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第5章 遂に始動!

13話 リューガ男爵④

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 リューガ男爵は今の状況が怖くてしょうがなかったのである。外からは悲鳴しか聞こえてこなくて、窓から外を見ると私設兵団が次々に倒れていくのである。そして、あの生意気な平民と目が合うのであった。その目は怒りに打ち震えていて遠くにいるはずなのに間近で睨まれているかのようである。

「おい!何をやっているのだ!あんな小僧一人に!」

「御屋形様はすぐに避難してください!」

「何を言っておる!早くあんな奴ひっ捕らえてこい!」

 団長はリューガ男爵の言葉に絶望しか感じなかったのである。たしかに見かけはまだ二十歳にもみない子供だがあいつの前に立つとドラゴンの前に立つのと同じくらいの脅威しか感じないのである。

 それをひっ捕らえろとは・・・そんなことせずに今は避難が最優先が何でわからないのか団長は苛立ちしか思わなかったのである。

 そして、遂にケンジは男爵の住む屋敷の扉の前に着いたのだった。ケンジは屋敷の扉を叩きつけるのだった。


ドン!ドン!ドン!

 するとケンジに向かって後方から矢が放たれるのである。


カン!カン!キン!キン!

 確かに矢はケンジに当たり刺さるはずだったのだが全て弾かれて下に落ちてしまうのであった。
 
「何ぃ~~~!」
「いったいどうゆう事だ!」

 ケンジは後ろを向き攻撃してきた方向にファイヤーボールを打ち込むのだった!


ドッカーン!ビりビリビリ!

 ファイヤーボールが着弾したと同時にそこにいた兵士はいきなり発火しあまりの熱量に兵士が装備していた鎧は溶けだし兵士たちはのたうちまわるしかなかったのである。

 そこは兵士たちが熱さに耐えきれなくて悲鳴や叫び声呻き声しか聞こえない阿鼻叫喚の世界が広がっていたのである。

【ファイヤーボール】
火属性魔法    3階位
消費MP     20
詠唱速度     1.5秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間     瞬間
効果対象     範囲内にいる者すべて
効果範囲     レベル×直径1m
必要秘薬     虹パール5個
備考
 火の玉を投げつける魔法。火の玉が一発発射することが出来
着弾した範囲内にいるもの全てにダメージを与え、
(5~10)×レベル半分のダメージを与える。



つまりケンジの場合範囲内にいる者一人に対し最低ダメージは5×250で1250ダメージになるのである。単純計算で60レベルの戦士では生き残れないのである。

 そして、ケンジは矢を全て弾き飛ばしたのだがこれもまた魔法の効果であり、昔マードックに攻撃して来いと言った時のことを覚えているだろうか。絶対に不意打ちを食らわないと言った意味がこの魔法である。

【ストーンスキン】
土属性魔法     5階位
消費MP      75
詠唱速度      1分(詠唱スキルが無い場合)
効果時間      攻撃され物理攻撃無効の膜が剥がされるまで永久
効果対象      術者のみ
効果範囲      なし
必要秘薬      紫水晶15個
備考
 この魔法は特殊で唱えると攻撃されるまで永久に
効果が続く。レベル二分の一回数物理攻撃無効化。
つまり1ダメージも通さなくなり無敵状態になる。


 ケンジの場合だと250回以上の攻撃回数が無効化できるのである。ケンジは攻撃されたが何の意味もないのである。兵士たちはケンジが無詠唱で魔法を唱える為近づくことが出来ず、弓矢で攻撃するしか出来なかったがこれも無効化され反撃を食らうのである。

これを見た残った兵士たちは戦意喪失し次々と散りじりに逃げ出すのである。

 しかし、結界でリューガ男爵邸は封じ込められており高い塀を上り外に逃げ出そうとしたがはじき返され地獄へと戻されてしまうのである。
 そして唯一の出口はギルとセバスが守っているリューガ邸も門だけであった。兵士たちは死に物狂いで出口へ逃げ出そうとしたがギルもまたAランク冒険者以上の実力を持っているためあっさりと倒されてしまうのだった。



 ケンジはリューガ邸の扉を蹴り破って中に侵入し、男爵がいるであろう立派な扉の前に立った。

 扉は中から鍵がかかっており開かなかったが、ケンジは扉を勢いよく蹴り破り中に侵入するとそこにはリューガ男爵と団長と兵士が5人武器を構えてこちらを睨んでいたのだった。

