研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第2章 研磨という技術

24話 謝罪と新たな商品

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 生産ギルドは㋪の条件を受け入れる事になった。しかし、この条件は生産ギルドにとって、とてもきついものになったのは言うまでもなかった。

「申し訳ありませんが、この後ロドンさんと幹部の皆さんだけ残って頂けますか?」

「はい……」

「お前達は、このまま帰りギルドで待機していなさい……」

 アリベスにそう言われて、採掘師達は肩を落として㋪を後にしたのだった。

「それで、なにか用ですか?」

「今回、無理を言い申し訳ありませんでした」

 ヒロトシは、ロドン達に頭を下げた。その行動に生産ギルドの人間は驚き固まってしまった。

「ちょっと待ってください!頭を上げてください。ヒロトシ殿が謝罪する意味が分かりません」

「今回、俺はわざと貴方達を追い詰めました。今回のような事は想定内で、採掘師の皆さんから反感を買う事は分かっていました」

「いえいえ……採掘師達がやった事はあまりに理不尽すぎる」
「そうですよ。ヒロトシ様が廃棄した物をどのように利用しようと、文句を言うのは間違っています」

「そう言って頂けると気が楽になります。それで今回、オークションの取り分ですが、俺が7割を貰っても本当に大丈夫ですか?」

「それは……6割にしていただけると有り難いですが、あ奴らには良い薬となるでしょう。この町でヒロトシ殿に逆らうとどうなるか、よくわかったと思いますし……」

「ありがとうございます。それで、あの人たちにペナルティーを与える事になるのでしょうが、それは止めてあげてもらいたいのです」

「それはヒロトシ殿の願いでも無理というものですよ」

「まあ、待ってください。ロドンさんも、あの人達は大事な人材だと言いましたよね?」

「とはいえ、生産ギルドに多大な損害を与えたのだ。永久追放とまではしないが、5年はギルドの専属採掘人として働いてもらうよ」

 今回問題を起こした人間は、予算が組まれるまでギルドの専属になり、住み込みで鉱石を採掘させられる事になるのだという。
 給料は支払われるが、最低賃金で1日2食付きで働かされるのである。休日も週に一回あり、奴隷には落とされないのが唯一の救いだった。

「まあ、聞いて下さい。何もタダでというつもりはありませんよ」

「どういう事でしょうか?」

「貴族様の家で使う食器がありますよね?それを今度㋪で売り出すつもりなんですよ。その食器セットを生産ギルド主催のオークションに出してもらいたいと思います。当然これは俺の取り分は6割でですよ」

「今更食器ですか?そんな物がオークションで売れるとは……」
「ギルドマスターちょっと待ってください!ヒロトシ様、それって!」

「さすがアリベスさんだね。気づきましたか?」

「どういうことだ?」

「ギルドマスターもうちょっとしかっりしてくださいよ。ヒロトシ様が食器セットを売り出すって事は、銀食器やフォークやナイフが磨かれていると考えるべきです」

「そ、そうか!」

 この世界の貴族達が、使用している銀食器などは普通に磨かれてはいない。平民が使う食器類は、木で作られているが、貴族が好んで使う食器は銀製品である。そして、ヒロトシは試作品である食器とナイフをテーブルに並べた。

「これを、生産ギルド主催のオークションに出したいと思います。そして、町の生産者に依頼を50セット出す事でいかがでしょうか?」

「「「「「これはすごい!」」」」」

 ヒロトシが、出した食器は自分の顔が映るぐらい光っていた。

「これならオークションに出しても貴族様はこぞって購入してくださる」
「本当にこれなら鏡に引けを取らないわ」

「でも、なんであの者達をヒロトシ殿が庇うのだ?ペナルティーは当たり前ではないか?」
「そうですよ。そのようなこと気にせず、オークションに出品してもかまいませんよ」

「確かに、あの人たちは自分の事だけを考えて暴走したのは許せないよ。だけど、生産ギルドはちゃんと庇ったじゃないか。そして、その責任を俺に支払っただろ?」

「まあ、あいつ等が奴隷に落ちたら勿体ないのは確かだからな」

「理由はどうあれ、生産ギルドは構成員を守ったことは確かだからね。俺はそれを好意的に思っただけだよ」

「ありがとうございます」

 ヒロトシは、新たな磨き商品を生産ギルドに納品する事を約束し、生産ギルドは採掘者達にペナルティーを与える事はなかった。

 そして、ヒロトシは食器セットを50セットを生産ギルドに依頼した。手鏡と同様生産者達は、㋪の依頼を取り合ってこなしたのだった。貴族に納品する銀製品だけあって依頼料は高いのだ。




