研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

文字の大きさ
145 / 347
第4章 魔道スキルと研磨スキル

28話 ノーマル武器

しおりを挟む
 ヒロトシのオプション付きミスリル武器が販売されて、冒険者ギルドでの噂はそれ一色となっていた。

「おい、聞いたか?」
「ああ!聞いた聞いた。Sランクの明けの明星さん達だろ?」
「ああ!㋪美研の武器を購入できて、ダンジョンの階層を又更新して45階層まで到達できたみたいだぞ?」
「それ本当?あたし、40階層だと思ってたわ」
「ああ。そうらしいぜ」
「なんでも、今回の魔物の素材は新種みたいだ」
「新種って何だよ」
「犬の顔を持った魔物らしいぞ」
「コボルトみたいなもの?」
「コボルトに似た新種でレベルは65を超えるみたいだ」
「「「「「「すげえええ!」」」」」

 冒険者ギルドでは㋪美研の武器の威力に感心し、自分達も早くその武器が購入できるようになりたいと話題に上っていた。

「それにしてもダンジョンはまだまだ何が起こるかわからんな……」

「えぇ……わたしも反省してます」

「カチュアが反省とは珍しいな。何かあったのか?」

「今回、明けの明星が報告してきたことがあるのですが、45階層で新種の魔物を討伐してきたのです」

「ああ。聞いている。俺も長い事冒険者をやって来たが、あんなのは初めてだ」

「それで、明けの明星の説明によれば、45階層から一気に魔物の質があがり、あの武器が無ければ自分達は死んでいたと言うのです」

「じゃあ、ヒロトシ様が言っていた通りになったのか?」

「はい……わたしは魔物のレベルの事を言っているのだとばかり……しかし、今回の新種はレベルが65それも大量に襲い掛かって来たらしいのです」

「それならば、オークとかゴブリンもそうじゃないのか?」

「いえ、知能がかなりの物でダンジョンの罠を利用してきたらしいのです。それを6人で対処できたのは紛れもなく㋪美研の武器があったからだそうです」

「なるほどな……それもしょうがない事だよ。ダンジョンの事は経験がない者には、報告だけが情報源になるからわからないのもしょうがないな。俺でさえ、現役を退いた今では現場では何が起こっているのか想像がつかんからな」

「はい……ですが、ヒロトシ様はなんであそこまで……あの人はいったい」

「確かに不思議な方だよな。今は絶対的英雄と呼ばれているが、戦闘力が無いわけでもないのに冒険者ではないものな……」

「そうなんですよ。何で商人だったお人が、あそこまでダンジョンの中が予想できるのですか?」

「そんな事俺に聞かれても……慎重な考えを持ったお人しかいえないだろ」

「でも、絶対おかしいですよ!ヒロトシ様もダンジョンに入っているんじゃありませんか?」

「ちょっと落ち着けって!そんなわけないだろ?確かに3日に1回のペースでミトンの町は出て行くが、その他の日は研磨工場で働いているんだぞ?ずっと働き詰めでダンジョンに行けるわけなかろう」

「確かにそれはそうですね……」

「まあ、俺から言わせれば出来が違うんだよ」

「いつもヒロトシ様に張り合っているあなたが何を言っているのですか?」

「うぐっ……それを言うなよ」

 ギルドマスターとカチュアは、いい雰囲気で話し合っていた。そんな事は、ヒロトシには関係なく㋪美研の鍛冶工房で次の計画を話し合っていた。

「ハンナ、製作進行はどうだ?」

「順調に進んでいますよ。もっと生産量を上げるのですか?」

「いや、それはいいんだが。そのレシピで鉄鉱石の武器を製作してもらえないか?その場合、どれだけの人数が出せるか見積もりを出してもらえるか?」

「今の生産量を維持できる最低人数ですか?」

「そうだ。それ以外は、そのレシピで青鉱石で作ってほしいんだ。当然、その武器はノーマルだから俺の研磨はしない」

「どういう事でしょうか?ご主人様の研磨を用いない武器をいまさら製作しても……」

「これは、生産ギルドに卸す分だよ。ようはCランク冒険者用の武器だ」

 ハンナからの人数を見て、その人数では足りないとみて新たな鍛冶師の奴隷を購入し、人数を揃える事にした。そして、ヒロトシは青鉱石で作った武器を持って、後日生産ギルドに訪問した。