「貴様!こんなことをしてタダですむと思っているのか!」

「こんなこと?リューガ、お前は何回も俺に喧嘩を売って来たんだよ。その喧嘩を買ってやったんだ!なんの問題があると言うんだ。」

「平民の分際で貴族に喧嘩だと!馬鹿も休み休み言え!」
「お前たち何をしている!早くコイツを捕らえろ!」

 兵士たちは必死の形相をしケンジに向かって剣を振り下ろしてくるのだったが剣は全て弾き飛ばされケンジは兵士の鎧の上から拳をくらわせ全員を気絶させてしまったのである。

 ケンジは一歩一歩ゆっくりとリューガ男爵の側に近づき、男爵が逃げようとしたところを胸ぐらを掴み上に持ち上げるのだった。

「くっ・・・苦しい・・・その手を・・・」

 リューガ男爵は身動きが取れず手足をジタバタさせるぐらいしかできなかったのである。

「さあ、約束してもらおうか!今後俺達には係らないと!」

「だっだまれ!平民が儂に命令するな!」

 その言葉を発した瞬間ケンジはリューガ男爵にビンタしたのだった。あまりの出来事にリューガ男爵は呆然としてしまうのだった。

「あんたの言葉はハイの一つだけ。いいな!」
「もう一回いうぞ!これ以上俺達に・・・」

「だ!だまれ!お前たち平民は儂ら貴族の言う事を黙って従っていればいいのだ!」



      パアアアァァァ~~~~~ン!



 さっきより強めのビンタがリューガ男爵の反対の頬に炸裂し今回は顎が外れてしまったのである。

「アガ・・・アガガガが・・・」
「きひゃま・・・きょんなことひて・・・」

 続けざまにケンジはビンタを叩きいれたのだった。



       パパアーン!



 リューガ男爵はビンタの勢いがある過ぎて壁まで吹き飛んで気絶してしまうのだった。ケンジはリューガ男爵にヒールを掛け目覚めさすのであった。

「はっ!ここは・・・」
 目覚めたリューガ男爵はまたケンジに胸ぐらを掴まれビンタの構えをみせられるのだった。

「リューガもう一度言う!これから先俺達に係わるな!」

「うるさい!お前がこの家に便所を納めればいいだけのことだ!何を偉そうに儂に命令をしているのだ!」

 この押し問答をケンジ達は10回以上繰り返しリューガ男爵はケンジのビンタで頬がパンパンにはれ上がりあごの骨は砕け気絶してしまうのだった。

「こいつのこの性格は死ななきゃ治らんらしいな・・・」

 



 リューガ男爵にヒールを掛け目を覚まさせる。今度は目の前に手をやり火の玉を作り出すのだった。

「き、貴様いったい何を!」

「お前は俺にこれからいやでも係わってきそうだからな!命を奪う事にしたよ。今まで迷惑を掛けられた迷惑料をもらおうとおもう。」

「なっ!」

「こうゆう執行はどうだ?まずお前に身動きが出来ないようにしてそのあとリジェネレートを掛けるとHPが徐々に回復し、そしてファイヤーウォールをかけるとどうなるか・・・わかるか?」

「いったい何を・・・」

「ファイヤウォールの効果時間ずっとHPが回復していき死ぬことが出来ず焼かれ続けるんだ。死ぬに死ねない拷問だ!そして長時間焼かれ続けリジェネレートが切れたとたん地獄の業火に焼かれて死ぬんだ。」

「ま、待て!儂はまだ死にたくない!」

「遅かったな。俺がまだ係わるなと言っているときにハイと頷いていれば助かった命だったな。」

「い、いやだあ~~~~!儂はまだ死にたく・・・」

「うるさい!」ケンジはリューガ男爵にパラライズを掛け麻痺させてしまう。

 ケンジは先ほど言った様にリジェネレートを掛け動けないリューガ男爵にファイヤーウォールを唱えた!
 パラライズで叫び声も上げられずのた打ち回る事も出来ず、リューガ男爵は自分が焼かれていき部屋に嫌な臭いが充満してくるのだった。