 その中の5セットを持って、ヒロトシは領主の屋敷に来ていた。

「ヒロトシ君、今日はどうしたのかね?」

「忙しい中面会に応じてくれてありがとうございます。今日は、㋪で新しく売り出そうとしている物を献上しようと思いやってきました」

「㋪で新しい商品を売り出すのか?」

「えぇ。売り出すと言っても、又オークションになるのですけどね」

「それはどういったものだね?」

 ヒロトシは、シルフォードの前に食器やフォークを並べたのである。その輝きに、シルフォードは目を見開き驚いたのだった。

「こ、これは凄い!」

 執事のクロードも、その輝きに目を見開いてみていた。

「この食器で、パーティーやお茶会をしたら豪華になりますね」

「ああ!たしかにそのとおりだ。ヒロトシ君本当にありがとう!」

「いえいえ、いつもお世話になっていますからその気持ちです」

 シルフォードは、ヒロトシの気持ちに笑顔となり大笑いしていた。

「それと聞いたよ。ダンジョン前の鉱石を又廃棄してくれるんだってね。本当にありがとう」

 ヒロトシは、生産ギルドが帰ったらすぐに、マウンテンバイクでダンジョンに行き、山のように積まれた屑石を全てインベントリに収納して屋敷に帰っていた。

 シルフォードは、改めてヒロトシに頭を下げていた。

「本当に助かったよ。まさか採掘師があんな事を言うとは思いもしなかった。予算をどうしても捻出できなかったんだ」

「でも、一応は予算は入れておいてくださいよ」

「すまなかった……私も、君に依存し過ぎていたな……」

 シルフォードはダンジョンでいる兵士達から、定期的にヒロトシが鉱石を持って帰っていると報告を受けていて、大幅に削っていたのだった。
 そして、その予算を今回の闇ギルド襲撃の事で使ってしまったのだった。ヒロトシの塩を購入する事や、在庫が無くなった薬草やら冒険者達に支払う報奨金などにである。
 一番の出費は、アンデット集団の後始末だった。これには魔法使いが土属性魔法で大穴を開け、そこにアンデットを埋める作業を何日もかけて遂行しないといけなくて、今もその作業が行われているのである。
 そして、一番の問題が北の森だったエルダーリッチがいたことで、森が腐敗していることだ。これには教会関係者が総出で、森の修復にあたっていた。ガーデニングスキルの持つ人間も活躍していたのだった。

「ったく……忌々しい闇ギルドの奴らめ」

 無駄な出費を掛けさせられたシルフォードは舌打ちをしたのだ。

「まあ、当分は闇ギルドは動けないと思いますよ」

「まあ、あの魔道砲があるし闇ギルドもそう簡単には手を出せないだろうしな。しかし、あの魔道砲は設置したままにしておいてくれないのかい?」

「領主様には悪いのですが、あのカサの部分がマジカル化にしてあるのですよ。月日が過ぎるとマジカル効果が無くなるからメンテナンスがいるんです」

「なるほどな……」

「それにあの場所に放置していると、誰かがあの場所で24時間見張りを立たなければいけませんからね」

「確かに魔道砲が盗まれたら一大事だな……」

「そういうことです。まあ、俺が町にいればあの魔道砲を使う必要はありませんから大丈夫ですよ」

「本当に頼りにしているよ」

 ヒロトシはそう言って、シルフォードと笑いあっていた。その時、この部屋にベルナータが入ってきたのだった。

 ベルナータは、ヒロトシが持ってきた食器セットに目を輝かせたのだった。

「ヒロトシさん、お久しぶりですね」

「これは奥方様、お久しぶりです」

「又、素敵なものを頂戴してありがとうございます」

「いえいえ……こちらこそ、いつもお世話になっています。数は少なくて申し訳ありません……」

「いえ、こんな素敵なものを、5セットも頂けるなんて嬉しいです。本当にありがとうございます」

 そう言ってベルナータは、そそくさと部屋から出て行ってしまった。

「お、おい!お前何をそんなに急いでいる。少しは、ヒロトシ君と会話でもしたらどうなんだ?ヒロトシ君、すまないな。落ち着きのないやつで……」

「いえいえ、お忙しいのに直接お礼を言いに来てくれただけでも、勿体ないことですよ」

「そう言ってくれると助かるよ」

 そう言って、ヒロトシは長居していたこともあり、シルフォードに挨拶を家に帰ったのだった。

 しかし、ベルナータは忙しいというわけではなく、ヒロトシの食器をみてすぐさまお茶会の準備に取り掛かっていただけだった。
 鏡の時と同様に、貴族の婦人たちを呼び、自慢をしたかっただけだった。この食器を使って料理を並べたら必ず、又主役となるだろうと思っていたのだ。
 しかし、この自慢はオークションで目玉商品となり、とんでもない売り上げをあげることになるのは、もう少し先の話である。



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