研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

文字の大きさ
91 / 347
第3章 新しい研磨

16話 魔の森での大発見

しおりを挟む
 ヒロトシ以外の人間は、この偉業に呆然としていた。

「もうここの土地は安全地帯だ」

「ほ、本当ですか?」

「ああ、後はもうカエデさん達が自由に過ごしてもらっても構わないよ。お前達はすぐに家の建設に取り掛かってくれ」

「「「「「わかりました!」」」」」

 ヒロトシは家を建てる材木を、ミトンの町で購入していた。それは一軒分だけだったが、後は現地調達するつもりだった。
 ヒロトシはミランダを連れて森に入り、エアカッタで森の木々を伐採していくのだった。

「ご主人様って、本当に何でもありですね……」

「そうか?俺はそんな風には思っていないんだけどな」

「何を言っているか分かりませんね……あんな早く村を作ってしまう人間がどこにいるのですか?それに今も、材木があっという間に手に入れてしまっているのですよ?」

「エアカッターが使える人間なら誰でも出来るだろ?」

「馬鹿な事を……普通のエアカッターはそんな大木を10本単位で薙ぎ払ったり出来ませんよ。まあ、せいぜい傷つけるのが関の山です」

「な、なるほど……」

「それに、この大木は魔の森の樹々ですよ?」

「えっ?何か違うのか?」

「ここの木々で伐採した材木は特別製でしてですね。一本当たりの単価は最高級品ですよ?」

「そいつは知らなかった……」

「それを、一気に10本薙ぎ払い、収納して一気に運べるご主人様はとんでもないお人です」

「なるほどな……まあ、俺からしたら、今家を建てている人間の方が凄いと思うんだけどな」 

「知らないと言う事は本当に恐ろしいものです」

 ヒロトシは、村で使う材木を伐採している途中で、木々が倒れる音で魔物が襲ってきたが、それらも一緒に討伐していくのだった。

「わたしの役目が意味がありませんね……」

「だから言ったじゃないか。俺一人で問題はないって……」

「そんな事言われても、わたし達は護衛メンバーなんですから、ご主人様一人で魔の森に入る事なんて容認できませんよ」

「でも、お前にキラーパンサーやキラーベアを討伐できるとは思えんのだが……」

「そんな事言わないでくださいよ」

「まあ……そんな事言ってもしょうがないよな。悪い悪い」

「全然悪いと思ってないでしょ」

「お前達も頑張っているのは分かっているよ。しかし、まだまだなだけだ。気にせず訓練を頑張れ」

「はい……」

「それにしても、何でここの森は、こんなにもランクの高い魔物が出没するんだ?」

「詳しい事はわたし達にもわかりませんが、この森は魔素が濃い場所なんですよ。それに魔物達は反応していると言われています」

「反応?」

「魔物には体内に魔石があるのは知っていますよね?」

「それぐらいは、誰でも知っている事だろ」

「その魔石がこの濃い濃度の魔素を吸い込んでいるとの見解があります。これも、ちゃんと立証されてはいないので研究者の想像の域から出てはいないのですが、一番有力候補の説ですね」

「なるほどな……」

「それと、ここの森の木々は他の森とは違い伐採しても、すぐに森が元に戻ってしまうらしいですよ」

「そうなんだ?不思議だな……」

「それらも、この魔素の濃度が関係しているらしいのですが、研究しようにも魔物が強いのでなかなか研究が進んでいないみたいですね」

「なるほどなあ……だけど、資材の調達には便利いい感じだな」

「だから、みんなご主人様の様に簡単に伐採なんか出来ないんですってば。この木は本当に硬いんですよ?こんなに簡単に伐採できるのはご主人様だけですよ」

「そ、そっか……」

 そんな事を話しながら、森の奥へと進むととんでもないものを発見したのだった。

「こ、これは!」

「ご主人様?この細い枝みたいな木がどうかしたのですか?」

「知らないのか?これはサトウキビだよ!」

「サトウキビって何ですか?」

「砂糖は知っているだろ?あの高価な調味料の」

「知ってますが……」

「あの砂糖の原材料だよ」

「嘘でしょ?砂糖の原材料は砂糖豆と言う小さな真っ白な豆ですよ」

「そうなのか?」

「そうですよ!原産地はエルフの国です。東に向かうと王都があるのは知っていますよね?」

「そりゃ知っているよ。2年前に行ったからな」

「そこからもっと東に行くと帝国領に入ります。帝都から南に行くと海に出て、海を越えると一つの島があるのですが、そこがエルフの国なんですが、そこの特産物が砂糖豆なんです」

