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11、闇笠(前)
しおりを挟む雨の香が立ち上る。
土を踏むたびに、しっとり濡れた落ち葉がくしゃりとへこむ。草葉や花に溜まった露がポロリとこぼれ落ちる。……きっと、夜のうちに降ったのだろう。
私が来てから、まだ一度も雨音を聞いてはいないけれども。いつかは外へ出ていってこの身に浴びることが出来るはず。私は目を瞑って、芳醇な森の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
(……落ち着く。)
私はふうっと息を吐くと、くるりと後ろを振り返って、上を見上げた。
「それじゃ。」
私は、宙に向かって微笑みかける。
「……井戸までの道案内をお願いしてもいい?」
《——————うん、任せて!》
胸に溶けるように紛れ込んできた“想い“に、私は「ありがとう」と返事をした。
主人よりもこの世界をよく知っているらしい折紙に、ちょっと苦笑いが漏れる。青鶴ちゃん。瑠璃色の小さな鶴。地図がわりにもなるとたった今しがた判明した紙の妖精。彼女は、蝶のようにひらひらっと舞い上がった。
今の私たちは、井戸に直通するという一本道を歩いていた。
一本道とはいえ、途中で獣道へと成り果てるそれは周囲の森の土に完全に紛れ込む。結果、私たちはほとんど道なき道であり鬱蒼と繁る木立を歩まなければならないらしい。なんでそんな面倒な場所に設置されているのか?私も疑問に思ったが、それは普段は必要とされないものだからだ。浄水場の休みというのは、やはそう頻繁なものではないらしい。
ただ、今すぐに井戸の美味しい水を飲みたければ、森の奥へ汲みにいかなければならない。つまりそこは川の水や溜めておいた雨水で妥協出来ない人たちのための、あまり需要のない場所だ。正直、私は川の水を沸かしたもので良かったのだけれど、スエキチが聞かなかった。彼は案外頑固者だ。
お昼ご飯をスエキチと私で食べるので、用意する水も二人分。提げてゆく竹筒も二人分。
「……雨の香。」
私は呟く。
やっぱり、外へ出てきてよかったと思う。私が好きなものと言ったら、雨だ。土砂降り。嵐だって大歓迎。水の流れる轟音が、脳味噌に心地の良い音楽となって全身を揺さぶる。
だから、もちろん雨の匂いも大好きだ。
《——————ねえ、柚子ちゃん?》
「ん?」
私はふと足を止めた。いつの間にか、青鶴ちゃんの進みが止まっていた。羽ばたきながらこちらを振り向き、空中停止をしているのだ。
《——————私って……綺麗?》
えっ?と。思考が停止してしまった私は悪くない。流れ込んで来る不安げな想い。すぐに応えてあげなくてはと気持ちだけが空回りして、肝心の台詞が思い浮かばない。
しかし、私の口は脳味噌よりも優秀だったようだ。気付いた時には、私は返答を完了させていた。
「もちろん。青鶴ちゃんはとっても美しいよ。」
すぐに、第二の問いが飛んでくる。
《——————それは、この世界に生きるオバケの、誰よりも……?》
「もちろん。化粧に飾った氷魔女の雪ちゃんよりも、若返った胡麻ねえさんよりも綺麗だよ。」
何の問答だろう。ため息が漏れそうになるのを抑えながら、私は青鶴ちゃんを見上げた。私の答えに大変満足したのか、随分ご機嫌にひらひら飛んでいる。……まあ、私にご機嫌取りのための嘘をつくまでの義理はない。彼女は本当に美しいのだけれど。
青い紙の鶴。
彼女はこの世で生きる中で最も儚く、弱い存在。
雨に濡れれば、羽が折れる。嘴が歪む。嵐のただなかに放り出されれば、きっと一刻も経たずに死んでしまうのであろう。
脆いものにこそ、そこに価値が生まれる。
失われやすいものは、それだけで美しい。
………そんな理屈を捏ねたら、青鶴ちゃんは怒るだろうか。
「……本当に、あなたは綺麗よ。」
誰にも聞こえないほど小さな声で呟いた時。
「—————ふむ。人間の客か。」
暗黒の闇夜の底から這い出てくるような、重厚な声。
バッと振り向けば、そこに立っていた男は。
黒のビロードで織られた蝙蝠傘を高々と掲げ、漆黒の闇に染まったマントを纏う、フードで顔を隠した怪しい男。
彼は歩みを進めるでもなく、ただじっと私の方を見つめている。
「その身から沸き立つ、強烈な雨の香。己で用意すればいいものを、わざわざ水を取りに来る雨ゆかりのオバケなど……怪しい輩だと思ったが。」
す、と。彼は足を退けるような仕草をした。道が開く。彼の背後にあるものが、明らかになる。
「全く。つまらんことだ。」
(……あ。)
彼の背後。その高身長と黒マントに、隠されていたもの。
(い、井戸だ……。)
鶴瓶式の石組みの井戸。青鶴ちゃんが案内して、私が水を汲むために目指した場所。思ったよりも近くにあったらしいそれを見つけてホッとすると同時に、私はとある問題に深刻に頭を悩ませ始めていた。
(……この変な男の人のそばを通り抜けて水を汲むとか、恐ろしすぎて絶対出来ないよ…!)
