氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第3章 新たな覚醒

30話 千鞭というアサシン

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 ショウ達が洞窟内に突撃すると、それに気づいた山賊達が慌てながらも応戦してくる。中には、鍛冶師達を人質に取ろうと、ドライアドの茨の蔓を切断する者もいたが、茨の蔓を斬ることは出来なかった。そればかりか、ドライアドの茨の蔓は蛇のようにうねりながら、山賊達を攻撃する。

「「「「「ギャアアアァアア!」」」」」

 山賊達が茨の蔓に拘束される。山賊達の身体に茨の棘が食い込みあちこちで絶叫が聞こえる。山賊達が、茨の蔓を振りほどこうともがくが、もがけばもがくほどに茨の蔓は締め付けるのだ。

「ちくしょう!なんなんだこいつらは!」

「お前達に助かる道はもうない!」
「そうね!大人しくしろ」

 アスカとカホが山賊達に突進し、会心の一撃を決め戦闘不能にしていく。また、システィナも活躍していく。もう1人の精霊シミズの存在である。

「シミズお願い!」
『任せなさい。ウォーター!』

「「「「「ぐががががが……」」」」」

 山賊達の顔の周りに水球が出現し、山賊達は呼吸が出来ず山中で溺れる事になる。山賊達は空気を求め、顔の周りの水をかき分け空気を求めるが、シミズの作り出した水は山賊達の顔にへばりついて除去する事はできず、バタバタとその場に倒れていくのだった。

「た、助けにきてくれたのか?」
「み、みたいだな……」
「こ、これで眠れるのか?」

 システィナの作り出した茨のドーム状の結界の中では、鍛冶師達が外の様子を見てホッとして、バタバタと気絶していく。助かった安堵により張り詰めた気が抜けて気絶していったのである。

「気絶しちゃった……」

「それほど過酷な労働だったんだろう。そのままにしてやれ。後で救出するからな」

「はい」

 そして、アスカとカホとイチョウの3人は山賊達を追い詰め、どんどん洞窟の奥へと突撃していくのだった。

「だ、駄目だぁ……このままでは俺達まで殺されちまう」
「に、逃げろ!」

 アスカとイチョウとカホの3人の進撃を止められないとみた山賊達がとれる行動は逃げる選択しかなかった。そして、山賊達は応戦から一転逃走に切り替える。

「「「「ぐががががが!」」」」
「おいおい。闇ギルド五竜ウーロンの掟を忘れてんじゃねぇよ!」

 逃げる山賊達を首吊りの刑に処す1人の男が現れる。

「闇ギルド五竜ウーロンに逃げる選択はねぇ!お前等は侵入者を殺せ!逃げる奴は俺様が殺す!」

「「「「「「うわぁああああああああ!」」」」」」

 生き残った山賊達は、五竜ウーロンのアサシンに殺された仲間を見て、その顔を狂気に歪めアスカ達に襲い掛かる。

「アイツがここのリーダーか!」

 アスカは、アサシンの姿を見てニヤリと笑い、襲い掛かる山賊達を斬り捨てる。

「「「「「「ギャアアアァアアアアア!」」」」」」
「し、死にたくねぇ……た、助けて……」
「お、俺も死にたくねぇ……」

 山賊達の中にはアスカに命乞いをする者もいて、アスカの足にしがみつく者もいた。しかし、その行動をアスカは嫌悪する。

「今更何を言いやがる!お前達は鍛冶師達に何をしてきた?いや、それだけじゃないはずだ!今まで何の罪もない一般人を殺してきたんじゃないのか?」

「反省する!だ、だから助けてくれ!」

「都合が悪くなったら命乞いか?本当にお前達山賊の考え方には辟易するぜ!」

 そう言ってアスカは、山賊達の手足を切断してしまった。そして、手足を切断された山賊達の断末魔が洞窟内に響き渡るのだった。

「クックック……甘い甘いな!なぜ殺さねぇんだ?」

「お前達と一緒にすんじゃねぇ!」

 闇ギルド五竜ウーロンの統括組織闇竜アンロンで育成されたアサシンが、アスカの行動に不気味な笑みをみせる。

「クックック……手足の無くなった駒はもう役には立てねぇからよ。こうして処分するんだぜ」

 アサシンは両手に握る鞭を振るうと、手足を切り落とされ地面をのたうち回る山賊の首に鞭を巻きつける。

「ぐががががが……」

 巻きつけられた鞭で息ができない山賊は藻掻き苦しむ。

「せ……千鞭……た、頼む……殺さないで……くれ……」

「クックック……お前等には呆れたものよ。まさか、敵に命乞いをするとはな!どうせ、お前等はもう使えないからここで死んでもらおうか」

 千鞭と言われたアサシンは、山賊の首に巻きつけた鞭をスッと引く。その瞬間、山賊の首は宙を舞い首から噴水のように血しぶきが噴き出し、山賊はピクリとも動かなくなった。

「クックック……お前の未来の姿に震えているのか?」

「馬鹿言え!あたしがそんな鞭に怯えるわけがないだろうが!」

 しかし、それを見て怯えたのは山賊達のようで、命乞いをした自分達も殺されると思い、ジタバタ地面をのたうち回り逃げ出した。

「お前等が恐怖してどうするんだ!」

 千鞭は頭に血が上り鞭を振るった。その瞬間、山賊達の首が簡単に飛んだのだった。

 いったいあの鞭はなんだ?なんであんな簡単に首を切断できるんだ?

 ショウは、千鞭と言われたアサシンの鞭を神眼で鑑定する。また、アスカもその鞭を脅威に感じていて慎重になり、いつものように飛び込むことはなかった。
 そして、ショウが鑑定した結果、千鞭の鞭にはトングの部分に刃が仕込まれていると表示された。その事をショウはアスカに念話で伝える。

「ハハッ……そういう事か。案外ネタがバレたらなんの事もないな」

「恐怖で気が触れたのか?」

「お前が案外大したことがないとわかって拍子抜けしただけだ!いいからかかってきな」

「俺が大したことがないだと?」

 千鞭はアスカの余裕の態度が気に入らず鞭を振るう。その鞭をアスカはトゥーハンドソードで受け切る。

「なんだと!?」

「本当に大したことがなかったな」

 千鞭は、まさかトゥーハンドソードで鞭のスピードを受け切るとは思っていなかったのだ。

「さあ。どうしたんだ?もう向かってこないのならこちらの番か?」

「なんだ!その態度はぁ~~~!気に入らねぇなぁ」

 千鞭はアスカの態度に腹が立ち、鞭を振り上げるのだった。そして、その鞭はアスカを狙い、目に見えない先端は音速を超え、アスカの顔面を捉えた。

「クックック……死ねぇ!」

 その瞬間、バシッという音が洞窟内に響く。アスカはその場所から一歩も動いておらず、鞭の柄の部分が切れ、地面に落ちた。

「はっ?いったいどういう事だ?」

 切れた鞭を見て、千鞭はその場に固まった。
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