「へええ、不思議な豆があるんだな」

「その真っ白な豆をすり潰し粉にしたのが砂糖なんですよ。こんな枝みたいな木が、砂糖の原材料だなんて初めて聞きましたよ。それにこんな木は初めて見ました」

「まあ、木というか……これはイネ科の植物なんだけどな。まさか魔の森にこんなお宝があるなんてな」

「もし、これが砂糖になると言うのならとんでもない発見ですよ」

「だよな。でも、ここに取りに来れるのは俺ぐらいか……」

「まあ、そうでしょうね……魔の森の入り口とはいえ、魔物のランクはSランクが出現していますし、カエデさんでも無理でしょうね」

 ヒロトシは、サトウキビの根っこを残し採取することにした。

「こうして根を残して置いたら、すぐに復活するはずですよ。植物はこうするのが普通です」

 癒し草や薬草の類のモノでもそうしておけば、すぐに復活するからだ。特にここは魔素の多い魔の森である。2、3日もすれば完全に復活してしまうのだ。

「やっぱり、あの村の特産物にするのですか?」

「いや、それは無理だな。いくらなんでもカエデさん達には採取出来ないだろ?それに村の敷地内からでたら、万が一闇ギルドに狙われたら犠牲になってしまうからな」

「それじゃあ、凄い発見だけど勿体ないですね……」

「なんで?ここまで来るのに半日もかからないんだよ。俺が直接採取しにきたら問題はないだろ?」

「た、確かに……」

 木材も十分伐採し、村に帰ると生産者達に驚かれた。何十本もの丸太を置いたヒロトシは、ここでも驚かれる事になる。

「だが、主よう……これをどうするつもりなんだ?確かにすごいとは思うが……」

「家の材料に使ってくれよ。なんかおかしい事でもあるのか?」

「この丸太は乾燥させなきゃ使えんぞ。使える様になるのは数年先だ」

「あ……なるほど……そういう事か」

 ヒロトシは、そんな事かと言いながら水属性魔法の【ドライ】を唱えた。この魔法は乾燥させる為、水分を抜き取るものだ。ヒロトシの魔力に掛ればこんなことはたやすい事だった。

「これで十分だろ?」

 ドライを掛けられた丸太は乾燥していて、材料として一級品となった。そうなればもうここからは大工職人の腕の見せ所だった。ドワーフ族にかかれば、丸太は立派な角材となり家の材料として申し分のないものとなった。

「それじゃ、俺はミトンの町に帰るが、お前達はここで家の建設にあたれ」

「「「「「分かりました!」」」」」

 

 ハウスで建てた屋敷の中では、メイド達が忙しなく働き家事をやってくれて問題はなかった。

「カエデさんはどうだい?ここなら平穏に生活できそうか?」

「はい!十分です。この子達も畑で野菜を育てる事は可能でしょうし、本当にありがとうございます」

「ここは悪意のある者は絶対に侵入できないから、安全性については安心だと思うが……」

「思うが、なんでしょうか?」

「カエデさんは、闇ギルドでどのような立場の人だったのですか?」

「あたしはアサシンとはちょっと違い、戦闘能力のある諜報部員といったほうがいいですね。この子達も、その卵で優秀な人材ですよ」

「つまり逃げるとき捕まりそうになった場合のみ、対象を始末するような感じですか?」

「そうです。自分で言うのもなんですが、あたしは見つかった事はありません。その道のエキスパートで戦闘能力は魔物を狩ってレベルを上げたもので、対人戦は数えるほどですね」

「なるほど……それで闇ギルドの人間なのに毛色が違う感じだったのか?」

「まあ、あたしも孤児院から攫われた子供の一人だったのです。幼いころからお店に忍び込んでパンを一つ盗んでいたから、その才能が開花したのかもしれませんね……いやな才能です」

 カエデは、自分の過去を振り返り寂しそうな顔をしていた。

「大丈夫だよ。もう貴方は闇ギルドには戻らないだろ?」

「当たり前です!余生はこの村で、この子達とゆっくり落ち着いた生活をしたいと思います」

「まあ、落ち着くかどうかは分からないけどな。ははっ!」

「えっ?」

「まあ、とりあえずはここで自給自足をしてもらえるかい?俺は三日後に又、様子を見に来るからよろしく頼むな」

 ヒロトシは意味深な事を言い残したのだった。そして、ヒロトシは護衛メンバーもここに残していくことにした。

「ミランダ達も、ここでよろしく頼むぞ。何かあった場合、このボタンを押してくれ」

「これってなんですか?」

「このボタンを押したら、離れた俺の屋敷にアラーム音が鳴るようになっている」

「ミトンの町にいても分かるのですか?」

「まあ、そういうことだな」

 これはスタンピードの時に、セバスが魔道砲を起動したときに、ヒロトシに報せたアラーム音と同じ原理で作った魔道具だった。

「でも、3日も離れ離れになるのは少し不安ですね……」

「しょうがないだろ。俺も研磨の仕事があるんだからな」

 それをわたして、一旦ヒロトシはミトンの町に帰還したのだった。

しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...