研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第1 章 自分だけの職業

36話 計画の練り直し

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 ベネッサ達は、ヒロトシの言った意味が分からなかった。確かに、闇ギルドを潰した功績で、ヒロトシは今の地位を得たのは分かるが、すぐに闇ギルドは復活すると思っていたのだった。

「坊や……何を言ってんだい?闇ギルドが、この町にはできないだって?馬鹿も休み休み言いな」

「確かに、今闇ギルドの連中は報告待ちだと思うよ。壊滅したという報告を受ければ、俺はあいつ等の報復リストに乗るだろう」

「だ、旦那様……」

「セバス、心配するなと言っただろう」

「は、はい……」

「坊や……あんた、まさかわざとターゲットになったのかい?」

「ああ!そうだ。俺は人間の命は皆平等と思っているが、あいつ等は世の中にいても、百害あって一利なしだ!」

「坊や……まさか、闇ギルドを壊滅させるつもりなんじゃ……」

「ベネッサさんもなんだよ。俺はそんな暇人じゃないよ。この町に、闇ギルドが存在しなければ、後はどうでもいいよ。だから、闇ギルドが俺の周りになければそれでいいんだよ」

「……坊や、あんた何を考えているんだい?」

「いや……何も考えてないよ。俺は人生楽しく生きて行きたいだけだよ」

 ベネッサは、ヒロトシがこの先何をしでかすのか分からなかったが、取り敢えずこのミトンの町に闇ギルドが設立されたら、ヒロトシが自らまた壊滅させることはわかったのだ。

「わかったよ。坊やのこれからの活躍を信じて、商人ギルドはもうちょっと商人達に目を向けてみるよ」

「そうですか。わかってくれてありがとうございます」

 この瞬間、商人ギルドとしての方針を変える事を議題に上げて、幹部会議が開かれる事になる。しかし、これには商人ギルド本部にも報告しないといけない事になるので、すぐに方針が変わる事はなかった。

 ベネッサと幹部達は、末恐ろしい少年だとため息をついて、ギルドに帰っていくことになった。





 そして、ヒロトシは護衛メンバーに声をかけた。ミルデンス達は、ヒロトシに呼ばれてすぐに集まった。

「ところで、みんなは戦闘能力はどれほどのものがあるんだ?」

「主君。私は元冒険者でレベル40の戦士ですが、現役の頃よりは実力は落ちています」

「じゃあ、オークぐらいは狩る事は出来るんだな?」

「はい!それぐらいなら余裕ですが、オークの集落を落とすとなれば実力不足だとおもいます」

「他の者は?」

 ミランダやアイリーン達は、短剣職や拳で戦う武闘家の為、タンカーやアタッカー後衛職がいないと、オークと戦うのは無理だと言った。特にカノンは翼が焼けてしまい、ゴブリンの相手が精一杯だと言った。

「そっか……じゃあ、ダンジョンに潜るのはとてもじゃないが無理だな」

「申し訳ありません……」
「ご主人様、まさかオークションで【ハウス】を買った理由は、わたし達にダンジョンに行かせるつもりだったのですか?」

「カノン、当たり前じゃないか。お前達はもっと強くなれるんだからな。だけど、ちょっと俺の先走りだったみたいだ。すまんな……」

「何でわたし達を、ダンジョンに連れて行こうと?」

「ミスリルやオリハルコンが欲しいと思っただけだよ。買うと高いだろ?だから、自分で掘りに行こうと思ったんだよ」

「掘りに行こうと思ったと言っても、採掘が出来る人間がいないじゃないですか……」

「最初は奴隷商店で、仲間になってくれる人間を探しに行こうと思ったんだけど、闇ギルドに囚われていたシェリーとハンナが採掘ができるんだよ」

「なるほど……確かに、彼女達はドワーフでしたね」

「ああ……俺もびっくりしたよ。彼女達は大人だったんだな?」

「ご主人様……まさか彼女達を子供だと思っていたのですか?」

「ああ……そのことを言ったらむちゃくちゃ怒られた……あたし達は大人だって!」

 ミストラルの世界のドワーフの女性は、ヒロトシからすれば幼女にしか見えなくて、年齢は50才を過ぎていたことにびっくりしたのだった。
 それに驚いて最初ヒロトシは、彼女達にまだ子供なんだから働かなくていいと言ってしまって、物凄く怒られていたのだった。信じれなかったので、神眼で見させてもらうと確かに51歳と表示されていて、その時採掘がある事が分かったのだ。

