研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第4章 魔道スキルと研磨スキル

2話 贈り物

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 ヒロトシとミドリは、お目当ての道具を手に入れフェール商会を後にした。

「ご主人様……あたしにこの道具は高価すぎますよ」

「何言ってんだ。その道具を使って腕を磨けばいいじゃないか。それだけの道具だろ?いいものが作れるはずだよ」

「ですが……いくら何でもこれは……」

「ったく……お前達は、ホント自己評価が低すぎるな。これぐらいの道具を使えて当たり前だとか思えないのか?」

「そんな……奴隷に落ちる前ですら、こんな上等な道具を使ったことはなかったのに……」

「だったら丁度良かったじゃないか」

「何がちょうどいいのか分からないのですが……」

「いいか?こう見えても、俺はこの町の英雄で有名人だ」

「それは当たり前じゃないですか」

「お前は、その有名人で英雄を主人に持つ人間だぞ?」

「それはそうですが、奴隷の身分でこんな立派な道具を……」

「いいか?この町でお前達は奴隷にもかかわらず、店で商売ができているんだぞ?サンライトでお客さんが奴隷だからって苦情が入ってきたか?さげすむ人間がたくさんいるのか?」

「それはいませんが……」

「多少はいるかもしれないが、そんなことが今まで聞いた事ないだろ?」

「はい……」

「だったら、ミドリもそれぐらいの道具を使っても、何らおかしなことはないだろ?奴隷が使ったらおかしいなんて誰が決めたんだ?」

「わかりました……」

 ヒロトシは、こうやってなにかにつけては、奴隷達に自分達は凄いんだと勇気づけていた。

「とにかくお前達は、自信を持つ所から始めた方がいい。わかったな?」

「はい。わかりました」

「じゃあ家に着いたら、早速ネックレスを作ってほしい」

「ネックレスですか?」

「どういったデザインを?」

「銀細工で、これを引き立てるような感じで作ってくれ」

 ヒロトシは、ブリリアントカットをしたダイヤモンドをミドリに渡した。

「何ですかこれは?」

「俺が磨いた宝石だよ。今度はこれを売っていこうと思っているんだ」

「す、すごい……」

 ミドリは宝石の輝きに魅了されていた。そして、ヒロトシの良いモノを作れと言った言葉を思いなおし、自分もこんな仕事がしたいと思って先ほどまでの態度とは違い、目に希望が満ち溢れていた。

 そして、ミドリは買って貰ったばかりの道具で、今自分が出来る限りの技術を詰め込んだのだった。そして、ヒロトシはそのいくつかのアクセサリーをマイン達に身に着けさせた。

 するとその反響はすぐに出る事になった。

「ヒロトシ様!これは一体、どういう事ですか?」

「どうもこうもないだろ。今準備を進めている物だよ」

 生産ギルドのアリベスは、マイン達がしているアクセサリーを指さして言ったのだ。

「こんな事が出来るなんて、うちは何も聞いていないのですが……」

「まだ準備段階の宣伝だよ。いちいち生産ギルドに言わないといけない事はないだろ?それに準備が整ってから言いに行こうと思ったんだから、そんな目くじらをたてなくてもいいじゃないか」

