氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第1章 レアスキルは偉大

49話 商人ギルド本部に冒険者が乗り込んだ

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 今回、予想だにしなかった事実が発覚し商人ギルドは騒然となり、この事はすぐに王都グシリアの本部に報告される。

「ラーダ様!大変です!」
「そんなに慌ててどうしたんだ?」
「マートン支部から連絡があり、ストレングス・プロテクションポーションの入荷がストップされたそうです!」
「なんだと!あのポーションはマートンの町の特産として、マートン支部に卸されていたものだろうが!契約は結んでなかったのか?」
「それが・・・あのポーションはあの魔道士が好意でマートン支部に売った物だったらしく、単なる買取品だったようなんです」
「馬鹿な!」
「アーノルドの報告では、魔道士がダインギルドマスター代理の人柄を信じ、ポーションを定期的に売りに来るからそれを活用し、魔道士の損害賠償金の返済プランを立てたそうです」
「じゃあ、魔道士が定期的に新しいポーションを商人ギルドに卸す事は・・・」
「ないそうです・・・」
「くっそぉ!あの偏屈魔道士め・・・まぁいい!あのポーションは諦めるか・・・少し惜しいがな」
「あの・・・」
「まだ何かあるのか?」
「それが・・・その・・・」
「なんだ?はっきり言わんか!」
「ひっ!アーノルドの報告に、その魔道士の返済期限は半年後に延ばされており・・・」
「ほう!あの偏屈魔道士が折れておったのか!」

 損害賠償金の期限を延ばされていたと聞いて、ラーダはいやらしい笑みを見せるが次の報告を聞き般若のような顔になり自分のテーブルを叩いた。

「なんだと!半年後に損害賠償金を払わなければ損害賠償金が倍額になるだと!」
「はい・・・半年後に延ばす条件に契約が結ばれていたそうです・・・」
「そんな契約商人ギルドは了承せぬ!」
「アーノルドも魔道士様に抗議したらしいのですが、その契約書には商人ギルドの印が押されていてどうにもならないそうです。また、今回の件で魔道士様はダインギルドマスター代理を追放し、ギルド本部が責任を持って優先的に支払う決定をした事を知っているようです」
「馬鹿な!」
「多分、ダインギルドマスター代理から聞いていたようです」
「あの馬鹿が!要らぬ事をべらべらと!」
「そして、今度は絶対に逃さないと・・・その・・・」
「なんだ!はっきり言え」
「支払いが滞るような事があったら、ラーダ様を奴隷になってでも支払いをしろと・・・」

 ショウの言葉を聞いて、ラーダは顔を真っ赤にして机を叩くのだった。

「あの・・・偏屈魔道士が調子に乗りおってからに!」
「しかし、どうなさるおつもりですか?5億ゴルドなんて大金、今の商人ギルドに用意できるとは・・・」
「かまわん!マートン支部に任せておけ!いざとなれば、マートン支部を潰せばよい」
「しかし、あの町にはダンジョンがあり・・・」
「かまわん!なぜ私が損害賠償の為に奴隷落ちせねばならんのだ。マートン支部は負債を抱えて倒産する」
「・・・」
「そして、時期を見てまた商人ギルドを立ち上げればいい」
「わ、わかりました・・・」

 秘書の女性に反論するような意見が出るような事はなかった。やはり完全に商人ギルドは、ラーダの王国でありワンマン経営だった。
 そして、商人ギルドマートン支部にはなんの支援や金策も何も取られないまま半年が経ったある日、王都グシリアの商人ギルドに大勢冒険者達が殺到していて、受付嬢達が冒険者達をなだめていた

「これは一体どういう事だ!」
「私達にもよくわかりません・・・」
「「「「「「ギルドマスターのラーダをだせ!」」」」」」

 受付嬢長が大声を張り上げる。すると、その声に冒険者達は少し落ち着いて、冒険者達のリーダー的存在な人物が冒険者達の前に出る。

「ちょっと皆さん落ち着いて下さい!」
「これが落ち着いてられるか!俺はヤンという。一応はこいつらのリーダー的存在を担っている」
「ヤンさんですね。私は商人ギルド本部受付嬢長のマーガレットと申します。それでこの騒ぎはどういう事ですか」
「どうもこうもない!マートン産のポーションの事だ」
「あっ・・・」
「その顔、俺達が言いたい事がわかっているみたいだな」
「それは・・・」
「今すぐ、ラーダは魔道士様に損害賠償金を支払え!」
「なんで貴方達からそんな事を言われなければならないのですか?」
「わからねぇとは言わせねぇぞ!あんた等が魔道士様に損害賠償を払わねぇから王都グシリアに魔道士様のポーションが届かねぇんだろうが!」
「そんな事は!それにあのポーションは魔道士が一方的に仕入れを止めたんです」
「こっちが何も知らねぇとおもってんのか?そもそもの原因はラーダにあるんじゃねぇか!」