「でもご主人様?」

 アイリーンが訪ねてきた。

「なんかおかしいことがあったか?」

「ミスリルやオリハルコン鉱石を採掘しても、そう簡単に手に入るものではありませんよ?」

「どういう事だ?」

「わたしは、生産者の護衛でダンジョンに潜っていたからわかるんですが、オリハルコンは特に鉱石に含ませる含有量が少ないんですよ」

「だからどうしたんだ?俺にはインベントリがあるじゃないか。鉱石を掘っただけ持ち帰れるんだぞ」

「それはそうなんですが、仮に含有量が20%ほどだったとしますよね?」

「ふむふむ」

「それを取り出せるのは、わずか10%あるかどうかなんですよ。オリハルコンともなると、5%取れるかどうかなんですよ」

「はぁあ⁉まじかよ?」

「はい!だから、ミスリルやオリハルコンは高いんですよ。採掘量も少ない上に取り出せる量も少ないのです」

「だから、労力を考えるとご主人様の場合磨きの仕事もあるし、買った方がいいかもしれませんね」

 それを聞き、ヒロトシはガクッと項垂れたのだった。ヒロトシの計画はまた一から練り直しとなったのである。






 その頃、ミトンの町から脱出した、唯一の生き残りであったアサシンは、昼夜問わず本部があるロドン王国の王都に向かって移動していた。

 王都まで、ミトンの町から馬車で東に半年の距離の場所にある。途中で、アサシンは姿を一般人変え、馬を買って乗り潰すつもりで駆けて行った。
 そして、馬を買い替えやっとの事で王都に着き、王都に潜入をして闇ギルド本部に辿り着いたのである。

「き、緊急事態だ!」

「ど、どうしたんだ?お、お前は確か、ミトン支部にいたガーランドじゃないか?」

 姿形は、疲労困憊で髭も伸ばし放題でパッと見たら分からないが、顔に大きなバッテンの傷で判明したのだ。アサシンの中でも特級クラスの人間である、ガーランドを知らない人間はいないのである。

「闇ギルド、ミトン支部が壊滅した……」

「な、なんだと!」

 闇ギルド本部は、ガーランドの報告に騒然となった。アサシン達はギルド本部のギルドマスターにそのことを報告したのである。
 そして、そのことは直ちに議題に上がり、すぐに次のギルドマスターの候補が上がり、壊滅させた人物の情報を集めた。そして、報復のリストに載せたのである。

「ちょっと待ってくれ!あいつはそんな生易しい奴じゃない!」

 ガーランドは会議に意見をしていた。

「お前の報告では、ヒロトシという人物は研磨という技術者なんだろ?しかも、初級の魔法しか使わなかったとか言うではないか?」

「しかし、あいつは魔法使いだと思ったのだが格闘術もあった。しかも、属性魔法は3種類使ったんだぞ?普通の生産者じゃないんだ!」

「馬鹿な!武闘家が魔法を3種類使ったというのか?そんな人間がいるのか?」

「ああ……もしあ奴を殺るというなら、俺の見解はミトン支部の10倍の戦力が必要だ……」

「馬鹿な事を……あんな片田舎に、10倍のアサシンを送れというのか?」

「そうだ……信じれないかもしれないが、俺の実力をもってしても、あいつを暗殺できる自信はない……」

「特級クラスのお前が自信が無いだと?」

「ああ……悔しいがあいつに勝てる気は全然しない」

 そんな人間が、この大陸に存在するのかと、闇ギルドの会議は騒然となった。ガーランドの報告通り、ミトン支部を又作るとなれば、周りの町からミトンの町に集結させないと無理だという事になる。

 闇ギルドでは、ミトン支部をどうするのか頭を悩ませる結果となった。 


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