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第5章 遂に始動!

26話 アプリコット⑦

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 ギルドから出てきたアプリコットはケンジと一緒に奴隷商店に出向くのだった。

 奴隷商店の店員はまたケンジが店に現れたので驚くのだった。
「ケンジ様最近よくお店に来ますが今日はどういった奴隷をお求めですか?」

「いや、今日はこの人が俺に借金をしたのでこの人とが俺の奴隷になることになったんだよ。契約を頼む。」

 店員はその奴隷になる人を見てギョッとした表情になるのだった。

「ひょっとしてその方は生産ギルドの幹部の人じゃないですか?」

「まあ、その辺はオフレコでたのむよ。いろいろ事情というものがあるだろ?」

「これは失礼しました。どうぞこちらへ。」

 こうしてケンジはアプリコットと奴隷の契約を結び家に帰るのだった。






 そして一週間したある日生産ギルドから人間がケンジの家に訪問し訪ねてくるのだった。

「あの、すいません、ケンジ様は御在宅でしょうか?」

 その呼び声にセバスが応対するのだった。

「えーっとどちら様でしょうか?」

「わたし達、生産ギルドで働いているアーチェとモーリスといいます。」

「はい。それで我が主に何か御用でしょうか?」

「「わたし達をケンジ様のもとで働かせていただけないでしょうか?」」

「は?」

 セバスは唐突な申し出に気の抜けた返事をしてしまうのだった。

「だから私達をケンジ様のもとで働かせてほしいのです。」

「そうゆう事なら間に合っていますのでお引き取りください。」

 そういうとセバスは二人に対して歯牙にもかけず扉を閉めてしまうのだった。

 すると扉の外に締め出された二人は扉をドンドン叩き自分らを雇ってくれと訴えていたのだった。セバスは困った様に扉を又開けてこれ以上迷惑を掛けると衛兵に通報しますよと忠告を入れるのだった。

「お願いします!門前払いされたんじゃ納得いきません!」
「できたら、ケンジ様と直接話させてください!それでもだめなら諦めます。」
「「だからお願いします!」」

 セバスはギルド職員がここまで迫力のある訴えは初めてで2人の訴えを聞き入れて、ケンジを呼びに行くのだった。

「それじゃ、この客室でお待ちください。主を呼んでまいります。」

「「本当に迷惑かけてすいません・・・」」

「絶対、採用させてもらおうね。」「うんうん!」

 セバスは二人を見てやれやれと言った表情でケンジを呼びに行くのだった。



「おまたせしました。俺がケンジです。」

 ギルド職員の二人はケンジが部屋に入ってきたらすぐに席を立ち頭を下げるのだった。

「で、セバスから聞いたのですがうちの店で働きたいっていうのは本当ですか?」

「はい!ケンジ様の店で働きたいのです。」
「どうかよろしくおねがいします!」

「申し訳ないがお断りさせていただきます。お引き取りしてもらっていいですか?」

「そんなこと言わずおねがいします!」「おねがいします!」

 二人は採用してもらうまで帰らない気迫でケンジに訴えるのだった。

「申し訳ないがうちの店の商品は企業秘密がいっぱいあるので、ギルド関係者を雇う事は出来ないのです。」

「「いえ!雇ってもらえるのならギルドをやめるつもりでいます。」」
「だからおねがいします!」

 二人はソファーから立ち上がりケンジに土下座するのだった。

 ケンジは二人の気迫に困り果てていた時、客室に慌てて入ってくる人物がいたのだった。

「アーチェ、モーリスあんたたち何をやっているの!」

「うん?アプリコットの知り合いっていうかまあ知り合いなんだろうな・・・」

 ケンジは呆れたように言うのだった。




 そう、この二人はアプリコットがギルドをやめたときに駆け寄ってきた二人であった。

「「アプリコット様!」」

「あんたたち!早くギルドに帰りなさい!何でご主人様に雇ってくれとお願いに来ているのですか?」

「わたし達、アプリコット様のいないギルドになんのやりがいを見出せません・・・」
「だからアプリコット様と一緒に働きたいのです。」

「・・・だめです!あなた達はギルドに帰りなさい!貴方達はまだ若い、ギルドの次世代を作り頑張らないといけないの!」

「そんな・・・」

「わたし達はアプリコット様に憧れ背中を追ってきました。その背中がいきなり無くなってギルドに魅力がもうなくなってしまったのです。」

「お願いします。アプリコット様からもケンジ様にお願いしていただけませんか?」

「わたしはもうあなた達の上司でも先輩でもないんです!わたしはもう一生奴隷でケンジ様の為にいえ・・・ケンジ様の為だけ生きていくんです。」
「もうあなた達に構って背中を見せれる存在じゃないのです。」

「「そんなことないです!」」

「貴方達は奴隷のわたしにかまっていていい存在じゃないんだよ?ギルドでこのまま働いてエリート職員になって生きていきなさい!」

「「わたし達はアプリコット様の側で働きたいのです!」」
「ギルドのエリートよりアプリコット様の側がいいです!」
「わたしもアプリコット様の側で働いていたいです!」

