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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

107話 盗賊達

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 ロイは、気絶した盗賊を蹴り飛ばし、目を覚まさせた。

「おい!いつまで気絶しているんだ早く目を覚ませ!」

「ぐはっ!」

「ほら!さっさとアジトまで案内しろ!」

「んんっ~~~~~~!」

「はあ?拘束具を外せだと?そんなの無理に決まっているだろ?どうせ、お前はこのまま逮捕されるんだ?」

「んん~~~~~~!ムガムガ!」

「約束が違うって?そんな約束はしてない、アジトに案内したら殺さないと言っただけだぞ」

「ロイ……あんたよく、そいつの言っている事解るわね……」

「分からねえよ。ただこういう時、悪党は同じ事を言うもんだ!あはははは!」

「ったく……」

「ほら!お前も、悪あがきなどしてないで早く案内しろ!」

 ロイは、盗賊の背中を蹴り飛ばしたのである。そして、ロイ達雷神のメンバーは保護した女性達を気遣いながら、盗賊のアジトに到着したのだった。

「へへ!いたいた。じゃあ、害悪を討伐しに行くか!ハイド、中を偵察してもらえるか?」

「ああ!まかせろ」

 ハイドは、ロイに言われてスーッとその姿を消したのである。ハイドもまた、※①【インヴィジヴィリティーリング】を入手していた。この魔道具は光の屈折を用いる事で、姿を消す事ができるのである。姿を消す事で、ヒューマン相手には斥侯任務は、絶大な効果を用いることが出来る。

 その姿を消した事で、保護された女性達は驚いたのだ。こんな魔道具があるとは思いもしなかったからだ。

「それは一体……」

「ああ!便利いいだろ?斥候役には便利いいんだ」

「そんな魔道具があっただなんて!」

「まあ、高レベルダンジョン産の魔道具だから一般的ではないから、知らない人間の方が多いと思うよ」

「じゃあ、行ってくる」

「ああ!頼むぞ」

 40分ほど経った後、ハイドの姿がスッと現れたのだった。

「ロイ!ちょっとまずいかもしれないぞ……」

「どうかしたのか?」

「多分だが、この近くの街道を通った人間が囚われているみたいだ……」

「何人ぐらいだ?」

「ざっと50人ほどで全員女ばかりだ!たぶん、男達は皆殺しに合ったんだと思う」

 ハイドは、見取り図のような簡単なものを書いて説明した。

「捕虜になっている女達は、入り口を入って左側に牢屋のようなものを作って捕らえられていて、見張りは5人!」

「じゃあ、入り口の右側に盗賊達が?」

「ああ!行商人を襲って物資で酒盛りや食べ物を食っていた。その数およそ200人だ!一番奥にリーダーがいた」

「なんだ、それなら余裕だ!ハイドとパメラはここで、この女性達を守ってやってくれ!」

「お前達3人で大丈夫か?」

「ああ!余裕だろ?デイニーは入り口に入って左の方に行き、捕虜になっている女性達を頼む!俺とブンダス盗賊を叩く」

「まあ、それが一番効率がいいと思う!」

「だろ?デイニーは、捕虜となっている女達を傷つけないようにな?」

「誰に言ってんのよ!見張り人数からして余裕だわ!」

「ああ!頼りにしているよ」

「任せといて!」

 雷神のメンバーは、あっさり作戦を決めてしまった。それを見た採取士達はそんな簡単に決めていいのか?不安に思ったのである。ハイドの持ち帰った情報では荒くれ者が200人以上で、普通なら一旦持ち帰ってNFGが総力を挙げて討伐隊を編成し退治するような案件だったからだ。

 すると、ハイドはそんな不安に思った女性達に話しかけたのである。

「そんな心配をするな」

「「「「で、ですが……」」」」」
「普通ならこれはNFGが討伐隊を編成するような案件では?」

「大丈夫。俺達はこういう案件に特化した隊だからな。主に絶対の信頼を得て奴隷達だけで行動を許されている」

 女性達は確かに不思議に思っていた。本来、奴隷達だけで行動するなんてあり得ない事だと思った。ケンジは、こういう奴隷達には単独行動が出来るように、NFGのカードを発行できるようにしていた。
 しかし、奴隷達だけではFreedom国内だけであり、他国にはいけないようになっていた。
 つまり、他の奴隷達にも有効であり、主人が滞在する国から出る事は出来ないが、奴隷達だけで町の移動が出来るようにしたのである。しかし、奴隷達が問題を起こした場合、その責任は主人が取る事で決めている。

 つまり、師従関係をちゃんとしないと、主は奴隷達だけで単独行動にはさせてくれないのである。

「まあ、俺達が自分で言うのもなんだが、大船に乗ったつもりでいてくれ!」

 ロイは、そういってブンダスとデイニーの3人だけで、盗賊のアジトに歩いて向かっていった。

 ハイドとパメラは、護衛の女戦士と女採取士を守る為この場で待機していた。その場には気絶して倒れている盗賊も一人いた。




「デイニー頼む!」

 盗賊のアジトは、洞穴を利用して作られていて、その前には数名見張りが立っていた。

 デイニーは、ロイの指示で無詠唱で※②【フレイムアロー】を撃った。その炎の矢は、見張りの盗賊の頭を貫き声も出せずに絶命した。そして、盗賊の死体は一瞬で燃え灰となったのである。

 デイニーのレベルが高すぎて、ダメージを与えすぎたと考えられる。3人は盗賊達に気づかれる事なく洞窟の中へと侵入を開始したのである。

 中に入った3人は、うす暗くて中が見通せないわけではなかった。これはケンジが製作した装備の効果であり、陽の下と同じように明るく見れたのである。

 3人は顔を見合わせ、デイニーは左の方向へロイとブンダスは右方向へと侵入していくのだった。

 


 ロイ達が侵入を開始したらすぐに、盗賊達と目が合った。

「誰だ!貴様たちは!」

「さぁ~~~って、お前達は今日で終わりだ!」

「何言っていやがる!ここをどこだと思っているんだ。たった二人で舞い込んだことを後悔して死ね!」

 盗賊は、口に指を咥えて甲高い指笛の音をかき鳴らした。洞窟中にピーという音が鳴り響き奥からワラワラと盗賊達が出てきたのである。

「「「「「なんだ!いったい何があった?」」」」」」

「見てみろよ!たった二人で悪魔の群狼のアジトに踏み込んだやつがいるぜ?」
「あいつ等の装備高く売れそうだ!」
「たった二人で踏み込むとは馬鹿なやつらだぜ!」
「こちらは200人以上いるんだぜ?」

 盗賊達はニヤニヤしながら、ロイ達との距離を詰めていくのだった。 

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 この話で出てきた魔道具と魔法

※①【インヴィジヴィリティーリング】
 一日3回だけ姿が消せるアクセサリー。

※②【フレイムアロー】
火属性魔法   5階位
消費MP    20
詠唱速度    6秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間    一瞬
効果対象    レベル×1人 (最大50人)
効果範囲    レベル×1m
必要秘薬    虹パール5個
備考欄
 この魔法は炎の矢を生み出し撃つ事が出来る。対象は複数でレベル
上がる事で矢が一本増え、最大50本の矢が撃てるようになる。
【ファイヤーアロー】と違い複数の対象が狙えることが便利である。
 一本のダメージは、レベル×50でレベルが上がれば上がるほどダメージ
量は増える。
魔道士職業レベル50と魔法スキル95以上で使用可能
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