕のお店に欲しいなぁ!柚子ちゃんが店番やってくれたら、お客さん山ほどやってくるよね!招き猫ならぬ、招き操り紙人形師!」
「そんな突拍子もない呼び込み聞いたことないよ……」
「あはは!確かにそうだね!」

 困ったような顔をする私に気づいているのかいないのか、スエキチは本当に朗らかに笑う。解けかけていた緑色のほっかむりをぎゅっと結び直して、彼はうーんと腕を組んだ。

「それに、人間を働かせるなんて、メチャクチャだもんね!」
「そ、そうなの?」
「そうだよ!聞いたことないもん!」
「……そっか。まあ、正直なところ、お弁当屋さんで働くのは私の性に合わないと思うんだけど……。」
「あはは、なら尚のこと仕方ないね!」

 清々しいほどにこやかに笑うスエキチを見ていると、何だか不思議な心地に包まれる。
 まるで、彼は幸せになるために産まれてきたような。一生迷うことなしに、ずっと彼だけに定められた笑いと幸福の道を駆けてゆくのではと想像させるような。
 スエキチの黄緑色の目がギョロッと動く。目があった瞬間、私は思わず聞いていた。

「ねえ、スエキチくん。」
「ん?何なに?」
「……スエキチくんは、どうしてお弁当屋さんになったの?」

 唐突な質問に、しかしスエキチは戸惑った様子はなかった。

「店長さんに憧れたから!」

 よくぞ聞いてくれました!という表情を顔いっぱいに浮かべて、キランと黄緑色の瞳が輝いた。

「ある日父さんに叱られちゃって、ズズーンって沈んで道を歩いてたんだけどね。そういえばお腹減ったなぁって思ったその時、目の前に黒い包みが差し出されたんだ。タレの焼ける香ばしい匂い。ご飯にのった真っ黒な海苔。店長さんが『食えよ。坊主。』って言ってくれたあの瞬間は、一生忘れない!」

 次第に瞳のキラキラが増してゆく。ほっかむりの端からはみ出している髪の毛が、僅かに逆立ってゆくのが垣間見えて、ちょっと鳥肌が立った。

「僕もいつか『食えよ。坊主。』ってお弁当箱を差し出す店長になるんだ!」

 どーん、と仁王立ちになるスエキチ。
 天へ突き出した拳は、とても眩しかった。

「……なんてこと思って、こっそり奉公に出ちゃったんだよね。」

 最後にそう付け足して、はにかむように笑う。

「そうなんだ。」
「うん。そうなんだよ!」
「そうなんだね。」

 私は圧倒されたような気分だった。

「……色んなオバケが、いるんだね……。」

 思わず呟く。
 驚いた。いや、驚かされた。
 雪。空蝉。胡麻ねえさん。そして、スエキチ。働く形態も理由も様々で、しかもあまりにもみんな個性的だった。私が今まで考えたこともない現実が、ここにはある。

 特に『————ま、人生の命運は他人任せ、いうのも案外いいもんじゃけん。』などと宣った胡麻ねえさんの言葉は、はっきり言って衝撃的すぎて、目から鱗が落ちた。
 そんな生き方をしていて、自分の送る人生に納得できなくなったらどうするのだろう。不幸が身を襲うたびに自分以外の誰かのせいにして、どんどん気分が落ち込んで、知らぬうちに色褪せた影のような薄っぺらい生き物に変貌してしまいそうだ、と思う。私には絶対できない生き方だ、とも思った。消極的な方向へばっかり進んでいたら、ほとんど確実に私はダメ人間になる。

 では、スエキチの働く理由は?彼は眩しい。本当に眩しい。だけど、やっぱり非現実的だ。憧れだけで職業を選ぶ?私には、考えられない。そんなものはない。例えあったとしても、それは偽物だと知っているから。理想と現実の齟齬に苦しんで、そして辞めていくだけの自分になると決まっているから。スエキチのやり方は、到底私には真似が出来ない。

「…………もしも。」

 ここまで考えて、ふと、思いついた。

「ん。もしも?」
「もしも、私の職業選択の参考になるオバケがいるとしたら……。」

 戯れのような、アイディアとも言えないような考えだった。

「……出会うオバケに片っ端から仕事の選び方聞いてみたら、何かがわかるかもしれない……。」

 自分で言っていて恥ずかしくなった。
 こんなに子供っぽい、行き当たりばったりなこともない。

 ……しかし、何となく。何となく、直感が告げているのも確かだった。

 『これでいい』と。
 こうやって手探りでも、藁をも掴むような愚直な行為でも、ただ未来のことを考えることこそが、遠回りに見えて外へ出るための一番の近道なのだと。

 今のままで外の世界へ戻っても、私はきっと途方に暮れる。私は向こう側の世界で、『学ぶ者』を卒業して『選ぶ者』にならざるを得ない。それは決定事項であり、覆すことは出来ない。にも関わらず、将来就きたい職業の候補すら決まっていないのだ。ここで暮らしていても、向こうに帰っても、ふらふらと身の置き所が定まっていないことに変わりはない。

 ……それならば。私の出来る限り足掻いてみよう。

「そうだね!ここには色んなオバケがいるし、とっても面白いと思うよ。」

 ニコニコと屈託なく笑う。
 スエキチの無邪気な顔を見て救われたのも、また確かだった。

 ……と。突然スエキチはあっと手元の布包を持ち上げて、しまったというようにこちらを見た。

「そう言えばお弁当冷めちゃったね!」

 あはは、と頭をかくスエキチ。彼は困ったように眉を下げて、さらに言葉を続ける。

「それに、今日は断水だから飲み物がないよ!」
「……あ。」
「大変だ!柚子ちゃん、井戸で水汲んで来てくれる?その間に僕がお弁当あっためとくから!」
「え、井戸があるの?」
「あるはずだよ!ここの森の道は全然知らないけど!」
「そんなこと言っても、私だって知らないよ?川の水じゃだめ?」
「ダメだよ!お弁当に合わせるのは、絶対に美味しい水にしなくちゃ!」

 こういう時に限って、頼りになる胡麻ねえさんのような人がいない。
 スエキチは井戸の場所を知らないし、私は井戸があったことすら知らなかった。一体どうすれば良いんだ、と途方にくれたその時。

《—————案内してあげるわ。》
「……え?」

 ひらり。小さな小さな青い影が、ひらりと雪の結晶のように舞った。
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