研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第4章 魔道スキルと研磨スキル

7話 悪魔召還

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 ヒロトシは北の森に向かった。ミランダには屋敷に帰れと指示を出す事にした。

「そ、そんな!わたしも連れて行ってください!」

「駄目だ!この手口は闇ギルドとみていいだろう」

「だったらなおさら……」

「いいか?今回は数年前と違って直接俺達に的を絞って来たんだ。それがどういう事かわかるか?」

「そ、それは……」

「そうだ!絶対的な自信があると言う事だよ。再三にわたり、闇ギルドの計画は潰してきた俺に対しての自信だ。俺一人で行動した方がやりやすい!」

 ヒロトシは、一人の方がやりやすかったのだ。ヒロトシの弱点は家族達である。人質に取られたマインはもちろんだが、一緒に連れて行きミランダも人質に取られた場合、ピンチになるのは明らかだった。そのことを、ヒロトシはミランダに説明し、渋々納得させた感じだった。

 ヒロトシは、ミランダを屋敷に引き返させ、その目には怒りがこみ上げていた。そして、ヒロトシはその高い城壁を飛び越え、北の方に駆けて行った。



 時は少しさかのぼり、マインが総帥に誘拐される数日前になる。

「総帥。いえ、ノア様。いったいどうやってヒロトシを亡き者とするつもりですか」

「シアン。今回この宝石を手に入れた理由は理由がある。触媒の調達だよ」

「触媒とは?」

「僕の秘術を見せようじゃないか?」

「秘術とは、いったい何をするのですか?」

「悪魔召還だよ」

「悪魔召還は禁忌と言われるものでは!」

 悪魔召還とは、魔法石をすべすべにして魔法陣に設置して、生贄である人の命を閉じ込める事で行なう、非道ともいえる禁忌である。
 その人の命を閉じ込めるカギとなるのが、宝石の美しさである。貴族達が魅了される宝石は、砥石で砥いだようなつるつるの宝石であり、形もいう程整っていない物である
 その宝石を使った悪魔召還は、低級悪魔しか呼び出せない。つまり、術者の力量もあるがレッサーデーモンですら召還は出来ないのだ。

「それで、僕は今回宝石がオークションに売り出す情報を得て、これは使えると思いどんなことをしても手に入れる為に大金を投じたのだ」

「だから、幹部達の反対を押し切りオークションで買い物を」

「ああ!確実に手に入れたかったからな。それで生贄となる人間は何人揃えた?」

「ただいま、脱走を企てた者を500人。奴隷を500人と言うところでしょうか?」

「脱走が500人か……本当に忌々しい奴よ。ヒロトシは!」

 総帥のノアは、苦虫を噛みしめたような顔をした。闇ギルドにはこの数年でヒロトシの噂がまわり、各地で脱走者が続出していた。その何人かは脱走に成功し、闇ギルドでも手の出せない土地に匿われていた。

「ヒロトシは、脱走者をどこに匿っているのか分かったのか?」

「それが……今だ、魔の森のどこかと言う事しか……あの乗り物に追いつく事は出来ず、魔の森に近づくにつれ魔物に襲われ帰還する者が続出しています」

「そうか……魔の森ではしょうがないな……」

 そして、ノアはシアンとセレンを連れて、魔法陣が設置された場所に向かった。そこにはとんでもないだだっ広い空間がありその中心に、とんでもない大きな魔法陣が書かれていた。

 その周りには、顔に袋を被されて手を後ろで縛られ全員が足をつながれて、わめき散らしている奴隷達がいた。 

「や、やめてくれ!」
「俺達が何をしたと言うんだ!」
「あたしももっと生きたい!」
「やめてくれええええええええ!」
「……」

 中には、只震えていた者も多数いた。

「お前達は、犯罪奴隷として僕に買われた。お前達の命は有意義にこの余の為に使用してやろう!感謝しろ!」

 この広場には、アサシン達もいてノアの姿は直接見る事は出来ないようになっていた。高い位置から威厳のある感じでノアは演説していた。

「アサシン共よ!その奴隷の首を刎ねよ!」

「いやだああああ!」
「やめてくれ!」
「いやあああああ!」
「死にたくない!もう悪い事はしねぇ!」
「だから頼っ!」

 ザシュッと言う音が次々に聞こえてきて、魔法陣に奴隷達の血が降り注いだ。その様子を見せられていたのが、闇ギルドを逃亡しようとしていた者や逃亡に失敗して捕まった者達だった。

「お前達は闇ギルドを裏切った。血の掟を忘れた訳ではあるまいな」

「総帥!我々は逃亡をしたわけではありません」
「そうです!どうかご慈悲を!」
「我々は、もう総帥を裏切ったりはしません」

「我々も、もう逃亡など愚かな行為はしません!」
「これからは闇ギルドの為に誠心誠意尽くす事を約束します」
「だから命だけは!」

「お前達はもう一度闇ギルドを裏切っている。お前達はこれから闇ギルドを裏切ろうとしている人間の見せしめになってもらう!」

「「「「「いやだぁ~~~~~~~~~!」」」」」
「まだ死にたくない!」
「ゆ、許してください!」

 その言葉を聞き、闇ギルドを逃亡した人間達がパニックに陥り、命を懇願し始めた。その場を逃げ出そうとする人間もいたが、殺された奴隷達と同じように、手は後ろで縛られ、足は20人単位で繋がれていた。逃げ出そうとしても足並みがそろわないと逃げ出せないのである。20人21人脚走など無理な話だった。