 リューガ男爵にはこの状況が受け取れなくて精神が徐々に崩壊していきついには気絶してしまいブラックアウトしてしまった。


 ケンジはサーチで周りの事を見てみると逃げ出す影や潜んで隠れている者がもういないとわかりウィンドボイスでギルとセバスを呼んだのだった。


 すると二人はすぐにケンジがいる部屋に来たのだった。

「ギル。申し訳ないがこの金庫をあけてくれないか?」

「主・・・それはちょっとまずくないですか?仮にも人の金庫ですし・・・」

「ば、馬鹿!何を考えているんだ!人の金を盗むわけないだろ・・・いいから開けてくれ。」

「は、はい・・・わかりました。」

 ギルはケンジが何かほかに訳があるのかと思い金庫を素早く開けてしまうのだった。するとそこにはリューガ男爵の不正や賄賂、贈賄の数々の証拠がでてくるのだった。

「やっぱここに・・・こんなにいっぱいでてきた。」

「ご主人様・・・これはいったい・・・」

「こいつの犯罪の証拠だよ。」

 そこには何の傷も火傷もないただ醜く太ったリューガ男爵が立ったまま気絶していたのだった。


 ケンジはリューガ男爵をリジェネレートやファイヤーウォールで攻撃をしていなかったのである。部屋の中でファイヤーウォール等使ってしまったらケンジまで危なくなってしまうので、ケンジはコンフュージョンという魔法を使ったのである。

【コンフュージョン】
闇属性魔法    5階位
消費MP     30
詠唱速度     2秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間     レベル×1分
効果対象     一人
効果範囲     なし
必要秘薬     アビスの葉・マンドラゴラの根各2個
備考
 この魔法を使われると術者のイメージ映像が
脳に直接打ち込まれあたかも自分がその状況に
陥っているかのようになる。現実に起こっているような
感覚に陥るのである。

 この魔法を使いケンジはリューガ男爵に幻を見せていたのである。この魔法によりリューガ男爵は永遠に自分が焼かれる幻を見ていただけなのである。

 そこに町の衛兵団長や衛兵が部屋に乗り込んで来たのだった。

「ケンジ殿無事か?」

「ああ、団長さん。これを見てください。」

「こ、これは!」

「ええ、こいつの不正の数々の証拠書類ですね。他の貴族や・・・」

「ん・・・どうした?」

「言いにくいがこの町の衛兵支部長の賄賂の証拠だな・・・賄賂を受け取りこいつの刑期を短くした犯罪だ。」

「なっ・・・まさか!そんなことが・・・」

「これは団長に預けます。どうするかは団長に任せますよ。」

「・・・・」

「俺は攫われた仲間を救出しにいきます。」

「ああ、わかった!」

「おい!こいつをひっ捕らえろ!そして支部長も一緒に逮捕に行くぞ!」

「「「はい!」」」

 ケンジは急いでミナレス達が居る地下牢に急ぐのだった。






「ねえ・・・騒ぎが収まったみたいね・・・」
「うん・・・」

 するとカツカツカツと急いで階段を駆け下りてくる音が地下牢に響くのだった。

「みんな!大丈夫か?」

「「「ご主人様!」」」

「無事みたいだな・・・よかった・・・」

 ケンジは何の怪我もしてない3人を見てホッと胸をなでおろすのだった。

「ギル。鍵を頼むよ。」

 ギルはすでに鍵を開けて牢屋の扉を開けていたのだった。3人はすぐに牢屋から出てきてミナレスとミイナは安心しケンジにお礼を言いながら抱きつくのだった。

「ご主人様本当にありがとうございます!」
「心配かけてごめんなさい。」

「ああ、無事で本当に良かったよ。」

 すると横を見るとイチカが土下座をしていたのだった。ケンジはすぐにイチカの側に行き肩を掴むのだった。

「ご主人様!イチカも頑張ってくれたんです!おやめください!」

 ミナレス、ミイナはケンジが一華を責めると思い必死で擁護していたのだった。

「二人とも何を言っているんだ?」

「「えっ?」」

「俺はイチカが土下座する意味がわからないから起こそうとしただけだ。」

「ご主人様・・・ごめんなさい・・・わたしは二人を守ることが出来ませんでした。
そればかりかご主人様の手をわずらわせてしまい・・・」

「イチカ!あの状況はしょうがないよ!」
「そうだよ!イチカが悪いんじゃなくわたし達が・・・」

「そっか・・・二人を人質に取られてしまったのか。」

「「「え!なんでそれを?」」」

「いや、今の言葉でイチカが捕らえられた事がわかるじゃないか。イチカがそう簡単にここの奴らに負けるわけがないしな。」

「ご主人様・・・」

「だが、牢屋の中で二人をちゃんと守ってくれてたんだろ?なら充分イチカは役目を果たしたとおもうぞ。土下座なんてするな!」

 イチカはケンジの言葉が、とてもうれしく思ったのである。涙は流せないが下を向き、震えていたのがわかるのだった。

   


 ケンジ達はみんな無事なのを喜び家路につくのだった。

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