冷や汗が流れる。
秋の涼しい風が吹く森の中。何故か私は汗びっしょりになって、不審者を目の前に立ち尽くす羽目に陥ったのだった。
……が。
ふと、私は気付いた。
「……えっと…月乃さんの、双子さんですか?」
「そうだが。」
月乃。
里においては珍しい、いわゆる『余所者』だった。
都の大手銀行員を定年退職後、田舎暮らしに憧れて越してきたと噂の女性。人間界の里では、遠目に見たことがあるぐらいであまり交流はなかった。
黒ずくめの男、ということで頑張って頭を捻って、そういえばと思い出した。人間界に住んでいる人の中で彼に似ている人といえば、黒いワンピースが好きなおばさん、月乃。咄嗟の思い付きを口に出してみれば、そうだった。しかし男はそれが何か、といった調子で、取り付く島もない。
気まずい沈黙が流れる。より正確に言うならば、恐ろしい沈黙が。私は『何か喋らなければ』という奇妙な義務感に追い詰められて、ついに口を開いた。
「………ご。」
「ご?」
「……ご職業をお伺いしても、よろしいでしょうか?」
「は?」
ぞわり。背中の毛が文字通り逆立った。
コヒュッと息を吸う。私は酔いそうなほど目を泳がせながら、自分の言葉を猛烈に反省した。初対面で“ご職業をお伺いしても”などと言う子供を初めて見たのだろう。
男は宇宙人でも見るような目で私を見下ろしていた。しかし何なんだこれは。異常な重圧。脳味噌が凍結する。眼前に叩きつけられる死のイメージ。
……あぁそうか、これは“殺気“だ。現実世界で浴びたことのないそれの正体をようやく理解した時、私はすでに金縛りにかけられたようになっていた。随分と異様な威圧感を纏う彼はゆっくりと口を開き……
「俺は処刑人だ。」
「はひ!」
思わず漏れた私の小さな悲鳴に、男はぴくりと左の眉を動かした。
「…………何だ。」
「なっ何でもありません!」
「そうか。」
言うなり、男は静かに黒傘を回した。
さらに重圧が増し、男がくるくると回し続ける傘から、シャラン、と金属の擦れるような音が響く。……もしや、武器類がそこに隠されているのだろうか。処刑人というのは恨みを買いやすいから、そこに武装しているのかもしれない。そんな風に色々な物騒なことを考えながら、私は根が生えたように地面に立ち続ける。
気付けばフードの奥に隠れた青色に光る目が、呆れたように私を見つめていた。
「ふむ。逃げないのか。」
「……に、逃げた方がいいんですか?」
「どう思う。」
「わからないです。」
私がそう言うと、男は虚を突かれたように無言で固まった。私も、何だか自分の馬鹿さ加減に泣きたくなっていた。怖い。確かにそうだ。しかし自分の身に脅威が襲いかかった時、私は冷静な判断能力をゼロにしてしまうのだろうか。
男もどうしたらいいかわからなくなった様子で、しばし身じろぎもせずに佇んでいた。
「……あ、あの。」
「何だ。」
「私、実は、職業選択の経験談をできるだけたくさん集めたいと思っていて。それでさっき貴方に会った時、見境もなく、」
「唐突に俺の仕事の話を始めたのか。」
「……はい。」
「ハア。」
男はどこか憐れむような目で、私の顔を見つめた。一度感じた、肌を針で刺されるような緊張感は失われていた。鬼火のようにも見えた青く光る瞳は、穏やかな水の色として私を静かに見守っているようだった。
………父親。
何故だか、そんな言葉が脳裏に浮かぶ。ふわりと風が吹くと、漆黒のマントが翻った。黄色い太陽の元でさらに濃さを増す暗黒の衣を纏った彼は、ゆっくりと井戸端に腰掛ける。青紫色の唇が逆さ三日月に持ち上がり、彼は強くこちらを見つめた。
「まずは名乗ろう。俺の名は闇笠。吸血鬼であり、仕事は処刑人だ。」
「……私は柚子です。人間で……それから多分、紙人形使いかなぁと自分で思っています。」
「成程。」
了解した、と頷く闇笠は、「アメフラシとかではないのだな。」と低く呟いた。私は少しだけ居心地が悪くなった。……私はそんなにぷんぷん匂っているのだろうか。雨の香。空から降ってきてまた空に還る、生命の根源の匂い。
私は咳払いをして、闇笠の注意を引き戻した。
