氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第3章 新たな覚醒

24話 領主アレックとの言い争い

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 ショウの周りは冒険者達でごった返して賑わっている。そして、シャーロットは冒険者達に弾き飛ばされて気絶していた。

「この騒ぎは何事だ!」

 ギルドの奥からベックが怒鳴りつけ出てきた。

「「「「「「ギルドマスター……」」」」」」
「それで何の騒ぎだ!って、魔導士様が帰ってきたのか?」
「「「「「「ギルドマスター聞いてくれ」」」」」」
「何があったんだ?」
「魔導士様が7階層の攻略に成功したらしいぜ!快挙だよ快挙!」
「魔導士様それは本当か!?」
「ああ。本当だ!それで、偽金事件は解決したのか?」

 ショウが偽金事件の事を聞くと、冒険者ギルド内は騒がしかったのにお通夜のようにみんなが黙りこくってしまう。

「はぁあ?ひょっとして解決できてないのか?」
「そうは言うが、偽金事件はマートンだけではないんだ。今も、領主様と話し合いをだな……」
「そうかいそうかい。それは大変ですね。じゃあ、俺は必要ないみたいなんで帰る事にするよ」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!」
「その提案は断るよ」
「まだ何も言ってないだろうが!」
「言わなくたってわかるよ。偽金事件の手伝いをしろってんだろ?」
「そうだよ」
「い・や・だ!なんで俺が!」
「そう言わず頼むぜ?本当にもうどうにもならんのだよ。ブリガンダイン王国でも偽金が流通しだしてな……王国でも問題が大きくなり……」
「王国は馬鹿か?今更問題が大きくなったと?」

 そこに、割って入る人間がいる。

「ブリガンダイン王国は馬鹿ではない!謝罪しろ!」
「なんだよ?領主様か。俺は正直な感想を言っただけだぜ」

 領主のアレック=アンダーソンがギルドホールに出てきたのだ。まだ、領主としては40歳と若く迫力がある領主である。ショウとは2度目の再会となり、王国を馬鹿にされたアレックの顔は怒りが露わになっていた。

「ば、馬鹿!いくら魔導士様とはいえ、領主様になんて口をきくんだ。すぐに謝罪しろ!」
「ギルドマスター……あんたも何なんだよ。俺は正直な感想を言っただけだぜ」
「お前は馬鹿か!不敬罪になるぞ……」
「チッ……わかったよ。王国を馬鹿にして申し訳ございませんでした」

 ショウは、領主アレックに頭を下げ謝罪する。

「今回は許そう!次はないからな」

 そう言って領主アレックは顔から怒りの表情は消えたのだった。

「わかりました……」
「それでだ。お主にも偽金事件を……」
「何言ってんですか!俺は手伝うつもりはありませんからね!それはブリガンダイン王国の問題だ」
「そう言わず。この通りだ!」

 領主アレックはショウに頭を下げるのだった。その光景にギルドマスターのベックはもちろん、冒険者やギルド職員達全員が驚く。貴族が魔導士とはいえ平民のショウに頭を下げるなんてあり得ない事だからだ。

「領主様おやめください。いくら魔導士様とはいえ、貴族様が頭を下げるなど!魔導士様も手伝うと言ってください!」
「領主様、頭を上げて下さい」
「で、では……」

 領主アレックはショウが頭を上げて下さいと言ったので、希望を持ち頭をあげる。

「そんな事で俺は手伝うつもりはありません」
「ショウ!お前は何言ってるんだ!」

 ギルドマスターのベックは顔を真っ青にして、普段魔導士様と呼んでいるのにショウと呼び捨てにして怒鳴るのだった。

「ほう!この私がこうして頭を下げているというのにそのような態度に出るとは!」
「本性が出たな。いくら善政をする領主様とはいえ、そういった考えが透けて見えるから権力者は嫌いなんだ」
「なんだと!?私を愚弄するつもりか?」
「言っておくが、俺は貴族様だからと言ってヘコヘコするつもりはないぜ」
「な、な、なんだと!」
「なんだよ!」
「フッフッフッ!わかったよ」

