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第10章 Freedom国、経済の中心へ!
105話 繊維不足
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マーレンは、お抱えの採取士達に真剣な顔つきで話しかけたのである。
「た、頼むぞ!一刻も早く綿花の群生地を見つけて持ち帰ってくれ」
「は、はい!」
「お前達もよろしく頼むぞ」
「ああ!魔物の討伐は任せておいてくれ!」
マーレンは、綿花を早急に見つけて採取してもらおうと、自分達で町の外に探しにいく事を決めたのだった。
マーレンは、ギルドに依頼を出したのだが、見つけられていた群生地の綿花が全部採取されていたと報告されたのだ。普通は、後の事を考え1割程度残しておいてくれれば2ヶ月も待たずに2週間程度で元に戻って、今回のような素材不足に陥ることは無かったのにと、苦虫を噛み潰したような顔になった。
そして、魔物の素材を集めてきてもらうつもりで、蜘蛛やワーム系の素材を依頼したが、そんな都合よく大量に見つかる訳もなく断念したのだ。
だからと言って、綿花の群生地が都合よく見つかるとも思っていなかった。しかし、何もしないというのも違っていて、それほどまでに在庫が無くなっていたのだ。他の町に協力を求めたとしても、その街で使う綿花の在庫はあっても、他の町に安値で売ってもらえることはまずないのである。
そして、ギルドでは職員達が繊維の事について話し合っていた。
「支店長!繊維の在庫が本当に足りません!NFG本店に協力要請を出した方がよろしいのでは?」
「ちょっと待つのだ!もうすぐバッカン氏の繊維工場が何とかしてくれるはずだ」
NFGでは、ギルドマスターの呼び方は支店長になっていた。他の者からはいまだ支店長という呼び方はされず、ギルドマスターのままだったが徐々に呼び方は浸透していくことになるであろう。
そして、支店長は在庫管理の責任を取らされたくなくて、バッカンの資材調達に期待をしていた。
「ですが、いつまでたっても……」
「もう少しだ!もう少しすれば……」
上の者が、失敗を隠すというのは世の常なのかと思う程、支店長は時間を稼ごうといていた。しかし、今までのギルドと違って責任を押し付けられなくなってしっぽ切りをされなくなったのは、少し改善されたと言っていいのかもしれなかった。
「旦那様!マーレンの店に動きがあったそうです」
バッカンは、いずれ在庫が無くなれば、マーレンは自分達で綿花を採取に行くであろうとふんでいた。その為、バッカンはマーレンの店を張り込ませていたのだ。
「そうか?後はブックス!お前達に任せたぞ?」
「任せておいてくだせえ!成功したら報酬をはずんでくださいよ!」
「ああ!分かっておる。確実に人目のない所で殺れよ!」
「「「「「へい!」」」」」
バッカンに雇われた男達は、髭面でガタイのいい男達であった。山の中で会ったら山賊と見間違うほど、人相が悪かったのだ。
バッカンに、指示を出されたと同時にその姿を消え、ガタイに似合わない動きをした。その動きから、諜報部隊に所属していたような動きで、並みの戦士でないことがよくわかる動きだった。
「がははははは!あいつ等に任せておけば、マーレンのお抱えの戦士達など、赤子の手をひねる様なものだ」
「これで計画はうまくいきそうですね」
「ああ!マーレンは戻る事のない部下達を待ち続け、そのうち店も潰れる。がはははははは!」
「これで、旦那様の店が追い抜かれることは無くなりますよ」
「ああ!マーレンの奴は馬鹿正直に商売するから鬱陶しいからな!」
「この町では、旦那様に次いで大きな店だったから無くなったら、旦那様の天下ですよ!」
「そうだろう!そうだろう!がはははは!」
バッカンは、ライバル店を引きずり下ろし、自分の店の地位を確保しようとしていたのだった。マーレンの店を潰してしまえば、後の店は取るに取らない弱商店しかいなくなる思っていた。