 ヤン達冒険者達は、王都グシリアにショウのポーションが届かなくなり、自らマートンの町まで遠征をして買いに行っていたのだ。その際、ショウに商人ギルドを通じて王都グシリアの冒険者ギルドにも流通させてほしいと懇願したのだった。しかし、ショウは今の商人ギルドを信頼する事は出来ないと言い流通の件を断られたのだ。
 ヤンはそれでもくい下がらず、以前のように行商人に頼んで行商してもらえないかと頼んだ。しかし、それもまた王都グシリア本部にラーダがいる限り、行商人にどんな迷惑がかかるか分からないからそんなリスクは取れないと拒否されてしまった。
 この事は、商人ギルドだけでなく他のギルドでもラーダの悪評が立っていたからこそ、ヤンも反論出来なくて引き下がるしかなかったのだ。以前、行商人がこれたのはまだ、マートン支部がダイン達が後ろ楯になっていたからだ。しかし、今のマートン支部にはラーダの息がかかるアーノルド達である。そんな中、行商人個人がショウのポーションを行商し儲けを出せば、どんな圧力をかけられるかわかったものか容易に想像が出来るのだった。

「あのポーションは冒険者にとって必要不可欠なアイテムだ。あのポーションを手に入れた冒険者はダンジョンの階層を簡単に更新できたんだ」
「それはわかりますが私達にどうしろと言うんですか?現に魔道士様は商人ギルドに卸さないとおっしゃっていて」
「だから、商人ギルドは魔道士様に損害賠償金を今すぐに払え!」
「「「「「「「「そうだそうだ!」」」」」」」」
「「「「「「「「損害賠償は払わないといけない金だ!」」」」」」」」
「そんな事をすれば商人ギルドは潰れてしまいます」
「ラーダが支払える計画を潰した聞いた。これはもう商人ギルド上層部が責任をとって辞任しろと言っているんだ!」
「「「「「「「そうだそうだ!」」」」」」」
「俺達は王都グシリアの為にダンジョン攻略をしていると言って過言ではない。その行為を商人ギルド上層部の人間が足を引っ張るとは何事だ!」

 この世界のダンジョンの攻略はまだされたと言う事実はなく、ダンジョンを利用して町は発展している。ここ王都グシリアのダンジョンは他のダンジョンに比べて強大と言う事だけしかわかっていない。つまり、スタンピードが起こりやすいと言われていた為、ショウのポーションが必要不可欠なアイテムになるのは当然の事だ。それを商人ギルドが原因で止まったのだから、冒険者の怒りは凄まじいのは当然の事だった。

「待って下さい!これは以前のマートン支部が約束した事であって・・・」
「その話しも聞いてるよ」
「えっ・・・」
「元マートン支部ギルドマスター代理のダインさんは、マートン支部冒険者ギルドの職員だ」
「あっ・・・」
「ダインさんは商人ギルド本部が責任を持って支払うと自分に言ったそうじゃねぇか!この証言に嘘偽りはないと魔導具で証明されたと聞いてるぜ」
「うっ・・・」
「いいのか?このままギルドは知らぬ存ぜぬを通したところで不利になるのはお前達商人ギルドだぜ」

 その言葉が出た時、堪えきれず奥の部屋から飛び出してきたのはラーダだった。

「何が不利になるのは商人ギルドだ!」
「やっと出てきたなぁ。事なかれ主義の無能が!」
「誰が無能だ!脳筋の代表のような冒険者無勢にいわれたくはないわぁ!」
「お前が魔道士様にちゃんと損害賠償を払わねぇからポーションが入荷されないんだろうが!責任をとって辞めろ」
「私は払わないとは言ってはおらん!損害賠償が膨大な額だから待ってくれと・・・」
「はっ!損害賠償請求を待つ?何を寝ぼけた事を。商人ギルドの幹部達が魔道士様の奴隷の命を狙った損害賠償だろうが?速やかに支払え!それが出来ないなら奴隷に堕ちろ!そんな事子供でも知っている常識だ!」
「「「「「「「「そうだそうだ!」」」」」」」」
「「「「「「「「何を寝ぼけている!」」」」」」」」

 この世界はこういった事は実にシンプルである。借金をし返せなければ奴隷落ち、犯罪をすれば犯罪奴隷に凶悪犯罪は鉱山送りか処刑になるのが当たり前である。今回は、ショウへの損害賠償金を支払えなければ、それは商人ギルドへの借金となる。普通は組織なので簡単に支払えるはずだが、マートンの町また領主への損害賠償金も払っており、ショウの損害賠償金まで払えないのだ。
 そして、そうなるとその責任は経営者の責任となり、ギルドマスターのラーダや上層部がなんとかしなくてはならないのだが、20億ゴルドともなるとどうにもならないのだ。

「どうにもならないのなら、ラーダを筆頭に上層部全員奴隷になり損害賠償金をつくれ!」
「なぜ私が奴隷落ちせねばならん!」
「「「「「「「そうだそうだ!」」」」」」」

 今度は商人ギルドの奥の部屋から、上層部の人間が声を揃えて反論するのだった。
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