役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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最終章 暁月の明星

6話 諦めないオウカ

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 ルシファーの姿はドラコニアとよく似ていたが魔力はまったくの別物だった。そして、クレアが叩き斬った翼は無くなりメインの大きな翼が2枚だけとなり、角も大きくなり2本の角が後方に伸びていた。また、瞳は真っ赤に光り悪魔そのもので、身体はドラゴンの身体で龍鱗がびっしり包まれ防御力が高そうにみえる。そして、右手には魔力で創られたであろう真っ黒の剣が握られており、左手には真っ黒な盾が握られていた。

『この姿となれば今までのように優しくはいかぬぞ』
「な、なんなのよあんたは?」

 前線で向かい合うシオンは、ルシファーの姿に恐れおののく。また、カノンも同様ルシファーに見られただけで足がすくんでしまいそうだった。

『なぁ?お前も油断してるとさっきの犬のように腸をぶち撒ける結果になるぞ』

 そう言って、ルシファーは真っ黒な大剣を真後ろに薙ぎ払う。

「なっ!あたしの事に気づいて・・・」

 クレアはルシファーの薙ぎ払う大剣をギリギリで躱し後方に飛んでバク転して着地する。

「「「「クレア!」」」」
『ほう!それなりに動けるみたいだな』

 しかし、クレアの腹にうっすら切り傷ができ血がにじんでいた。

「完璧に躱したはずだったのに・・・」

 シオンは直感的に動く。ルシファーが一瞬で距離を詰めシオンの目の前に現れる。

『まずは鬱陶しいお前からだ』
「なっ!いつの間に・・・」

 シオンはルシファーの動きが見えなかったが反射的に盾を構える。そこにルシファーの大剣が振り下ろされた。

『ほう!やるではないか』

 ガキンと金属音が辺りに響き渡る。シオンはルシファーの大剣をギリギリで止めたのだ。そして、またその姿がフッと消えると今度はカノンの目の前に現れたのだ。

「カノン!目の前に行ったぞ」
「なっ・・・」
『お前が最初の犠牲者だな』

 カノンの武器は槍であるため懐に入られると弱い。いきなり現れたルシファーに驚き槍を両手でガードが精一杯だ。そこにルシファーの大剣が振り下ろされた。またしてもガキンと金属音が鳴り響く。

「なんだあの速さは!僕にもかろうじて見えるだけだ」
「マルクよ。全員に素早さの付与じゃ」

 マルクは煌めきの杖ライレールの言う通りにシオン達にスプリントとヘイストの魔法を二重掛けをする。
 スプリントは移動速度を2倍にし、ヘイストは攻撃回数を2倍にする魔法である。
 またクリティカルバーストとレートの魔法も二重掛けにした。クリティカルバーストはクリティカルダメージを2倍にし、レートはクリティカル率を2倍にする魔法だ。

「これならば!」

 カノンは、自分の翼を広げ後方に移動する。ホバーリングするカノンは瞬時にルシファーの後方に回り込む。

『なっ、なんだと・・・』
「さすがマルクの支援魔法だ!こんなに素早く動く事が出来るなんて!」

 カノンはルシファーに槍を突く。しかし、ルシファーはカノンの槍を難なく盾で防いだ。

『それで速くなったつもり・・・グッ!な、なんだこの突きの速さは!』

 カノンの突きはマルクの魔法で通常の4倍の速さになっていた。その上、その攻撃のほとんどがクリティカルが発生し、ルシファーに与える通常ダメージに加え、クリティカルダメージが加算されたのだ。

『お、おのれ!またしても姑息な技を・・・』
「いいのか?私だけに集中していると」
『グガァ!』

 その時同時に、ルシファーの背中に矢が4本突き刺さりうめき声をあげる。システィナがマルクの魔法にカノンと同様に強化されて矢を放ったのだ。ロングボウだと言うのに、瞬時に四発同時に放つ攻撃はありえない事だ。しかし、その矢はルシファーの龍鱗に阻まれているようだ。また、カノンの槍もルシファーの高い防御に阻まれているみたいだ。
 しかし、ルシファーの表情をみるとダメージを負っているようには思えなかった。

「グッ!なんて硬い鱗なんだ・・・」
『お前らの攻撃など所詮その程度だ』

 そこにシオンも攻撃に加わるが、確かにルシファーの体に斬撃が当たっているのだが、ダメージが通っていないのである。そこにクレアもルシファーに加わるのだが、クレアの武器は短剣でダメージは低い。短剣は攻撃回数を増やして切り裂き出血ダメージを得意とする。しかし、ルシファーの龍鱗は短剣には不向きで毒攻撃も龍鱗に阻まれていた。

「マルクよいか?こういう時はデバフ魔法を使うのじゃ!」
「な、なるほど!」

 マルクは煌めきの杖ライレールに魔法使いの役割を指導してもらう。この時まで力技で戦ってこれた自分に魔法使いとは何か教えられていたのだった。

「カース」

 マルクはルシファーにカースの魔法を掛ける。カースとは敵のステータスを半分にする魔法だ。カースが通れば、掛けられた相手は防御力はもちろん、攻撃力素早さ器用さ全てが半分になるのである。