そうなってしまえば、この町の繊維店の筆頭になることになり、NFGの支店長を食事に誘ったり賄賂を渡さずとも、うちの店の商品を大量に発注せざるを得なくなると思っていた。
一方、マーレンから指示を受け、綿花の群生地を見つけ出そうとやっきになっていた。採取のスキルを持っている人間は、その薬草や花を巧く採取することが出来るだけで、どのあたりに目当ての薬草や草花が分かる訳ではない。
ケンジのような、世界地図というレアスキルが有れば一発でわかるのだが、一般の人間がそんなスキルが有る訳ではないのだ。
しかし、長年培った経験でどの辺りに生えるのかは分かる為、そのような場所をさがしたのである。
「地図によると、この奥に綿花が発生しやすい土地がありそうだ」
「わかった!だが、ここからは魔物がいつ出てきてもおかしくないから、俺達の後をついてきてくれ!」
「わ、分かった……よろしく頼む」
マーレンの捜索部隊は慎重に、山道に侵入を開始した。すると、早速ゴブリンが数体出現したが、あっという間に討伐出来た。
「ここが、ホープやホネストの町じゃなくてよかった」
「あんな所じゃ、旦那様も私達に捜索を頼まないさ!」
「確かに!ジーフマウンの魔の森はとんでもないところだからな……俺達でも行きたくねえや!あはははは!」
ここは、元帝国領で、Freedom本国のような強い魔物はでなくて、もっと弱い魔物しか出ない町だった。その為、冒険初心者でも十分生活が出来る場所だったのだ。
「しかし、ここもオークぐらいは普通に出現する土地だからな油断はするんじゃないぞ?」
「ああ!わかっているよ。俺達の目的は綿花を持って帰る事だからな」
「ああ!早く持って帰って旦那様に安心してもらわなくてはな」
そんな、話をしながら周囲を警戒しながら、山道を進んでいくのだった。
山道を歩き、5時間ほど経った時だった。護衛の盾を持った戦士が大きな声を出した。
「危ない!」
護衛の冒険者が、矢を楯で叩き落とした。採取士達は何が起こったのか分からなくて、目を見開きその場に立ち尽くしたのだった。
「くっくっくっく!」
「誰だ!」
「ここは、俺達の縄張りだ!こんなとこに来るなんて良い度胸しているじゃねえか!」
「くっそ……こんなところに盗賊がいるとは……」
「リーダーやばいぞ……周りをすっかり囲まれているみたいだ……」
「あんた達は絶対に離れるんじゃねえぞ」
「「「「「は、はい!」」」」」
「がはははは!女もいるじゃねぇか!」
「親分!久しぶりに女が抱けますねぇ……」
「ああ!ここのところ久しぶりだったからなあ」
盗賊のそんな話を聞き、女性の採取士達は顔を強張らせたのだった。盗賊に捕らえられた場合、女は弄ばれ辱めを受けるのは当然で、飽きられたら奴隷商人に売られるのが普通である。
「お前等!女は生け捕りにしろよ!男は皆殺しでいい!分かったなあ!」
「「「「ひゃっほ~~~~~!」」」」」
「久しぶりの女だ!」
「やっちまえ~~~~~!」
「ぐっ!数が多い!」
「「「「きゃあああああ!」」」」
捜索部隊の護衛の戦士たちは、多勢に無勢で呆気なく殺されてしまった。反撃を受けて盗賊の中には殺されてしまった者いたが、盗賊達の人数が多かったのである。
護衛の者達や採取士の男は呆気なく殺され、女達は捕らえられてしまったのである。しかし、その様子を遠くから見ていた者がいた。ブックス達である。
「何でぇ、あいつら……俺達が、手を下すまでもなく、全滅してしまったじゃねえか」
「リーダーどうしますか?」
「どうするも何も放って置け!あいつ等がいなくなればミッションは達成だ」
「しかし、バッカンには?」
「そんなの始末したと言ったら報酬は貰える。楽な仕事だし、俺達に犯罪履歴はつかねえし盗賊様様じゃねえか!」
「そりゃそうっすね!」
「盗賊が離れたら、証拠になるようなものを取って帰ろう!」
「「「「「へい‼」」」」」
この世界は、町を離れれば危険は魔物だけではない世界である。どこに危険があるのか分からず、人間生活区域が地球とは違い本当に狭いのである。