「お前達の命は有意義に使わせてもらう。感謝して死んでいけ!」

 総帥はそういうと、脱走者達は頭に袋を被され始めた。必死に抵抗するも空しく逃亡者たちは魔法陣の周りで、その首を刎ねられてしまいその命を終わらせたのだった。

 アサシン達は魔法陣の外側に整列をし、総帥が魔法陣にくるのを見守った。総帥のノアは、仮面をつけていてアサシン達に顔を見せず、魔法陣の中心に綺麗に磨かれた宝石を置き呪文を唱え始めた。

「これらの生贄を捧げる!」

 するとノアの言葉に反応した魔法陣が赤く輝いき、生贄たちの血を吸収し始めた。そして、その真っ赤になった魔法陣は、その命を中心に置いた宝石に吸収し始めたのだった。

 宝石にドンドン血が吸い込ませる様に、魔法陣の外側から元の色に戻っていく。中心は真っ赤だが宝石に血が吸い込まれていき、宝石に命が収納されていっているように見えた。

「すごいぞ!まだ命が収納されていく」

 ノアが、そういうのも無理はなかった。今まで、上級悪魔を召還するにあたって、宝石が命の許容量を超えてしまい、宝石が割れてしまい悪魔召還が幾度と失敗していたのだ。
 今までは50人の生贄が限界だったが、ヒロトシが研磨した宝石は今だ割れる気配が無かった。割れるどころか無限に吸収するのではないかという程、その命を吸収していくのである。

 そして、この儀式は1時間にわたり続いた。1時間後、真っ赤だった魔法陣は元に色に戻り、中心に会った宝石はそのすべてを吸収し、血のような真っ赤なダイヤの指輪となっていた。

「こいつは凄い!1000人もの命を全部吸い込んでしまった」

「「総帥!成功おめでとうございます!」」
「「「「「「「「おめでとうございます!」」」」」」」」」

 シアンとセレンは、無表情だがノアに成功の言葉を贈った。2人の言葉に同調する様に周りにいた上級アサシン達も、一糸乱れない言葉を発したのだった。

「まだこれからだ!どんな悪魔が召還されるか楽しみだ」

 指輪はまだ魔法陣の中心に置かれていた。続けてノアが悪魔召還の詠唱をはじめた。

「これを生贄と捧げる!我が野望を叶えよ!サモンデーモン!」

 すると、ノアのMPはガクッと減った感じになりよろめいた。

「「総帥!」」

 セレンとシアンは、ノアがよろめいた事で駆け寄ろうとしたが、ノアに止められた。

「だ、大丈夫だ!」

 どんな悪魔が召還されるかは、ノアの力量が試されていたのだった。魔法の才能がなければ、どんなに優れた供物があっても召還される悪魔は下級となる。
 上級悪魔となれば、MPの量も半端なものではなく、それだけ大量のMPが必要となるのだ。するとどこからか、地響きが鳴るような声が聞こえてきた。

『我を呼び出すとは、たいしたものよ!現世に来れたのは5000年ぶりか!』

「我の願いを叶えろ!」

『贄はその指輪の命か?』

「そうだ!1000人の命で作ったものだ」

『贄はそれで十分だ。それで何をしてほしい?』

「ある人物をおびき出す。そいつとその仲間の始末だ」

『それは貴様と同じく人間なのか?』

「ああ!」

『ぐはははははははは!そのような下等生物に我の力が必要と言うのか?面白い!』

「契約成立だな」

『ああ!そのような簡単な依頼。暇つぶしに良いわ』

 召還された悪魔は豪快に笑ったのだった。

「姿を見せてくれないのか?」

 すると、魔法陣に1人の男性の姿が現れた。肌の色は漆黒で真っ赤な髪と瞳を持ち、その髪は紅蓮の炎の様に揺らめき、その手には一本の剣を握っていた。

『お前の名は?』

 その悪魔は静かに佇み、ノアに名前を聞いてきた。

「ノアと呼べばよい。お前は何という名だ?」

『我が名はスルト。炎の魔王だ』

「悪魔でなく魔王だと?」

『悪魔とは失礼な奴だ!まあ、短い間だが世話になるぞ。はやく、ターゲットを連れてくるのだな』

 今、ミストラルの世界に新たな魔王が誕生した瞬間だった。この魔王の存在は実に1000年ぶりとなり、人類はその恐怖をまだ知らない。
 1000年前、魔王の恐怖は人類に絶望を与えた。その時、地上に一つの希望である勇者が誕生し、勇者がその魔王を討伐し地上には平和が戻ったのだ。

 そして、闇ギルドの総帥ノアは、自分の都合で魔王を呼び出してしまったのだ。これがどういう事かも知らずに、今は闇ギルドにとって目の上のたんこぶであるヒロトシが始末できると、総帥を始めアサシン達は歓喜していた。




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