「さっそく本題に入ってもいいですか?」
「好きに入れ。」
「それじゃあ聞きます。……どうして闇笠さんは処刑人になろうと思ったんですか?」
「消去法だ。」
「へぇ……え?」
ん?と私は固まった。こ、これで終わりなのだろうか。
闇笠は自身満々に頷く。
「あぁ。これで終わりだ。」
「な、なるほど。」
ん?他に何かあるのか?とでも言いそうな気配だ。説明は確かにわかりやすく、簡潔極まりない。……だが、絶対に納得させる気がない。
「……あの、闇笠さん?そこのところ、もうちょっと詳しくお願いします……。」
「ふむ。」
私が懇願すると、闇笠は顎に手を当てて少々考えるような素振りを見せた。うーんと悩むこと数秒、彼はふっと森の樹々を見上げ、すーっと飛んでゆく赤トンボを眺めた。トンボは円を描くようにぐるぐると樹々の間を回っていたが、やがて場所に飽きたのかどこかへ行ってしまった。
トンボが消えた方向をぼんやりと見つめながら、闇笠は静かに呟いた。
「俺は闇に生きる者だ。」
「……はい。」
「太陽の光を直接浴びることが出来ない。吸血する習性を持つ。学問は苦手だ。見た目は恐ろしく、少しばかり殺気を放てば好きなように弱小者を震え上がらせる。……と、ここまで考えれば明らかだろう。」
「…………。」
選択肢など元よりなかったと嘯く彼の声に、悲壮感はない。ただ淡々と、彼は事実を語っているだけだった。
ただ、少しばかりの揶揄を込めて。自嘲気味に。
「具体的に言ってやろうか?俺には、農作業は向いていない。接客業もほぼ不可能で、研究者や執筆業などの頭脳労働は想像だに鳥肌が立つ。出来ることと言えば、刺客か処刑人くらいだった。」
ひらり、と黄色に染まった葉っぱが舞い落ちた。虫食いはない。汚れもない。
美しく煌めくように降りてきたそれは、闇笠が差した傘の上に着地。そのままするりと滑って、地面へと落ちた。
「……それは。」
「ふむ。我ながら詰まらん例だ。何の参考にもならないだろうな。」
「いえ。貴重なお話をありがとうございました。」
私が勢いよく頭を下げると、闇笠は心底驚いたようにこちらを振り返った。
「今の話が貴重だと?」
「はい。ものすごく。」
「酔狂な野郎だな。」
そうでもないと思います、と私は静かに言った。本心だった。
確かに、私のような人間とは境遇も何もかも違いすぎて、職業選択の参考にはなりそうにない。……ただし、一見は。
“やりたいもの“ よりも“やりたくないもの”を見つける方が楽だ。これは当たり前のようで、気づきにくい事実だった。盲点、と言っても良いかもしれない。
出来ないものをひたすら取り除いていって、残ったものを吟味する。逆説的なようだが、それは実は、一番幸せを手にするにふさわしい方法なのではないか。
「……闇笠さんの生き方はかっこいいと思います。」
—————少なくとも、何も決断することが出来ていない私よりは。
そう心の中で呟いて、私は寂しげに微笑んだ。
「それでは。さようなら。」
もう一度頭を下げて、別れの挨拶をする。くるりと踵で回れ右をして、私はざわめく森の小道へと一歩を踏み出した。今日は良い出会いがあったな、と思う私の目には、少しだけ涙が滲んでいた。どうしてしまったのだろう。あのどこまでも澄み切った闇。華やかな振袖を捨て去り、ビロードの黒を実直に磨き上げた……彼はそんな大人だった。私は魅了されてしまったのだろうか。吸血鬼の生き方に。私には絶対に真似のできない、そういう時人生の選び方に。じわりと水に滲んでぼやけた視界をそのままに、ぐすりと鼻を啜った時。
《————ねえ。水を汲むの忘れてるよ、柚子ちゃん。》
青鶴ちゃんの“思念”に助けられた。
「あっ!肝心の水汲み忘れてた!!」
「………とんだ間抜け野郎だな。」
ムッと闇笠を見やる。
完全に呆れて馬鹿にしている。『間抜け野郎』などとひどい言われようだ。
……しかし、何故だろう。不思議に心が温かい。私は恥ずかしさに顔を真っ赤に染めて俯きながら、井戸へ水を汲みに舞い戻った。
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