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50話 王族達の恐怖
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王城では、貴族達がクロスの態度に不満をぶちまけ、国王に詰め寄っていた。
「国王!あのクロスという奴はなんなんですか?」
「わ、わしに言うな!わしとて、あのような奴を認めた訳ではない!」
「で、ではどうするのですか?私はこんな屈辱は許せない!」
「「「「「私もです」」」」」
貴族達は、平民であるクロス一人に好き勝手やられた事が、どうしても納得行かなかったのだ。
そして、国王のエランは名に懸けて手出ししないと言ったことを貴族に説明をしていた。確かにクロスは、貴族に対して生意気な事をしたが、誰一人殺してもいなかったのだ。
自分の要望を通して力を示しただけだった。あれだけの力を持っているのなら、普通なら自分が王族になり替わろうとしてもおかしくないが、それをせず自由にしたいと言ったのだ。
「いいか?確かに不満は残るがあのクロスに手を出したら、反対にこちらが反撃されるんだぞ?それが分かっているのか?」
「エランよ!お主拭抜けたか?」
「宰相!なんだその言い方は!わしは、現実を言ったのだぞ?」
「しかし、平民がわし達にあのような生意気な事を!」
「それはワシも納得はいかん。しかし、あの状況でお主達の誰か一人でも、クロスに立ち向かえたのか?」
「それは……」
「騎士団長!お主はどうだ?クロスの立場で騎士団と魔法師団に囲まれて同じ行動が出来たのか?」
「わ、私には無理です……」
「宮廷魔法士団長。おぬしならどうだ?同じ魔法使いだろ?」
「そ、それは……」
「いいか?クロスと言う人間は、ただの平民じゃない事が分かるであろう?」
「だったら国王は、あの者を好きにさせよとおっしゃるのか?」
王城では、貴族達の不満が爆発していた。しかし、国王のエランだけは、クロスには手を出してはいけないと説得を繰り返していた。
「国王は何故、あの者を庇うのだ。わしらはそれが納得いかん!」
「いいか、よく考えろ!今回、死人が出たか?」
「いいえ……」
「あの巨大な火球やリフレクトやパラライズで、こちらは成すすべもなかったではないか?クロスの奴は、ワシ等をいつでも殺せるチャンスはあったと思わないか?」
「そ、それは……」
「わしは、あ奴の扱いは拘束することだとは思わぬ……」
「どういう事ですか?」
「あ奴を平民と思い、他の平民と同じく貴族の思い通りになると思っていると、痛いしっぺ返しを食らう事になる。だったら、好きなようにさせてこちらが困った時に利用した方が国益になるとおもう」
「国益に?」
「わしは、ムーンタリアの町が王都より大きくなる事を危惧して、王都にクロスを住まわせて町の安全を確立させたかった。しかし、あ奴を言いなりにさせようとしたことで反対に危険がふえる感じがした」
「しかし、あやつはわし達を馬鹿にしたではないか!あ奴だけ自由にしたら他の平民達に示しが……」
「宰相よ。あ奴は普通の平民ではない。悔しいがな……できたら、あ奴の首に首輪をつけたかったが、あ奴自身が国家権力だ」
「あ奴一人で、王国と同じ力があるというのですか?」
国王の説明に、宰相達上級貴族達が身を乗り出して驚いたのだった。
「いや違うな……」
「そりゃそうでしょう。国王は大袈裟に言い過ぎだ。何で一個人が王国と一緒の力があるというのですか?」
「ああ……一緒というのは違うな。王国以上の力がある。そんな国家権力に喧嘩を売る方がどうかしている……」
「「「「「そんな馬鹿な!」」」」」
「あの平民がそんな力を?」
「お前も恐怖しただろ?」
「はい……ですが!」
「わしだけじゃない。騎士団長達も一緒にあの場にいて、どうしようもない恐怖に飲み込まれたはずだ……わしはあの巨大な火球を頭上に抱えたクロスを見たとき、冬山でいきなり眼前に迫る雪崩を想像した」
「「「「「「……」」」」」」
国王は、クロスの戦闘力を自然災害とまで言った。あの時の状況はまさに眼前に迫る雪崩のようで、皆が皆死んだと思い恐怖で、その場から全員が動けなくて死を覚悟した瞬間だったからだ。
「皆の者に言っておく。ムーンタリアの町には闇ギルドが存在しない。しかし、王都には闇ギルドが存在する。つまり闇ギルドは、王国よりクロスの方が恐怖していると考えていいのではないか?」