 二人はケンジに向き直って土下座するのだった。

「ケンジ様!お願いします。わたし達をケンジ様のお店で雇ってください。何でもしますからお願いします!」

「君達の気持ちはよく分かった。」

「「ホントですか?」」「それじゃあ!」

「ご主人様!この娘たちはギルドで!」

「アプリコットまあ待て!君達の気持ちはよくわかるがその申し出は断らせてもらう。ホントすまんな。」

 それを聞いたアプリコットはホッとしたような表情になる。

「なんでですか?ギルドで働いているからですか?雇ってもらえるならギルドはやめるつもりです!」

「いや・・・そうじゃなくてな・・・この家には秘密の事ばかりなんだよ。それを知ってしまうと君達に危険な事が起こることになるんだよ。」

「それならその事柄をしゃべらなきゃいいんですよね?」

「いや、そうじゃないんだ、アプリコット達は奴隷紋のおかげでしゃべりたくてもしゃべれないからもし権力者に捕まって拷問を受けたとしてもしゃべることはできないが、奴隷じゃない君達はその拘束が無い為しゃべってしまう事になるんだよ。」

「そうゆうとき権力者は容赦しないだろう!雇わない事は君達を守る事になるんだよ。」

「何で権力者から?」

「君達もギルドにいるならわかっているだろう?俺の商品はギルドでも。」

「ご主人様。この子たちは知らないと思います。便器の事は知っていますがギルドが手に入れようとしてたことは幹部のそれもごく一部しかいません。」

「あ・・・なるほど・・・そうゆうことか。」

「じゃあ、君達もわかることといえばリューガ男爵の事は覚えているか?」

「「それなら・・・おぼえています。」」

「うちの商品欲しさに俺の家族が2度にわたり攫われたんだ。その時獣人の尻尾も切られたことがあった。まあ、俺が超級ダンジョンで手に入れたエリクサーで治したんで事なきえたんだがな。」

 ケンジは魔法で治したと言わずエリクサーで治したといい、秘密を漏らさず説明をするのだった。

「もし、リューガ男爵に変わる権力者が手を出してきたとき秘密を守れると俺は思わないし、もし秘密を得たら君達は消される恐れさえある。」

「「そんなことには・・・」」

「いや・・・たしかにリューガ男爵のような貴族は存在するんだ。ちゃんとした気品の持ち合わせていて政治を正しくする貴族もいるのも確かだが俺達のような平民にちょっかい出してくるような権力者や貴族はろくでもない奴ばかりと思って行動するのが正解だと思う。」

「もし囚われたときは絶対秘密を守る様にしますから!」
「もし殺されてもその時は運命だと思いあきらめます!」
「「だから私達を!」」

「いや!そんな事があったら俺が目覚めが悪いからいやだ!」

「「そんな・・・」」

「アーチェ、モーリスいい加減にしなさい。採用は無理だとご主人様が言っているじゃないですか。あきらめなさい!」

「でも・・・わたし達はギルドでもう魅力を感じません・・・」
「ギルドでのエリートよりアプリコット様の側で働いていたいんです。」

 ケンジやセバス、アプリコットは二人の気持ちはわかるがどうしようもない事に困り果ててしまうのだった。

「アーチェ、モーリスあなた達はやっぱり今までの生活に戻りなさい!」

「「そんな・・・」」

「まだ生産ギルドは辞めていないんでしょ?それって雇われなかった時の保険でまだやめていなかったんじゃないの?」

「「それは・・・」」

「ってことは、雇われない事も選択の一つだったわけだよね。」

「「・・・・」」

「だったらまだ間に合うからギルドに戻ってギルドで働きなさい。あなた達とわたしはもう住む世界が違うと理解しなさい!」

 アーチェとモーリスはアプリコットの言う事に反論できなかったのである。確かにアプリコットを慕い職場を同じところで働きたいと思っていたがやっぱり自分を守りギルドをやめず守りに走った自分がいたのだった。
 これは普通の事なのだがアーチェとモーリスはアプリコットの気迫に押されて何も言えなかったのだった。

「アーチェ、モーリスあなた達の気持ちは嬉しく思いますがあなた達はもう一人で歩いて行けます!だからギルドに帰りなさい。わかった?」

 アーチェ、モーリスはショボンとし頭を下に下げ、ケンジにご迷惑おかけしましたと言いギルドに帰っていくのだった。





 二人が帰って行ったあとアプリコットはケンジに土下座をして謝罪するのだった。

「まさかあの二人がこんなことするとは思っていませんでした。本当にすいませんでした。」

「ああ、アプリコット謝らなくていいよ。それだけ君があの二人に慕われていた証拠だから胸を張ることだよ。それにあの二人を説得してくれてありがとね。」

「いえ、勿体ない言葉です。ありがとうございます。」

 そういってアプリコットは仕事に戻るのだった。




 そして部屋からアプリコットが出て行ったあとケンジはセバスに指示を出すのだった。

「セバスちょっといいか?」

「何でございますか?それにしてもこんなことが起きるとは想定外でしたな・・・」

「ああ、その事だが多分またあの二人はやってくることになるぞ。」

「ええ?あんだけ拒絶されたのにまたやってくるとはおもえませんが・・・」

「じゃあ、聞くがセバスがもし俺といきなり離れ離れになったらどうする?」

「それは何が何でもご主人様を探し出して・・・」

「それと同じことだよ。アプリコットはここに来ることをつたえていなかったんだろう・・・あの二人は必死でアプリコットを探しここを見つけたんだと思う。そしてギルドをやめる前に体が動いたことだな。」

「それではまた?」

「ああ、次はギルドを退職して訪問してくるはずだ。」

「そんな・・・それでは次は先ほどのような説得はできないんじゃ・・・」

「ああ!そうゆうことになるな・・・」

「ではどうしたらいいのですか?」

 俺に考えがある。次来たら俺に報告しまた客室に案内してくれ。ケンジは何か深く思い詰めるのだった。
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