研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

文字の大きさ
97 / 347
第3章 新しい研磨

22話 想定外の戦力

しおりを挟む
 闇ギルドが、遂にミトンの町に押し寄せてきた。その一報は前と同じく冒険者が慌てて町に帰ってきた事から始まった。

「た、大変だ!北の森に数年前と同じようにアンデット集団が!」

「なんですって!」

 冒険者の一人が慌てて飛び込んできたと同時に、町に警戒を報せる鐘が鳴り響いたのだ。そして、受付嬢であるミルファーが、他の受付嬢にギルドマスターに報せる様にと指示を飛ばしていた。今やミルファーは、受付嬢の中間管理職にまでなっていて、頼れる上司の1人になっていた。

「貴方は、ギルドカードの招集アラートを鳴らして」

「はい!」

 これにより、ミトンの町の外近辺にいる冒険者達には知らせが届き、町に帰って来るだろう。そして、すぐにヒロトシに伝令を飛ばしたのだった。

「だれか!ヒロトシ様に伝令を!」

「わかった!俺が行ってくる!」

 その間に、冒険者が続々とギルドに集まってきていた。当然領主のシルフォードや、町の役員達も集まってきていた。

「ついにやって来たか……闇ギルドめ」
「しかし、今回はあの程度なら、ヒロトシ様の援助が無くても行けそうですな」
「たしかに!」

 町の首脳陣は余裕の笑顔で構えていた。前回とは違い、冒険者はもちろん町の兵士や国の衛兵達は、㋪美研で装備が+3になっていたのである。これは単純計算で5倍以上の戦力と変わらなかった。

「しかし、ヒロトシ君の予見は見事に当たったな……」

「本当ですね。あれから1年の月日が経ち、こちらとしても準備が整えられました」
「本当にヒロトシ様は、ミトンの町の守護神の生まれ変わりですね」
「そうですなあ!」

「「「「「「わははははははは!」」」」」

 本来であれば、作戦本部はスタンピードが起こると悲壮感で沈み切っているのが当たり前だが、ヒロトシの助言でシルフォード達町の役員は、この日の為にあらゆる準備をしていたので余裕すらあったのだ。

「食料の備蓄は?」

「この町なら切り詰めれば1ヶ月は大丈夫です」

「薬草や聖水は?」

「前回の時のスタンピードの時の3倍は備蓄しています」

 前回の時には無かった聖水も準備を怠らなかった。これは町が大きくなり、聖水が作れる施設も出来たことにあった。

「大変だ!」

「なにがあった?」

 余裕で構えていたギルドに、新たな情報が舞い込んでギルドマスターの顔に冷や汗がながれた。

「西の方角、ガーラの町に続く街道にアンデット集団が!」

「何だと!そんな馬鹿な⁉北の森の間違いではないのか」

「いいえ、我らはガーラの町に向かおうとしてたのですが、丘を越え少し行った所の森の中に!」

 ギルドマスターは、すぐに作戦本部にこの事を報告した。これにはシルフォード達役員も驚きを隠せなかった。この事で、戦力を2つに分けないといけなくなり、先ほどまでの余裕が消え失せたのだった。
 そしてこの後、シルフォード達は絶望に叩き落とされる事になる。冒険者達が町の外から続々と帰って来た時に、新たな情報が持たされた。

「ギルドマスターに連絡を、東の山の裾野付近にアンデット集団が出現!」

「なんですって!それは本当なの?」

 報せを聞いたミルファーは大声を上げてしまった。これで北と西と東の3方向からスタンピードが起こった事になる。

「ギルドマスター、たった今別の情報が入りました」

「今度は何だ!」

「ひ、東の山からもアンデット集団が……」

「ば、馬鹿な……そんな事が!」

 そして、最後に南からもアンデットが、出現したと報告があった。最後に、又冒険者がギルドに駆け込んできたのだ。

「た、大変だ!南の森に!」

「う、嘘でしょ……南からもアンデット集団が出現したと言うの?」

「ち、違う!そんな生易しいものじゃない!ドラゴンゾンビが!」

 ドラゴンゾンビと聞き、ギルド内は静まり返ってしまった。

「嘘……」
「嘘じゃない!俺達はこの目で確認をしたんだ!あの巨体がいきなり出現したんだ」
「そうだ!この町はもう終わりだから、早くギルドマスターに言って町の人間を退避させないと、とんでもない事になるぞ!