「「「「「あっ……」」」」」
「いいな。クロスには手を出すんじゃない!今度、不用意に手を出したなら、王国500年の歴史は終わりを迎えるだろう!」
国王は、部下である貴族達にそのように伝えた。そして、国王の説明に皆頭を下げるしかなかったのだった。
そのころ、クロスは王都近くの森を捜索していた。千里眼を使い、薬草の場所や魔物の種類等を調べていた。クロスはいつも通りの行動をしていて、王城がこんな事になっているとは思ってもいなかった。
「今日は、こんなもんでいいな」
クロスは、大量の薬草を採取し、ムーンタリアの時に使ったMPポーションやヒールポーション分の在庫も確保できたのだった。
クロスは満足し、王都に帰ると城門前には騎士団が警戒していた。
「おかえりなさいませ……きょ、今日はどこに行っていられたのですか?」
門番をしている兵士は、クロスに気を遣っていた。
「今日は、近場の森で薬草採取していただけですよ」
「そ、そうですか……そ、それでは気を付けて……」
クロスは軽く会釈をして町の中に入っていった。その場に残った兵士達は疲れがドッと襲い掛かり、その場でへたり込んでしまった。
「俺は、この仕事に自信が無くなりそうだよ……」
「俺も……」
兵士達の言う事はもっともだった。もしクロスが盗賊だった場合、なすすべもなく町にいれているのと一緒だからである。それもクロスの気分が悪くならない様に、気を遣いながら話しかけていた事実がそこにあった。
しかし、これは兵士達王国側が勝手に気を遣っているだけであり、クロスはただ普通にしていただけであった。これからクロスは1ヶ月に一度王都に来て、ギルドの依頼をこなせばいいだけだった。
「すまん。依頼の清算を頼むよ」
「わっ!こんなにも薬草を取っていただけたのですか?本当に助かります。在庫が心配になってきていたのですよ」
「なら、良かったよ」
「明日もよろしくお願いしますね」
「いや、多分明日は来ないよ」
「そうなんですか?」
「ああ。また気が向いたときに来るよ」
そう言ってクロスは帰っていった。クロスが帰った後、受付嬢達はクロスの話題で盛り上がっていた。新人だと思っている受付嬢達は、初日からこんなにも薬草採取できるクロスは有望株に見えていたのだ。しかし、クロスの情報はギルドの上方部が止めていただけだった。
そして、クロスは購入したばかりの家に帰り、【リコール】の魔法を唱えた。
「国王!あのクロスという奴はなんなんですか?」
「わ、わしに言うな!わしとて、あのような奴を認めた訳ではない!」
「で、ではどうするのですか?私はこんな屈辱は許せない!」
「「「「「私もです」」」」」
貴族達は、平民であるクロス一人に好き勝手やられた事が、どうしても納得行かなかったのだ。
そして、国王のエランは名に懸けて手出ししないと言ったことを貴族に説明をしていた。確かにクロスは、貴族に対して生意気な事をしたが、誰一人殺してもいなかったのだ。
自分の要望を通して力を示しただけだった。あれだけの力を持っているのなら、普通なら自分が王族になり替わろうとしてもおかしくないが、それをせず自由にしたいと言ったのだ。
「いいか?確かに不満は残るがあのクロスに手を出したら、反対にこちらが反撃されるんだぞ?それが分かっているのか?」
「エランよ!お主拭抜けたか?」
「宰相!なんだその言い方は!わしは、現実を言ったのだぞ?」
「しかし、平民がわし達にあのような生意気な事を!」
「それはワシも納得はいかん。しかし、あの状況でお主達の誰か一人でも、クロスに立ち向かえたのか?」
「それは……」
「騎士団長!お主はどうだ?クロスの立場で騎士団と魔法師団に囲まれて同じ行動が出来たのか?」
「わ、私には無理です……」
「宮廷魔法士団長。おぬしならどうだ?同じ魔法使いだろ?」
「そ、それは……」
「いいか?クロスと言う人間は、ただの平民じゃない事が分かるであろう?」
「だったら国王は、あの者を好きにさせよとおっしゃるのか?」
王城では、貴族達の不満が爆発していた。しかし、国王のエランだけは、クロスには手を出してはいけないと説得を繰り返していた。
「国王は何故、あの者を庇うのだ。わしらはそれが納得いかん!」
「いいか、よく考えろ!今回、死人が出たか?」
「いいえ……」
「あの巨大な火球やリフレクトやパラライズで、こちらは成すすべもなかったではないか?クロスの奴は、ワシ等をいつでも殺せるチャンスはあったと思わないか?」
「そ、それは……」