しかし、このブックスの判断がバッカンの命運を分けることになったのを、ブックスはこのとき思いも知らなかったのである。
「た、頼むぞ!一刻も早く綿花の群生地を見つけて持ち帰ってくれ」
「は、はい!」
「お前達もよろしく頼むぞ」
「ああ!魔物の討伐は任せておいてくれ!」
マーレンは、綿花を早急に見つけて採取してもらおうと、自分達で町の外に探しにいく事を決めたのだった。
マーレンは、ギルドに依頼を出したのだが、見つけられていた群生地の綿花が全部採取されていたと報告されたのだ。普通は、後の事を考え1割程度残しておいてくれれば2ヶ月も待たずに2週間程度で元に戻って、今回のような素材不足に陥ることは無かったのにと、苦虫を噛み潰したような顔になった。
そして、魔物の素材を集めてきてもらうつもりで、蜘蛛やワーム系の素材を依頼したが、そんな都合よく大量に見つかる訳もなく断念したのだ。
だからと言って、綿花の群生地が都合よく見つかるとも思っていなかった。しかし、何もしないというのも違っていて、それほどまでに在庫が無くなっていたのだ。他の町に協力を求めたとしても、その街で使う綿花の在庫はあっても、他の町に安値で売ってもらえることはまずないのである。
そして、ギルドでは職員達が繊維の事について話し合っていた。
「支店長!繊維の在庫が本当に足りません!NFG本店に協力要請を出した方がよろしいのでは?」
「ちょっと待つのだ!もうすぐバッカン氏の繊維工場が何とかしてくれるはずだ」
NFGでは、ギルドマスターの呼び方は支店長になっていた。他の者からはいまだ支店長という呼び方はされず、ギルドマスターのままだったが徐々に呼び方は浸透していくことになるであろう。
そして、支店長は在庫管理の責任を取らされたくなくて、バッカンの資材調達に期待をしていた。
「ですが、いつまでたっても……」
「もう少しだ!もう少しすれば……」
上の者が、失敗を隠すというのは世の常なのかと思う程、支店長は時間を稼ごうといていた。しかし、今までのギルドと違って責任を押し付けられなくなってしっぽ切りをされなくなったのは、少し改善されたと言っていいのかもしれなかった。
「旦那様!マーレンの店に動きがあったそうです」
バッカンは、いずれ在庫が無くなれば、マーレンは自分達で綿花を採取に行くであろうとふんでいた。その為、バッカンはマーレンの店を張り込ませていたのだ。
「そうか?後はブックス!お前達に任せたぞ?」
「任せておいてくだせえ!成功したら報酬をはずんでくださいよ!」
「ああ!分かっておる。確実に人目のない所で殺れよ!」
「「「「「へい!」」」」」
バッカンに雇われた男達は、髭面でガタイのいい男達であった。山の中で会ったら山賊と見間違うほど、人相が悪かったのだ。
バッカンに、指示を出されたと同時にその姿を消え、ガタイに似合わない動きをした。その動きから、諜報部隊に所属していたような動きで、並みの戦士でないことがよくわかる動きだった。
「がははははは!あいつ等に任せておけば、マーレンのお抱えの戦士達など、赤子の手をひねる様なものだ」
「これで計画はうまくいきそうですね」
「ああ!マーレンは戻る事のない部下達を待ち続け、そのうち店も潰れる。がはははははは!」
「これで、旦那様の店が追い抜かれることは無くなりますよ」
「ああ!マーレンの奴は馬鹿正直に商売するから鬱陶しいからな!」
「この町では、旦那様に次いで大きな店だったから無くなったら、旦那様の天下ですよ!」
「そうだろう!そうだろう!がはははは!」
バッカンは、ライバル店を引きずり下ろし、自分の店の地位を確保しようとしていたのだった。マーレンの店を潰してしまえば、後の店は取るに取らない弱商店しかいなくなる思っていた。
そうなってしまえば、この町の繊維店の筆頭になることになり、NFGの支店長を食事に誘ったり賄賂を渡さずとも、うちの店の商品を大量に発注せざるを得なくなると思っていた。