 さすがは領主アレックである。ショウの悪態にはそうそう乗ってはこなず余裕の笑みを浮かべる。

「じゃあこうしようではないか。先ほどの無礼は見なかった事にしてやろう」
「だから、偽金事件を手伝えってか?」
「そうだ!」
「先ほどの無礼は許されただろう?貴族様ともあろう者が撤回するのかよ?」
「うぐっ……」
「それに、領主様は俺に借りがまだあるんだぜ」
「ば、馬鹿な!この私が平民に借りなどあるわけが!」
「何言ってるんだよ。このブリガンダイン王国を騒がしている偽金事件が解決するまで、報奨金は止められているんだ。俺は早く解決して報奨金を振り込んでほしいくらいだよ」
「ぬぐぐぐっ……」
「わかったかい?俺は王国の問題に進んで首を突っ込むつもりはありません」
「ま、待て!こ、この通りだ。このままでは王国が破綻してしまう。だから、魔導士様のお力をお貸し下さい」

 領主アレックは本当に追い詰められていたのだろう。平民のショウに土下座したのだった。この様子にホールにいた人間全てが目を見開き言葉を失った。

「領主様頭をお上げください。最初から紳士にお願いすればアドバイスぐらいはしたのに、あなた達権力者はなんで最初からそういった事をしないのですか?」
「そ、それは……」
「まぁいいでしょう。あなたのその態度に免じて、諸悪の根源である貴族を捕らえてやるよ」
「はぁあ!?魔導士様は犯人を知っていると言うのか?」
「そんなの少し考えればわかる事だろうが……わからないと言うなら……いや、なんでもない……」
「お主……また、よからぬ事を!」
「とにかくだ。なぜそんな簡単な事が分からないのか俺にはさっぱりだ」

 そう言ってショウは首を振りながら両手を上げた。その態度に領主アレックは苦々しい顔をするが何も言えないのだった。そして、ショウは気絶するシャーロットを抱き抱え、頬を軽く叩き目覚めさせる。

「シャーロット。大丈夫か?」
「ううっ……」
「おっ。起きたか?」
「ま、魔導士様……いったい何が?」
「悪かったな。冒険者達がお前を払い除けて吹き飛ばされたんだ」
「あっああ……」
「それで悪いんだが、ヒナタの手続きをしてやってほしいんだよな」
「お、おい……魔導士様!偽金事件の事は」
「ギルドマスターは黙ってろよ。あんたには後で話があるから待ってろ」
「ううっ……」
「それで魔導士様手続きとは?」
「ヒナタがまたテイムしたんだよ。従魔手続きをしてやってほしい」
「う、嘘でしょ?また、魔物を?」

 ヒナタを見ると先程のショウの怒りを散らす姿に恐怖し、アユミの足にしがみついて目に涙を溜めていた。

「父ちゃん怖い……」
「ヒナタ、ショウは怖くないよ。ちょっと理不尽な事が許せなかっただけで、ヒナタに怒っているわけじゃないからね」

 アユミは自分の足にしがみつくヒナタの視線に合わせ、膝をつき、ヒナタの頭を撫でるのだった。そして、ヒナタにユメミを出すように言った。

「わ、わかった。ユメミ出ておいで」
『メェ~!』

 ギルドホールに出現したグレードスリーピングシープ(亜種)に領主アレックは当然だが、冒険者達全員が声を上げて驚くのだった。

「こ、これはグレードスリーピングシープですか?」
「そうだよ。7階層にいたんだ。いきなりヒナタに懐いてな。それならテイムできると思い、成功したんだ」
「魔物が人に懐いた?」
「生まれたばかりだったからだろうとは思うんだがな」
「生まれたばかりだった?グレードスリーピングシープが?」
「テイムした時はスリーピングシープで子犬ぐらいの大きさだったんだが、ダンジョンで進化したんだよ」
「そんな短時間で進化したんですか?」
「まぁそうなんだが、早く手続きをお願いする。こっちも暇じゃないんでな」
「わ、わかりました」

 そう言ってシャーロットは、ヒナタと一緒にカウンターに向かい手続きを済ました。
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