「えっ?生産ギルドに言いに来るつもりだったのですか?」

「当然だろ?この宝石は貴族様相手の商売だ!オークションに出品しようと思っていたんだよ」

「ヒロトシ様が貴族様相手に商売?」

「何驚いてんだよ。これは宝石だぞ?貴族様しか購入できないからな」

「貴族様しか購入できないって、いくらで売ろうと思っているのですか?」

「例えばこのダイヤ、だいたい1カラットだ。これは100万ゴールド以上はするからな」

「そんなに⁉」

「当たり前だ!このカットは凄く大変なんだから、それぐらい貰わないと割に合わん」

「確かに、この輝きはとんでもないですね……」

「まあ、平民でも買えない事はないが冒険者か商人ぐらいだからな。そうなれば、オークションになるだろ?」

「た、確かに……」

「だから、その時になったら生産ギルドに頼むから、アリベスさんは安心してくれ」

「分かりました。それを聞けて安心しました」

「ったく……ホント目ざといんだか……」

「当たり前です!それは褒め言葉として受け取りますよ」

「受け取らんでいい!」

 ヒロトシは大きな声を出したが、アリベスはスキップして㋪美研を出て行ったのだ。そして、ヒロトシはそのいくつかを、シルフォードの屋敷に持っていくのだった。

「今日はどうかしたのですか?」

「シルフォード様の奥方とお嬢様は御在宅ですか?」

「いらっしゃいますが、奥方に用事とは珍しいですね。アンジェリカお嬢様も丁度帰省していらっしゃいますよ」

 アンジェリカは、数年前にハンスと結婚してバラハード家に嫁いでいた。

「今度、うちから発売される商品を手土産に持って来まして」

「そうですか、それはそれは。少々お待ちください」

「そう言って、門番の兵士はヒロトシが来たことを伝えに行ったのだった」

 少ししたら兵士が戻ってきて、シルフォードの部屋に案内してくれた。

「失礼します。いきなり訪問をして申し訳ございません」

「いやいや、ヒロトシ君ならいつ来てもらっても結構だよ。君には何回も救ってもらったしね」
「ヒロトシ様、いつも主人がお世話になります」
「いつも、お父様がお世話になっています」

「いえいえ、こちらこそありがとうございます。もうすぐお子様が生まれるのですね。おめでとうございます」

 アンジェリカは、出産のために帰省していて、シルフォード夫妻にとって初孫になり終始笑顔だった

「ありがとう。それで今日は何かあったのかね?」

「ええ、今度うちで販売するアクセサリーがありまして、それをお土産にお持ちしました」

「アクセサリー?今更、何でそんなものを?」

 アクセサリーと聞いて、ベルナータとアンジェリカは目を輝かせた。

「とりあえずは、ネックレスとイヤリング、そして男性用にネクタイピンの販売をしようと思ってですね。これなんですが受け取ってもらえるとありがたいです」

 そのアクセサリーを見たシルフォードは目を見開き、ベルナータとアンジェリカはキャアキャアと騒ぎ目を輝かせていた。
 今まで貴族の気品があったのだが、二人そろって子供のようにはしゃいでいたのだ。

「こ、これは凄い……これはヒロトシ君の研磨技術なのかい?」

「ええ。そうです。宝石を磨いただけですが」

「磨いただけっていうが、こいつはものすごい事だぞ?今までの常識がひっくりかえるぞ」
「ほんとすごいわ!これってマジカルアイテムじゃないんでしょ?」
「ええ、これならマジカルアイテムより価値があるわ」

「そう言っていただき安心しました」

「し、しかし、これを我々が貰ってもいいのか?」

「ええ、そのつもりでお持ちしましたし、もし気にすると言うのなら、初孫のお祝いと言う事で」

「そういうのは反則であろう……」

「いつもシルフォード様には感謝していますので、そのお礼で持ってきたんですよ。受け取ってほしいです」

「分かったよ。いつも感謝しているのは私の方なんだが、その気持ちを受け取らせてもらうよ」

「ありがとうございます」

「それで、ヒロトシ様?このアクセサリーはいつから売りに出すのですか?わたくし、指輪が欲しいのでご購入させていただきたいわ」

「たぶん、生産ギルドから連絡が来ると思いますよ」

「生産ギルドっていうと、オークションか?」

「そのとおりです。このアクセサリーは磨くのに相当時間がかかりまして、多分500万からのスタートになるはずです」

「そ、そうか!又お祭りで湧き上がりそうだな」

「お父様!絶対指輪を手に入れてください!」

「まてまて、お前はもうバラハードの人間だ。そういうのはハンス君にいいなさい。私が購入したら、それはベルナータの物だ」

「あ、あなた!嬉しい!」

「えええ!お母様ずるいです!」

「ズルくなんかありません!わたくしの旦那様は世界一かっこいいのです」

「ったく……いつまでも新婚のようなんだから……いいですわ!わたくしの旦那様もかっこいいんだから」

 ヒロトシはそのやり取りをみて、何か癒されると思い暖かい笑顔となっていた。



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