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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

98話 学校の脅威

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 そして、それから3ヶ月が経った。私立の学校には、多くの保護者が詰め寄っていたのだった。

「一体どういうことだ!又学費の値上げとは、いったい何を考えているんだ!」

「そうは言われましても、教師達の人員確保にどうしてもお金がいりまして……」

「だったら、普通は学校側が教師達と交渉したらいいのであって、なんで生徒側……いや保護者側にシワ寄せが来るのだ!」

「いえいえ……これも大事なお子様を預かっている側としては、最高の教育の為に必要な事なのですよ」

「「「「「だからと言って!」」」」」
「この半年の間に、2度目の授業料の値上げなどどう考えてもおかしいだろ?」
「「「「「そうだそうだ!」」」」」」
「今回の、値上げはどう考えてもおかしい!我々は断固として抗議し、授業料は今までと同じ額しか絶対に払わないからな!」

 生徒の親は、学校側を非難した。しかし、対応をしていた教頭は涼しい顔をして、とんでもない事を言い放ったのだ。

「だったらどうするのですか?学校側は、授業料を払わない生徒の親には、それ相応の対応をさせていただきますがよろしいのですか?」

「何をするというのだ?」

「いや、この学校の教育は、元々貴族様が受けていたような教育を教えているのです。それはとても高価なものなのはご存知ですよね?」

「それがどうしたんだ?最初その値段を提示してきたのは学校側ではないか?」

「やはり、その値段では無理な話だっただけの話しですよ。だから、こうしてご両親に協力を募っているだけです」

「そんなバカな話が!それにそんな高くなっては、我々の稼ぎでは払えないのも当たり前じゃないか!」

「払えない?授業料が払えないとはあまりに計画がなさすぎでは?」

「馬鹿な事を!こんな半年の間に2度も値上げなど、聞いた事もないわ!」

「聞いた事がないのは当たり前じゃないですか?」

「何を開き直って!」

「ですが、学校という商売は今までにあったのですか?なかったでしょ?」

「「「「「それは……」」」」」

「学校側としても、お子様達には十分な教育をと考えています。そうなるとどうしても、お金がかかるというものです」

「だが、フリーの町の学校では、授業料の値上げなど聞いたことが!それに、7歳8歳の子供は授業料は無しと言うではないか!」

「そりゃ、あちらは国が経営し税金で賄っているのです。こちらと、一緒にされてはこまりますよ。だけど、あちらは2年こちらは倍の4年間で、質の良い教育を自負しております!」

 教頭の言葉に、子供の両親達は何も言えなくなってしまった。

「とにかく、授業料の値上げは認めない!」
「「「「「そうだそうだ!」」」」」

「困りましたねぇ……それなら学校側としては、貴方達を詐欺として訴えるしかなくなるのですが?」

「馬鹿な事を!」
「何で我々が!」
「そうよ!何で私達が訴えられなきゃ……」

「ですが、貴方達の子供は学校教育を受けているのに、その授業料を払わないと申される。これは食堂に行き、食事をとったが値段が高いと文句を言い、自分の納得した値段しか払わないと言っているのと同じ事でしょ?」

「そ、それは……」
「それは学校側が、勝手に授業料を値上げするから!」
「そ、そうだ!学校側が勝手に!」


「いえいえ……勝手に値を上げている訳ではございません!来月の授業料から、値上げを実施と連絡入れているではありませんか?勝手にと申されるのは心外でございます」

 もし、この場にケンジがいたら、学校側の意見はめちゃくちゃなもので、到底容認できるものではなかった。それを聞いた、親は顔を真っ赤にして怒鳴ったのだ。

「もういい!学校側の意見は聞きたくない!ワシの息子は学校をやめさせる!こんな詐欺のような事をされて、子供達に悪影響を与えられたらそれこそ問題だ!」

「ああ!その意見に賛成だ!」
「うちの子も辞めさせる!」

 このひとりの親の言葉をかわぎりに、続々とやめさせる発言が出たのだ。

「えっ、やめさせるのですか?」

「そうだ!こんな学校生徒がいなくなり潰れてしまうがいい!その方が世の中平和になる!」

「それはいいですが、1ヵ月の授業料が払えない親が4年間の授業料が払えるのですか?」

「何を言っていやがる!子供は学校をやめさせると言っただろうが?」
「そうよ!うちの子供達も!」
「「「「「そうだそうだ!」」」」」

 子供が全員やめたら学校側は困ると思い、親たちは首根っこを掴んだように威勢よく抗議した。

「やめてほしくなければ、授業料は最初の値段に戻す事だな!」

「いえ、やめてもらうのは構いませんが、貴方達には4年間の授業料を請求させていただきますよ」

 その言葉に、ここにいる親達は目を見開き驚いた!

「何で、子供がやめるのに授業料を払わないといけないんだ!」
「そうよ!馬鹿にするのもいい加減にしてちょうだい!」

「ですが、貴方達には入学証明書を受け取ったではありませんか?裏面をちゃんと読んだのですか?」

「はぁあ?入学証明書の裏面だと?」

 教頭は、ため息をつきながら入学証明書をだしてきた。

「何で裏面をちゃんと読んでいないのですか?学校側は、ちゃんと読む様に注意したと思いますが?」

 教頭の言葉に、親達は確かにそんなことを聞いたような感じがしていた。

「いいですか?ここのところをちゃんと読んでください?」

 すると、親達は文字の読み書きが出来ない親が多かったため、読んでいなかった事が判明したのである。読めても小さい文字がびっしり書き込んであり、読むのが面倒くさかったのだ。
 そして、最後の方に自主的に子供が学校をやめた場合、4年間の授業料を一括で払う様にと記載されていたのである。

「おい?本当にそんな事が書いてあるのか?」
「あ、あぁ……書いてある……」

「分かりましたか?わたし達はやめてもらうのは構いませんが、ちゃんと支払いはしていただきますよ?」

 教頭は、絶対に逃がさないとばかりと、ニヤリと微笑んだのだった。

「何でやめるのに、授業料を払わねばならんのだ!」

「そりゃ、こちらも子供の為と思い、学校を国より早く開校したとはいえ商売です。損はしないようにしないとやっていけませんからね。それに、貴方達が子供を無理やりやめさせることが分かれば、最初から貴方達の子供を入学させず、他の子供を入学させてましたよ」

「「「「「そ、そんな!」」」」」

「それに、予め言っておきますが、Freedom国に訴えても無駄ですからね?」

「なんでだ!こんな無茶苦茶な話があるわけないだろ!」

「貴方達は、国が経営する学校の開設を待たずして、うちの学校を選んだんです。国も言っていたでしょ?自己責任でお願いしますと?」

「そ、そんなバカな?」

「つまり、都合が悪くなったからと言って、国に訴えても無駄と言う事です。これは学校と貴方達の問題であり、国は関係の無いことですからね!」

「だからって!4年間の授業料なんて一括で払えるわけが!」

「だったら、子供をやめささず教育を受けさすことでしょうね。この学校は、高度な教育なので金がかかるのはしょうがないのですよ」

 子供の両親は、何も言えなくなってしまったのだった。

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