研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

文字の大きさ
220 / 347
第6章 研磨という職

19話 権力者はやはり自分勝手

しおりを挟む
 ヒロトシは、ハボリムに自室に連れていかれた。

「ヒロトシ!今日の態度は一体なんだ?」

「なんだと言われてもな……」

「本来なら打ち首にあっても文句は言えない所なんだぞ?」

「俺を打ち首?ないない!そんな事をすれば困るのは王国なんだぞ?」

「何を言っているんだ!お前は現国王に対して政権を降りろと言ったんだ。立派な反逆罪ととらえられてもおかしくなかったんだ」

「俺だって王国の事を想っての苦言だ。俺は王都の復興を手伝う代わりに口出しすると言ったはずだぞ?」

「口出しすると言ってもだな……」

「ハボリム!言っておくが王国貴族はもうどうしようもないほど腐っている。俺はそれをどうにかしたいと思っての提案だ!」

「王国貴族が腐っているだと!言っていい事と悪い事があるぞ?」

「いいか?よく聞けよ。今回、錬金屋の事件は氷山の一角だ。なのに、ローベルグ様はブロッケン家とファート家をお残しにされた」

「当たり前だ!両家は王国にとって必要な貴族なんだからな!」

「あの結果でどうなるかわかるか?」

「あの結果でだと?」

「ああ!ブロッケンとファートが上に上がる為に推薦を得るシステムで、金を得る予定だった貴族が噂を流すぞ?」

「どういう事だ?」

「麻薬密売という大罪を犯しても家は残ると言う事だよ。つまりだな。逮捕された時に自分は知らなかった。例えば秘書が勝手にやったと言い逃れる事が出来ると言う事だよ!」

「身代わりをたてると言う事か?」

「だから、俺はあの時ローベルグ様に任せるのは嫌だったが、案の定ローベルグ様は不正を取り締まる前に、国の運営を取ってしまわれた」

「だからと言って、父上に国を俺に譲れと言うのは違うだろ!」

「いいや……あっているよ。もう、王国はそれほどまでにどうしようもない国という事さ。だったら、ハボリムが国を継ぎ根底から覆す方が早いってことだよ」

「馬鹿な事を!」

「いいか?王国のシステムは賄賂があって、上に上がれるシステムだ」

「馬鹿な事を!そんな事容認などしておらん」

「当然、建前はそうだ。しかし、お前だって賄賂の恩恵はあるだろ?お前世代の貴族達は、ハボリムが王位継承した時の事を考えて色々やってきているんじゃないのか?今は金という物じゃないかもしれんが、色々袖の下を通しているだろ?」

「そ、それは……」

「その中でも、仲の良い貴族をお前はどうするつもりだ?」

「それはそうかもしれぬが、その人間は能力もあるんだ。俺が王位継承したら、国にとってありがたい人材には違いない!」

「じゃあ、お前は賄賂ではなくその人間の能力で役職を決めていると言うんだな?」

「当たり前だ!」

 ヒロトシは、ハボリムにそのことを確認を取って、さらにつづけた。

「だったら余計に、お前が王位を継いだ方がいいな?」

「だからなんでそうなるんだよ!」

「さっきも言った通り、このままでは賄賂は、人を陥れても犯罪にならない国になるからだよ」

「人を陥れても……」

「そうだよ。ローベルグ様は麻薬密売の家を残された」

「それは両家が王国にとって必要な家だからだ」

「それによって、これからは平民が騙されたり、被害にあった金で貴族はより裕福になるぞ?」

「これを見てみな?」

 ヒロトシは次なる犯罪の証拠をみせたのだった。

「こ、これは!」

「平民達が犠牲になっている証拠だよ」

 その証拠書類には、神官と貴族が繋がり神官が信者を集めて、お布施という名目で札やアミュレットを購入させている事が書かれていた。

「しかし、どうやって購入させているんだ……」

「王都周辺が枯れ地になったからだよ。そこに貴族は目をつけたんだ。人間は何か拠り所がほしいものだよ。その人間に何か不幸があった時に、その札やアミュレットを購入すれば神様は自分だけは見捨てないとか言われればコロッといくだろうさ」

 ある冒険者はこのアミュレットを購入した次の日に、薬草の群生地を見つけた事ですっかり信じ込んでしまった。

 またある家族は、父親が冒険で亡くなってしまった所に神官がやってきた。そして、この家には呪いが掛かっておると言われたらしい。
 御札を購入しないかと持ち掛けられ、お札を購入した次の日家の天井から金貨が落ちてきたそうだ。父親が亡くなった家族にとって、この金貨は生活が少しでも楽になる事で、呪いが無くなったと思い込んでしまい入信した。

「これは本当の事なのか?」

「ああ!本当の事だよ。うちの諜報部隊は優秀でね。次々、こういう情報が入手してくるんだよ。その貴族が手に入れた金は何に使われると思う?」

「そ、それは……」

「そう、王国では建前は禁止されている賄賂にだよ。そして、王国ではそのことは暗黙の了解となり、上級貴族ですら罪の意識がなくなって平然と受け取っている」

「そんな事は……」

「だったらどうするんだ?ローベルグ様は麻薬密売の家系を救ってしまわれた。要は前例を作ったんだよ。だから、俺はローベルグ様に引退を促し、ハボリムに跡を継いだ方がいいと提案したんだ」

「……じゃあ、ヒロトシは俺が王になってそう言ったしがらみを排除させる為に……」

「俺は俺で王国の事を考えた結果だよ。しかし、今いる権力者は変わる事には反対するだろうけどね」

「そ、それじゃ……王国は崩壊してしまうじゃないか!」

「俺が、国に口出しするデメリットはこういうことだよ。まあ、王国貴族達の重鎮は俺からしたら老害だよ。ハボリムがこの先をどう考えるかだな」

「もし、この俺が今すぐ王位を継がなければどうなる?」

「それはそれで、王国は今のまま続くんじゃないのか?」

「だったら、何でそんなにかき乱す必要があるのだ?」

「俺に協力を求めたのは王国の方だろ?」

「あっ……」

「俺は、王族の味方でも平民の味方でもないよ。賄賂という悪習は排除するべきだと提案しただけだ。それには貴族の根底を変えないと、なくなる事はないと言っただけだよ」

「……」

「当然、平民の間でも賄賂があるだろう?それが発覚すれば罪に問われるじゃないか。貴族の間で暗黙の了解は不公平だろ?」

 ハボリムは、ヒロトシの意見に黙りこくってしまった。

「あっ、そうそう。もし仮に、ハボリムが王位を今すぐ継がないという決断をしても、俺は責めるつもりはないから安心してくれ。それもまた王国の決断として理解するからさ」

 ヒロトシは、それだけ言い残しハボリムの自室を出て、サンライト2号店へと帰ってきた。

「はぁ……これは無理そうだな……」

「「ご主人様おかえりなさい。どうなりましたか?」」

「シアンとセレンか。まあ、予想通りだな……これから王都の平民は貴族達に食い物にされる街となるだろうな」

「「そんな!」」

「要は、全て自己責任で自衛しないと、貴族に利用されて終わりになるよ」

「「ご主人様はこれからどうするつもりですか?」」

「王国に協力はするが、それはあくまでもサンライトの経営だけで、商人として税を納めるだけだな」

「では、王国に口出しは?」

「それはやらないよ。お前達ももう諜報活動は中止してくれ」

「「わ、わかりました」」

 ヒロトシは、結局は権力者が得になるのが世の常かと諦めたのだった。

しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...