「ヒロトシ様、今日はどうかしたのですか?」

「アリベスさんはいるかい?いい話を持ってきたと言ってくれ」

「まさか!㋪美研の武器を卸してくれるのですか?」

「ちょっと違うけどそうだな」

 ヒロトシの言葉を聞き、受付嬢はすぐにアリベスを呼びに行き、ヒロトシは客室に案内された。

「ヒロトシ様!㋪の武器を卸してくれるって本当ですか?」

 アリベスは、ヒロトシが待つ部屋に息を切らして駆けこんできた。

「わあ!びっくりした。そんなドアを乱暴に開けるなよ」

「す、すいません……」

「言っておくが、オプション武器じゃないぞ」

「えっ?どういう事ですか?」

「青鉱石で製作したノーマル武器だよ。Cランク冒険者にちょうどいい武器だ」

 そういいながらヒロトシは、テーブルの上にダガーを一本置いたのだった。

「何で今更、㋪がノーマル武器を?」

「アリベスさんが、武器を卸せとうるさいからだろ?」

「そんな言い方しなくても……」

「俺は、この武器は最初㋪だけのものとしようとしていたが、生産ギルドとこれからも良い付き合いの為に卸す決断をしただけだ」

「ですが、ノーマル武器では今更ではないですか?」

「馬鹿な事を!よく見てみろよ。その武器は新レシピで製作されたものだぞ。普通の1.5倍の威力を持つ武器だ」

「えっ!まさか……」

「ああ、そのまさかだよ。オーランの町で新発売されている刀で、冒険者が使い慣れている武器だよ。それでもいまさらと言うのか?」

「い、いえ……ですが、魔宝石がついた武器は無理なのですか?」

「駄目だな!それは諦めろ」

「では、これをミスリルにしてもらう事は?」

「それも駄目だ!ミスリルは貴重だしな。それに㋪でもミスリル武器はBランク冒険者からしか販売はしていない」

「そ、そんな……」

「我儘言うのなら、これをシルフォード様のとこに持っていくぞ?」

「ちょっ、ちょっと待ってください!」

「それは生産ギルドとしても困るだろ?」

「当たり前です!」

「悪い事は言わないから、これで納得しておけって。オーランの村の武器より需要は大きいから、売れない事はないはずだよ」

「わ、分かりました……」

「なんだ?そんなに不満なら卸すのをやめるよ」

「待ってください。卸してもらえますか?」

「ったく……素直にそういえばいいのに」

「申し訳ありません……」

「だけど注意しろよ。この武器を本当は卸したくなかった意味をちゃんと考えろよ?」

「どういう事ですか?」

「今、オーランの町のようにレートン以外の他の鍛冶師の様にしないようにしてくれよ。この武器が出回った場合、今までのノーマル武器は売れなくなる可能性があるからな」

「わ、分かりました……」

 ヒロトシが懸念していたのはそのことだった。今回、人員を補充したのもオーラン出身の鍛冶師達だった。レートンは、その武器の価格をできるだけ下げる事によって、他の鍛冶師達を廃業に追いやっていた。その上で数が少なくなったところに値を元に戻したのだ。
 そして、その首が回らなくなった鍛冶師を、ヒロトシが購入したのだった。今や、オーランの町には鍛冶師が少なくなっていて、レートンの店が幅を利かせていた。

 生産ギルドも、これには問題視しており、しかし打開策が建てられないでいた。

「だからな、生産ギルドオーラン支部にとりあえずこの武器を買って貰え。そして、オーラン支部に恩を売るんだ」

「なるほど!オーランの町は鉱山をいっぱい所有しており、主に鉄鋼業を産業に発展している町ですからね」

「俺もあの店はちょっと許せないからな。自分だけが得をしようとして他はどうでもいいと言うのが気に入らない」

「なんで、ヒロトシ様が気にするのですか?」

「何言ってんだよ。あの新商品は俺の家族が考えたものだよ。それを奪い取ったのが、あのレートンじゃないか」

「あっ……な、なるほど。じゃあ、ヒロトシ様はそれをなんとかしたいと考えて生産ギルドを利用しようと……」

「当たり前だろ。俺にもそれなりのメリットがなければ、生産ギルドにこんな話を持ってくるわけないだろ」

「それでは、生産ギルドの立場が!」

「何を言ってんだよ。生産ギルドはこの武器によって、どれだけの利益が転がり込むと思うんだよ」

「えっ?でも、オプション付きの方が……」

「それは諦めろと言っただろ?なんで、そんな目先の利益ばかり考えるんだ?」

「ですが」

「いいか?あの町は打開策が建てられないでいるだろ?それによって領主様も困っておられた。そりゃそうだよ。鉄鋼業を主にしている町なのに、鍛冶師が食えずに奴隷落ちしていくんだからな」

「それはそうですが……」

「ここまで言ってもまだわからないのか?それとも俺が、あの町に支店を作った方がよかったか?このノーマル武器
専門の店を。そうなれば俺は、オーランの町でも英雄になれる事になるな」

「ちょっと待ってください!」

「どうだ?この武器を生産ギルドオーラン支部に売った時、どれほどの恩が売れるのかわかるだろ?オーランの領主様から感謝される事になるんだぞ?」

「それは、そうですが……」

「ミトンの町がピンチの時、この恩がどのくらいになるか。いくらアリベスさんでもよくわかるだろ?それとも生産ギルドミトン支部は、そんな事はどうでもいいほど今の地点で経営不振なのか?」

「そんな事は……」

「だったら目先を考えるんじゃなくて、先の利益を考えろ。俺は自分の為に生産ギルドを利用しているが、生産ギルドにも多大な利益を落とす事も考えていると思うぞ?」

 アリベスは、ヒロトシの説明を聞き納得したのだった。そして、その提案を受け入れたのだった。


しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

処理中です...