無能と呼ばれてパーティーを追放!最強に成り上がり人生最高!

本条蒼依

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4話 ダンジョンで

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 あれから一ヶ月、クロスは訓練や個人的に採取依頼を受け、動物を狩り皮の採取やゴブリンの討伐依頼を受けて、出来る範囲で経験値を習得しレベルアップしようとしていた。

 そして、明日ダンジョンに行く日が迫っていた。その夜クロスは、メンバーに呼び出され酒場に来ていた。

「クロス。呼び出された理由は分かるな?」

「はい……」

「で、この一ヵ月でレベルは上がったか?」

「そ、それは……」

「じゃあ、分かっているな?」

「ちょ、ちょっと待ってください!今回のダンジョンでレベルを上げます!ダンジョンなら、経験値もいっぱい入るはずです」

「お前は、この期に及んでまだそんな事を言っているのか?」

「で、ですが……このままでは、生活が出来なくなってしまいます。どうか、最後のチャンスを!」

 クロスの言葉を聞き、ガナッシュはメンバーに話を振った。

「みんなどう思う?俺はこのまま脱退してもらった方がいいと思うんだが」

「頼みます!皆さん最後のチャンスを下さい!このダンジョンでレベルが上がらなければ、皆さんの言う通り脱退で構いません。だからお願いします!」

 クロスは、酒場でメンバーに土下座して懇願したのだった。

「わかった!お前とは2年の付き合いだ。容認してやるよ。しかし、ダンジョンでレベルが上がらなかったら、その時は本当に言う事を聞いてもらうからな!」

「ああ、分かった!いえ……わかりました」

「明日は絶対遅刻するなよ?」

「分かりました……」

 そして、ダンジョンに来たパーティー暁は、ドンドン奥へと入っていった。クロスも何とか経験値を得るために、積極的に動いていた。

「クロス!邪魔だ!後ろに下がってろ!」

 クロスは、積極的に動く事で役に立とうとしていた。しかし、それは逆効果でみんなの足を引っ張っているに過ぎなかった。戦闘が終わり、クロスはみんなから責められた。

「クロス、何をやっている。お前はポーターだろ?もっと後ろで、待機しないと本当に死んでしまうだろ?その後、誰が荷物を運ぶんだ」

「いえ……俺もこのダンジョンでレベルを上げなきゃ……」

「馬鹿野郎!なに自分勝手な考えで動いてやがる。ダンジョン攻略はチームワークだろが!お前のその行動で、誰かが死んだらどうするんだ?」

 剣豪のハーベルトが、クロスに対して怒鳴りつけたのだった。アタッカーであるハーベルトは、ファーストアタックをしてダメージを叩きだすのが仕事の為、魔物に飛び込むタイミングがある。
 そこに、役立たずのクロスがうろちょろすると、気が散ってどうしようもないのである。

「クロス、お前最後まで足を引っ張るつもりか?」

「足を引っ張るつもりは……」

「実際足を引っ張っているだろ?」

「ですが、ガナッシュさん……」

「ですがもかかしもあるか!マリアは、お前を回復させるのにダンジョンに来たばかりだというのに、MPがかなり減ってしまっているんだぞ?」

「そ、それは……」

 マリアの方を見ると肩で息をしていた。つまり、アタッカーのハーベルトとクロスの両方を回復し、まだ5階層だというのにMPがかなり減ってしまっていた。

「最終警告だ!これ以上足を引っ張るなら、今回はこのまま引き返さねばならん!」

「そ、それは!」

「俺はパーティーリーダーだからな。みんなを無理させてまで、ダンジョンの奥に行く事はできん!」

「それは分かっていますが、ダンジョンを引き返されたら……」

「それが嫌なら、いつも通りに後ろに下がってろ」

「……」

「返事は?」

「はい……」

 クロスは、もうどうにもならないと思った。そして、みんなの邪魔をしない様に後方からついていく事にして、ダンジョンボスの部屋の前についた。

「みんな、準備はいいか?今日はこのボスを倒して帰還する」

「「「「おお!」」」」

「クロス、お前は後方でポーションの準備をして、決して前に出るんじゃないぞ」

「わ、分かりました……」

 ボス部屋に入ると、現れたのはサラマンダーであった。全身炎を纏ったトカゲである。ガナッシュが、クロスを後方に置き命令をしたおかげで、簡単にサラマンダーを討伐出来てしまったのだ。要は、本当にクロスはこのパーティーにはいらない存在だと証明されてしまった瞬間だった。

「こ、これで……終わった……」

 結局、サラマンダーを討伐されても、クロスのレベルは上がらなかったのだ。ボス部屋には宝箱が出現し、ガナッシュがローグのラナベルに宝箱の罠解除を指示した。

「「「「「おおおお!こ、これは!」」」」」

 パーティーは、宝に興奮した。そして、今回はこれ以上進むつもりはないので、ボス部屋から出ることにしたのだった。

「さて、クロス。分かっているな?レベルは上がったか?」

「……」

「上がらなかったみたいだな?じゃあ、約束通りお前には暁を辞めてもらう。いいな?」

「は、はい……」

「じゃあ、おまえの荷物を渡して貰おうか?」

「へっ?」

「今の宝箱の中から出たのは、マジックバックだ!容量もとんでもなく大きいモノだ。やっぱり、お前はこのパーティーには必要なかったんだよ」

「そ、そんな……」

「お前には本当迷惑をかけられてきた。遅刻はするし戦闘の邪魔をされ、マリアのMPを尽きさせる始末だ」

「それは悪かったと思いますが、俺もこのダンジョン攻略でレベルアップさせたかったのです」

「お前のその自分勝手な想いには、ほとほと愛想が尽きたよ。このまま戻っても、他のパーティーに入れるかわからないが迷惑をかけることになるから、お前とはこのままここで別れることにする!」

「なっ⁉」

 クロスは、ガナッシュの言葉の意味が一瞬分からなかった。しかし、すぐに状況を把握しガナッシュに詰め寄ったのだ。

「なんで?こんなとこで一人置き去りにされたら俺は!」

「さっきまで、魔物に飛び込んでたろ?俺達は凄く邪魔だったけどな」

「一人で、こんなとこに置き去りにされたら死んでしまう!だから、ダンジョンの外まで連れて行ってくれよ」

「駄目だ!お前には本当に迷惑をかけられて愛想が尽きている。どうせ、町に戻っても冒険者として役には立たないからな。ここで俺達が引導を渡してやるよ!」

 クロスは顔が真っ青になり、周りを見るとメンバー全員が目も合わせずそっぽを向いていた。

「頼む!町まで連れて行ってくれ!そしたら、ちゃんと脱退するから……」

「決断が遅いんだよ!一ヵ月前にお前からそう選択していれば死ぬ事も無かったんだぜ」

 そう説明して、ガナッシュは剣の柄でクロスの腹を殴り気絶させてしまった。

「うっ!」(嘘だろ……本当に俺を置いていくつもりなのか?)

 クロスは、気絶する瞬間ガナッシュの顔をみた。その顔はやらしく歪みやっと始末できたと言うよな顔だった。



「さよなら、無能君」


 クロスが聞いた最後の言葉だった。
 
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