『ぐははははははは!私に状態異常は効かぬ!』
「なんだって」

 マルクはもちろん、煌めきの杖ライレールも魔法が100%キャンセルと聞いて驚愕する。すると、そこにオウカが立ち上がり、マルクに付与魔法をお願いしてきた。

「オウカ、何を言うんだ。君はまだ横になってなきゃ!」
「マルク!今はそんな事を言っている場合じゃないだろ!あたしが何とかする!だから、みんなと同じようにあたしに強化魔法をかけるんだ」

 マルクは、オウカの迫力に圧倒されたが躊躇した。

「オウカ、まだ動ける状態じゃないんだ」
「馬鹿っ!何言ってやがる。このままじゃ全滅してもおかしくないんだぞ!」
「マルクよ。お嬢ちゃんの言う通りじゃ・・・今は一人でも戦力がほしいのは確かじゃ」
「だけど・・・」

 煮えきらないマルクの態度に、オウカはマルクの胸ぐらを掴み引き寄せる。

「馬鹿っ!あたし達は今までお前に頼ってここまで来たのは確かだ。そして、お前の優しさに救われてきたのも確かだだし、だけどその優しさがお前の弱点でもある。もっとあたし達も頼れよ!」
「お嬢ちゃんもいい事言うじゃないか」
「わかったよ・・・だけど、死んだら許さないからね」
「おうよ!あたしに任せな」

 マルクは、オウカにシオン達と同じ付与魔法をかける。すると、オウカはルシファーの前に立つ。

『なんだ?お前から死にたいのか?』
「うるせぇ!死ぬとしてもお前も道連れにしてやるよ!」
「「「「オウカ!」」」」
「みんな、あたしが突破口を開くからその後の事は頼むぜ」
「オウカ死ぬつもりじゃ・・・」
「馬鹿っ!あたしも死にたくないよ!」
『ぐはははは!死に損ないがよく言うわ!お前から殺してやろう!』

 ルシファーはオウカに突撃する。瞬時にオウカとの間合いを詰め大剣を振りかぶる。

『粋がった態度を後悔して死ぬがいい!』
「「「「「オウカぁ!」」」」」

 しかし、オウカは拳を構え一気に爆発させる。

『な、何っ?』

 オウカの拳はルシファーには見えないほど速く、瞬時にドラゴンの顔に殴打をかました。瞬間にルシファーのドラゴンの顔は左右に振られる。その殴打の数は左右で8発入る。

 ぐっ・・・身体が悲鳴をあげてる・・・やっぱマルクの言う通り無理だったのか?

 万全の状態ではないオウカの身体が付与魔法の威力についていけてないのがわかる。しかし、弱音を吐いている場合ではない。オウカは奥歯を噛み締め耐える。

「うおおおおおおお!あたしの身体持ってくれよ」
『ぐははははははは!なんだそのパンチは?全然効かぬ』

 ルシファーの防御力はオウカの拳ではダメージが通っていないようだった。

『そろそろ死ぬか?』
「まだまだぁ!」

 オウカはルシファーの顔を殴り続ける。そして、ルシファーはオウカに殴り続けられながらも大剣を振り下ろす。

「「「「「オウカぁ!」」」」」

 ルシファーの大剣がオウカに振り下ろれたが、その大剣はあさって方向に振り下ろれた。

『な、なんだと!?』
「さすがに防御力は高くてもそんだけ脳を左右に振られたら効くだろ?」
『貴様ぁ・・・』
「嬢ちゃんやるじゃないか」

 ルシファーは膝がガクガクしていたが、オウカは殴打をやめない。そして、オウカはアッパーカットを決める。
 ルシファーは、オウカのアッパーカットに天を見上げる形になり、オウカの拳打の威力にその形で宙に浮く。

「これで最後だ・・・破砕拳!」

 破砕拳はオウカのスキルの中で物理ダメージで最大の出力を発揮する。宙に浮き天を見上げるルシファーの首元に、オウカ最大ダメージの破砕拳を打ち込む。

『グキャ!』
「決まったぜ・・・後は頼んだよ・・・」

 ルシファーは声にならない叫び声を上げる。しかし、オウカも身体が悲鳴をあげその場に倒れ込んだ。

「「「「「オウカ!」」」」」
ぎざまぁきさまぁじゅくもよくもななしにわたしにだぁみーじをダメージを・・・』

 オウカの努力もルシファーの防御力には通じないかと思った瞬間、ルシファーの首から身体にひびが入り始めたのだった。そして、パリーンという音と共にルシファーの龍鱗が弾け飛んだのだった。

わだじのりゅゔじんが私の龍鱗が・・・』

 オウカの破砕拳は偶然か解らないが、唯一の弱点だった喉元にある逆鱗を打ち抜いていたのだった。
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