一方、マーレンから指示を受け、綿花の群生地を見つけ出そうとやっきになっていた。採取のスキルを持っている人間は、その薬草や花を巧く採取することが出来るだけで、どのあたりに目当ての薬草や草花が分かる訳ではない。
ケンジのような、世界地図というレアスキルが有れば一発でわかるのだが、一般の人間がそんなスキルが有る訳ではないのだ。
しかし、長年培った経験でどの辺りに生えるのかは分かる為、そのような場所をさがしたのである。
「地図によると、この奥に綿花が発生しやすい土地がありそうだ」
「わかった!だが、ここからは魔物がいつ出てきてもおかしくないから、俺達の後をついてきてくれ!」
「わ、分かった……よろしく頼む」
マーレンの捜索部隊は慎重に、山道に侵入を開始した。すると、早速ゴブリンが数体出現したが、あっという間に討伐出来た。
「ここが、ホープやホネストの町じゃなくてよかった」
「あんな所じゃ、旦那様も私達に捜索を頼まないさ!」
「確かに!ジーフマウンの魔の森はとんでもないところだからな……俺達でも行きたくねえや!あはははは!」
ここは、元帝国領で、Freedom本国のような強い魔物はでなくて、もっと弱い魔物しか出ない町だった。その為、冒険初心者でも十分生活が出来る場所だったのだ。
「しかし、ここもオークぐらいは普通に出現する土地だからな油断はするんじゃないぞ?」
「ああ!わかっているよ。俺達の目的は綿花を持って帰る事だからな」
「ああ!早く持って帰って旦那様に安心してもらわなくてはな」
そんな、話をしながら周囲を警戒しながら、山道を進んでいくのだった。
山道を歩き、5時間ほど経った時だった。護衛の盾を持った戦士が大きな声を出した。
「危ない!」
護衛の冒険者が、矢を楯で叩き落とした。採取士達は何が起こったのか分からなくて、目を見開きその場に立ち尽くしたのだった。
「くっくっくっく!」
「誰だ!」
「ここは、俺達の縄張りだ!こんなとこに来るなんて良い度胸しているじゃねえか!」
「くっそ……こんなところに盗賊がいるとは……」
「リーダーやばいぞ……周りをすっかり囲まれているみたいだ……」
「あんた達は絶対に離れるんじゃねえぞ」
「「「「「は、はい!」」」」」
「がはははは!女もいるじゃねぇか!」
「親分!久しぶりに女が抱けますねぇ……」
「ああ!ここのところ久しぶりだったからなあ」
盗賊のそんな話を聞き、女性の採取士達は顔を強張らせたのだった。盗賊に捕らえられた場合、女は弄ばれ辱めを受けるのは当然で、飽きられたら奴隷商人に売られるのが普通である。
「お前等!女は生け捕りにしろよ!男は皆殺しでいい!分かったなあ!」
「「「「ひゃっほ~~~~~!」」」」」
「久しぶりの女だ!」
「やっちまえ~~~~~!」
「ぐっ!数が多い!」
「「「「きゃあああああ!」」」」
捜索部隊の護衛の戦士たちは、多勢に無勢で呆気なく殺されてしまった。反撃を受けて盗賊の中には殺されてしまった者いたが、盗賊達の人数が多かったのである。
護衛の者達や採取士の男は呆気なく殺され、女達は捕らえられてしまったのである。しかし、その様子を遠くから見ていた者がいた。ブックス達である。
「何でぇ、あいつら……俺達が、手を下すまでもなく、全滅してしまったじゃねえか」
「リーダーどうしますか?」
「どうするも何も放って置け!あいつ等がいなくなればミッションは達成だ」
「しかし、バッカンには?」
「そんなの始末したと言ったら報酬は貰える。楽な仕事だし、俺達に犯罪履歴はつかねえし盗賊様様じゃねえか!」
「そりゃそうっすね!」
「盗賊が離れたら、証拠になるようなものを取って帰ろう!」
「「「「「へい‼」」」」」
この世界は、町を離れれば危険は魔物だけではない世界である。どこに危険があるのか分からず、人間生活区域が地球とは違い本当に狭いのである。
しかし、このブックスの判断がバッカンの命運を分けることになったのを、ブックスはこのとき思いも知らなかったのである。
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