「わしは、あ奴の扱いは拘束することだとは思わぬ……」
「どういう事ですか?」
「あ奴を平民と思い、他の平民と同じく貴族の思い通りになると思っていると、痛いしっぺ返しを食らう事になる。だったら、好きなようにさせてこちらが困った時に利用した方が国益になるとおもう」
「国益に?」
「わしは、ムーンタリアの町が王都より大きくなる事を危惧して、王都にクロスを住まわせて町の安全を確立させたかった。しかし、あ奴を言いなりにさせようとしたことで反対に危険がふえる感じがした」
「しかし、あやつはわし達を馬鹿にしたではないか!あ奴だけ自由にしたら他の平民達に示しが……」
「宰相よ。あ奴は普通の平民ではない。悔しいがな……できたら、あ奴の首に首輪をつけたかったが、あ奴自身が国家権力だ」
「あ奴一人で、王国と同じ力があるというのですか?」
国王の説明に、宰相達上級貴族達が身を乗り出して驚いたのだった。
「いや違うな……」
「そりゃそうでしょう。国王は大袈裟に言い過ぎだ。何で一個人が王国と一緒の力があるというのですか?」
「ああ……一緒というのは違うな。王国以上の力がある。そんな国家権力に喧嘩を売る方がどうかしている……」
「「「「「そんな馬鹿な!」」」」」
「あの平民がそんな力を?」
「お前も恐怖しただろ?」
「はい……ですが!」
「わしだけじゃない。騎士団長達も一緒にあの場にいて、どうしようもない恐怖に飲み込まれたはずだ……わしはあの巨大な火球を頭上に抱えたクロスを見たとき、冬山でいきなり眼前に迫る雪崩を想像した」
「「「「「「……」」」」」」
国王は、クロスの戦闘力を自然災害とまで言った。あの時の状況はまさに眼前に迫る雪崩のようで、皆が皆死んだと思い恐怖で、その場から全員が動けなくて死を覚悟した瞬間だったからだ。
「皆の者に言っておく。ムーンタリアの町には闇ギルドが存在しない。しかし、王都には闇ギルドが存在する。つまり闇ギルドは、王国よりクロスの方が恐怖していると考えていいのではないか?」
「「「「「あっ……」」」」」
「いいな。クロスには手を出すんじゃない!今度、不用意に手を出したなら、王国500年の歴史は終わりを迎えるだろう!」
国王は、部下である貴族達にそのように伝えた。そして、国王の説明に皆頭を下げるしかなかったのだった。
そのころ、クロスは王都近くの森を捜索していた。千里眼を使い、薬草の場所や魔物の種類等を調べていた。クロスはいつも通りの行動をしていて、王城がこんな事になっているとは思ってもいなかった。
「今日は、こんなもんでいいな」
クロスは、大量の薬草を採取し、ムーンタリアの時に使ったMPポーションやヒールポーション分の在庫も確保できたのだった。
クロスは満足し、王都に帰ると城門前には騎士団が警戒していた。
「おかえりなさいませ……きょ、今日はどこに行っていられたのですか?」
門番をしている兵士は、クロスに気を遣っていた。
「今日は、近場の森で薬草採取していただけですよ」
「そ、そうですか……そ、それでは気を付けて……」
クロスは軽く会釈をして町の中に入っていった。その場に残った兵士達は疲れがドッと襲い掛かり、その場でへたり込んでしまった。
「俺は、この仕事に自信が無くなりそうだよ……」
「俺も……」
兵士達の言う事はもっともだった。もしクロスが盗賊だった場合、なすすべもなく町にいれているのと一緒だからである。それもクロスの気分が悪くならない様に、気を遣いながら話しかけていた事実がそこにあった。
しかし、これは兵士達王国側が勝手に気を遣っているだけであり、クロスはただ普通にしていただけであった。これからクロスは1ヶ月に一度王都に来て、ギルドの依頼をこなせばいいだけだった。
「すまん。依頼の清算を頼むよ」
「わっ!こんなにも薬草を取っていただけたのですか?本当に助かります。在庫が心配になってきていたのですよ」
「なら、良かったよ」
「明日もよろしくお願いしますね」
「いや、多分明日は来ないよ」
「そうなんですか?」
「ああ。また気が向いたときに来るよ」
そう言ってクロスは帰っていった。クロスが帰った後、受付嬢達はクロスの話題で盛り上がっていた。新人だと思っている受付嬢達は、初日からこんなにも薬草採取できるクロスは有望株に見えていたのだ。しかし、クロスの情報はギルドの上方部が止めていただけだった。
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