「退避は無理です」

「何でだよ!ドラゴンゾンビは移動に時間がかかる。こんな事を言っている間に早く行動に移したら!」

「駄目です、どこにも逃げ場がないんです」

「何を言っているんだ!北に逃げればまだ!」

 すると、ギルドにいたSランク冒険者達が止めたのだった。

「違うんだ……もう、北と西と東にアンデット集団が出現しているんだ……俺達は逃げる方向が無い……」

「馬鹿な事を!そんな事があり得るのか?」

「ああ……今ミトンの町は、アンデット集団に囲まれているんだ。逃げ場なんかどこにも……」

 そこに知らせを聞いたヒロトシが、ギルドに入ってきた。

「今どういう情況だ?」

「「「「「「「「ヒロトシ様!」」」」」」」」

 ギルドに入ってきたヒロトシの姿を見て、ミルファーたちが歓喜に沸いた。

「ヒロトシ様!いい所に」

「それでどういう情況だ?」

 ミルファーから、今の状況を聞きヒロトシは大笑いをした。その姿をみてミルファーは怒り、他の冒険者達はヒロトシが気が触れてしまったのだと思った。

「何を笑っているのですか?」

「いや、ごめんごめん。闇ギルドも必死なんだと思ったら、なんか笑えてしまって……いやああ、笑った笑った」

「笑っている状況ではございません!いったい何を考えているんですか!」

「まあ、そんなに怒るなって、所詮アンデットの集団だ。俺達が力を合せればどうにでもなるよ!」

「う、嘘ですよね?それは本当ですか?」

「ああ!嘘は言わないよ」

 ヒロトシの言葉に、さっきまで沈んでいた冒険者は勇気がわいてきたのだ。

「まずは、ギルドマスターに会わせてくれ」

「わ、分かりました」

 ミルファーは、ヒロトシを作戦会議を開いている作戦本部に連れていった。会議室は次々目の前が暗くなるような情報で静まり返っていた。

「失礼します。ヒロトシ様を連れてきました」

 ミルファーが、ヒロトシを連れてきたと言ったとたん、町の要人たちは一斉に席を立ち、ヒロトシに駆け寄ったのだ。

「皆さん落ち着いて下さい」

「ヒロトシ君これが落ち着いてなど……」

「いやぁ……まさか闇ギルドが、四方から攻めてくるとは思いもしませんでした」

「「「「何を呑気な事を言っているんだね」」」」

 これには、シルフォードが何かを言う前に、側近の役員達が怒鳴ってしまったのだ。

「まあ、待ってくださいよ。シルフォード様、俺が一年前言った言葉を覚えていますか?」

「何をいきなり?」

「俺は一年前、闇ギルドの奇襲を助言した時のことですよ」

「ああ。それは覚えているよ。だから私は今日のこの時の事を考えて色々と準備してきたつもりだ。しかし、それを上回る勢力に愕然としている……」

「俺はあの時、闇ギルドなんて俺なんか必要ないと言い、そればかりか魔道砲も必要ないと言いましたよね?」

「ああ!確かに言った」

「でも、それを撤回しますよ。まさかここまでの戦力を用意するとは思いませんでしたから。まあ、敵ながら天晴れと言っておきましょう」

「しかし、今更天晴れと言っても、この状況はどうにもならんではないか」

「いやいや……何を言っているのですか?」

「じゃあ、ヒロトシ君はこの状況はなんでもないと言うのか?」

「まあ、自分で言うのも何なんですが、冒険者達と協力すれば訳ないと思いますよ」

「「「「「馬鹿な事を!」」」」」

 ヒロトシの言葉に、役員達は慌てるのだった。数年前は北の森からのスタンピードだったが、今回はそれと同等のスタンピードが3方向と、南からはSランク級というドラゴンゾンビが確認しているのである。慌てるなという方が無理な状況だった。

「まあ、皆さんの気持ちも良く分かりますが、まずは俺の作戦を聞いて下さい」

 その言葉に、シルフォードとギルドマスター達が役員達を収めたのだ。

「こうなったら、ヒロトシ君の意見を聞くしかない!お前達も黙らぬか」

「「「「「領主様がそう言うなら……」」」」」

「まず第一に王国騎士団は北門の守りを。シルフォード様の兵士達を東門。冒険者達を西門に配備します」

「つまりアンデット集団は、全員で対処すると言う事だな?」

「はい。その通りです。その際に対処するのは一方向に魔道砲を2機設置しますのでよろしくお願いします」

「魔道砲を以前より2機増やしたのかね?

「いえ、4機増やしました。後の2機は南門に設置します」

「そういえば南門は誰が?」

「俺と俺の護衛メンバーだけで守ります」

「馬鹿な!ヒロトシ君と奴隷達だけだと?一番厄介な相手ではないか!」

「それは大丈夫です。俺だけでも十分ですが、俺は魔道砲を作動させるだけです」

「「「「馬鹿な!ドラゴンゾンビを奴隷達だけでどうにかなるとは思えん!」」」」

「大丈夫ですよ。その奴隷達は、今やこの町で敵う者がいない程訓練を積んでいます」

 ヒロトシは、シルフォードにミルデンス達は魔の森の魔物達と討伐できる程強いと説明した。ヒロトシが闇ギルドが攻めてきても自分はおろか、魔道砲もいらないと言った意味はここにあったのだ。

 1ヶ月周期でシュガー村の守りで今や、魔の森の中を探索できるほどに強くなっていたミルデンス達にとって、ドラゴンゾンビは脅威ではなくなっていたのだった。

「その言葉、本当に信じていいのだな?」

「大丈夫ですよ。任せておいてください」

 シルフォードは、ヒロトシの目を見つめて確認したのだった。シルフォードは今の状況はもう、ヒロトシの提案に乗るしかないとも思っていたので、全員にこの作戦を指示したのだった。


しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

処理中です...