研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第1 章 自分だけの職業

17話 妬み嫉妬そして犯罪

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 ヒロトシは、作業着のままで急いで、客室で待つベネッサの元にやってきた。

「お待たせしました。こんな格好で申し訳ありません」

「ああ。構わないよ。こちらがいきなり訪問したんだ、気にしないでおくれ」

「それで、今日は何の用でしょうか?それもギルドマスターが来るほどの何かがあったのですか?」

「私の事は、ベネッサと呼んでくれと言ったはずだよ?」

「すいませんベネッサさん(笑)」

「何ニヤニヤしてんだい!あたしゃ気に入った人間からは名前呼びにさせてんだ。これからは気をつけな!」

「はいはい!気に入ってくれてありがとうございます。それで今日は?」

「あんたんとこ。凄く景気がいいみたいだと聞いてね。その内容を聞きに来たんだよ」

「えっ?それだけですか?それならおかげさまで、売り上げは1千万を超え順調ですよ。本年度はあと3ヶ月ほどなので1千5百は確実かと」

「そうかいそうかい!初めての納税でいきなりSランクかい。そいつはたまげたよ」

「本当にそれだけの事でギルド……いえ、ベネッサさんが訪問したのですか?他に何かあったんじゃ?」

「あんたは本当に只の子供じゃないね……驚いたよ」

 ベネッサは、自分達がここに来た理由が、ヒロトシには何となくわかっていると思った。

「それで、他の商人が動きましたか?」

「そこまでわかっているのかい?」

「まあ、嫉妬や妬みは当たり前ですからね」

「そうかい?そこまでわかっているなら心配することもなかったね。あんたにはギルドも期待しているんだ。他の店に潰されんじゃないよ」

 そういって、ベネッサはギルドへと帰っていったのだ。



 安心して帰っていったベネッサを見て、ヒロトシは真剣な目つきに変わった。

「ったく……本当にわかっているのかね……」

「旦那様……何か不審な点があったのですか?」

「セバスは、さっきのギルドの態度はどう思った?」

「いえ……何も思いはしませんでしたが……思ったとすれば個人の店の事で、ギルドマスターが面会するとは思いもしませんでした。それにびっくりはしています」

「そっか……商人ギルドは呆れるぐらい何もしないんだな?」

「どういう事でしょうか?」

「要は納税したら、犯罪を犯そうが何でもしてもいいと言っているようなもんだよ」

「それはアウトですよ!犯罪したら領主様が許しません。この町は他の町と比べても、犯罪にはとても厳しいんですから!」

「いやいや……それならば、ギルドの態度はあり得ないだろ?そこまで、情報を掴んでいるならば、組織で締め上げるのが普通だよ。だが、何もせずに俺達に任せようとしているじゃないか。要は犯罪もばれなければ、容認すると言っているようなもんだろ?」

「そ、それは……」

「まあ、俺は犯罪をしようなんて思いはしないが、もし俺達にちょっかいをだしたときは、あいつらは後悔するかもしれないな」

「それはどういう事でしょうか?」

「それは楽しみにしておいてくれ」

「……」

 それから、ヒロトシはセバスにはネクタイピン。アヤ達メイドには、ネックレスやブローチなどアクセサリーをあたえたのだ。しかし、そのアクセサリーは宝石などはついておらず、ヒロトシの研磨が施されたものだった。
 しかし、研磨と言っても全然光ってはいなかった。反対に傷つけられていて曇っていた。

「みんなに渡しておきたいものがあるから、よく聞いてくれ」

 みんな揃っている食事時に、ヒロトシはみんなに説明し出した。

「この間、商人ギルドが面会に来たことは知っていると思うが、不安になる事はないから安心してくれ」

「は、はい」

「なんでもうちの店は儲かっているので、他の店が妬んでいるという情報が入り、君達に危険があるかもしれない」

 ヒロトシの説明に、アヤ達がそわそわし出した。そして、マインとアイがヒロトシに訴えた。

「「そ、そんな!」」
「わたし達はただお店を頑張っているだけじゃないですか?」

「他人が成功することに、納得のできない人間はどこにでもいるよ」

「でも!」

「それと、うちの店が儲かってそのあおりをくらって自分の店が閑古鳥が鳴いているのならなおさらだ。まあ、何かあっても、俺がちゃんとみんなを守るから安心してくれ」

「どうやってですか?」

「俺に任せろ。これでも一応君達の主人なんだからな」

「「「「「「ご主人様は一応ではありません!」」」」」」」
「そうですよ!旦那様は一応ではなく、尊敬に値する立派な主人です」

「みんなありがとな。その期待に答えれる様に、みんなを守るから安心してくれて大丈夫だ」


 その頃、㋪美研の事をよく思っていない店の店主は、カウンターをトントン叩いて、自分の店に客が少なくなっていたことにイライラしていた。店員は主人の目を見ない様にして小さくなっていた。そして、カウンターを叩き、奥の部屋に引っ込んだのだった

「くっそおおお!あの店が出来たばかりに……むぎぎぎぎ!本当に忌々しい店だな……あの店に奴隷がいたよな?攫って金を請求してやろうか!」

 店の店主は、独り言をブツブツ呟いていた。

「どうやって攫うかだな……やっぱいつものように人を雇うか……」

 店の店主は、ギルドに取り入ってのし上がった錬金術師だった。他の店より大量に素材を買うから、素材を安く買い取り他の店に素材がまわらない様にして、経営を悪化させたり平気でするような人間だった。
 または用心棒を雇い、ライバル店に入り浸らせて来た客を脅したりもしていた。
 
「久しぶりの依頼だな?今回はどの店だ?」

「㋪だよ。あの店の奴隷を攫ってきてほしい」

「㋪をやるのか?俺達もあの店にはイラついていたんだ。その話し乗らせてもらうぜ」

「お前達は冒険者だろ?本当にいいのか?」

 店の店主は、呆気なく了承されたので目を見開いた。この冒険者というかごろつきは、ギルドの依頼を積極的にこなすような人間ではなく、冒険者カードを身分証明に使い、こうした依頼をギルドを通さず請け負うのをメインにしている。
 その為、ランクは上がらずギルドからしたら不良冒険者である。その為、㋪から磨きを断られていたのだ。

「㋪の奴、調子に乗りやがってよう!俺達の仕事を断った事を後悔させてやるぜ」

「利害が一致したようだな」

「しかし、攫った奴隷は俺達くれよ」

「奴隷をどうするつもりだ?」

「へっへっへ。あの店の奴隷は美人ばかりだからな。俺達で可愛がってやるだけだよ」

「なるほどな……俺はあの店から身代金を奪えればどっちでもいい」

 店の店主とごろつき達は、怪しい笑みを浮かべたのだった。


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