氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第3章 新たな覚醒

29話 慌てふためく偽金造幣アジト

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 鍛冶師達は騙されたと後悔した時にはもう手遅れだった。反転して逃げ出そうとしたが、周りは山賊達が取り囲み逃げ出す事はできず、捕まりそのまま洞窟の中に連行されてしまった。

「「「「「ちくしょうぉ!」」」」」

 鍛冶師達は抵抗したが無駄であった。洞窟の中には、自分達と同じように騙された鍛冶師達が、黙々と金貨を造らされていた。

「手を休めるんじゃねぇ!」

「す、少し休ませてくれ……もう三日寝てないんだ……」

「そんな事知るかよ!お前のノルマはまだ金貨100枚足りねぇんだよ。寝たかったら早く手を動かせよ」

「ううっ……」

 男はあまりの眠気にそのまま気を失うのだった。

「ギャアアアァアアアアア!」

「誰が眠っていいと言ったんだよ。早く金貨を造れよ」

 眠ってしまった鍛冶師の男の背中に金属の棒を押し当てられて、鍛冶師の男は絶叫し飛び起きる。背中に当てられた鉄の棒は真っ赤に熱を帯びていたのだった。

「早く金貨を造れよ!もう一回背中に灼熱の棒を当てられたいのか?」

「や、やめてくれ!つ、造る!造るからやめてくれ!」

 その様子を見た囚われたばかりの鍛冶師達は絶望するのだった。

「こんなところで強制労働させられるのか……」

「お前等はいつまでもつかな?わかってるとは思うが、3年間は保たないとお前達の家族達が責任を取って奴隷に落とされるぜ?」

「や、やめてくれ!」

「だったら、死なないように頑張れよ。ガハハハ!」

 山賊達は、鍛冶師達の絶望した顔を見て大笑いするのだった。




 その頃、ショウ達は洞窟から離れた場所から見張りの山賊達を見ていた。

「この洞窟の出入り口は2カ所あるみたいだ」

「えっ?じゃあどうするんだよ」

「アスカ、そんな事決まってるじゃない。二手に分けるのよ」

「スミエの言う通りだな。さすが冷静沈着なスミエだ」

「そんな事あたしだって気づいてたさ」

 強がりを言うアスカにヒナタはクスクス笑い、それを見たアスカはヒナタのほっぺをつねるのだった。

「アスカお姉ちゃん痛いよ……」

「ヒナタは段々マセてきたな」

「アスカ!ヒナタに謝れ」

「だって……ヒナタが生意気だから……」

「そうか。じゃあ、今回アスカは俺の時空間倉庫で謹慎処分な」

「えっ!?」

 ショウが時空間倉庫を発動させ、アスカを収納しようとする。アスカ達は今は人間と変わらない。食事も普通にとり、人間と変わらない生活を送っているが、元はショウの人造人間である。当然ショウのアイテムという認識となり、時空間倉庫に収納する事もできるのである。

「ちょっと待って。謝るから!」

「そうか」

「ヒナタ。ほっぺをつねってごめんなさい」

 アスカはヒナタに、90度に腰を曲げて頭を下げ謝罪したのだった。

「痛かったけど、あたしも笑ってごめんなさい」

 ショウは2人共謝罪して微笑み話を続ける。正面から突入する組は、アスカ・スミエ・カホ・イチョウ・システィナの5人で、裏手にある脱出口には、アユミ・カオリ・ヨシノ・アリサ・ヒナタの5人と分けた。

「ショウはどうするつもりなの?」

「俺は一旦裏手までアユミ達を送る。そして、ここから突入するつもりだ」

「わかった」

 ショウは洞窟の裏手までアユミ達を送り、ここで待機を命じた。自分達が突入したら、ここから逃げ出す奴らを片っ端から戦闘不能にするように指示を出し、ショウはリコールでアスカ達の待機する場所に瞬間移動した。
 また、アユミ達のいる場所も瞬間移動するために、マークで位置情報をルーン晶石に記憶させておく。

 アユミ達は絶対裏口から突入するな。

 はい!

 ショウは念話でアユミ達とコンタクトを取り、ショウとアスカ達は偽金のアジトに突入したのだった。

「な、なんだ貴様らは!」

 洞窟の入り口で見張りをする山賊は5人。アサシンは中に入ってしまい今はいない。ショウ達の姿を捉えた山賊は中にいる仲間に奇襲を知らせるために警笛を鳴らそうと息を吸い込む。

「スミエ!」

「はい!」

 スミエのスキルは弓術であり弓道ではない。その為、素早い動きから警笛を鳴らそうとする見張りの警笛を矢で貫いた。ピンホールショットは警笛と共に、山賊の口に命中し山賊は崩れ落ちる。

「ぶほっ!」
「な、なんだと!?」
「ぼ、冒険者か!?なんでここがバレた?」
「おい!中に知らせろ!」
「わ、わかった!」

 見張りの1人が洞窟の中に入ろうとするが、ショウのスペイスタムジャベリンが詠唱無しで貫き、山賊は背を向けた状態で絶命した。

「「「なっ!?」」」
「詠唱無しで魔法が飛んできただと!」

 そして、次の瞬間アスカとカホが見張りの山賊との間合いを詰め、会心の一撃をお見舞いする。

「そ、そんな馬鹿な……」
「俺達が何もできないなんて……」

 山賊達は今まで自分勝手に人生を謳歌してきて、世界は自分達を中心に回っていると勘違いしていたのかもしれない。だが、ショウ達にそんな考えが通用するわけもなく、警笛一つ鳴らすことすら出来ず絶命するのだった。

「ここからが本番だ。気合入れて頼むぞ」
「「「「はい!」」」」

 ショウ達が洞窟の中に突入するが、スミエは入り口付近で留まる。これは、まだ外出している山賊達がいるかもしれないからだ。ここに帰ってくる山賊達がいた場合に挟み撃ちにされないため、スミエは入り口付近で見張りをする事になる。

主様あるじさまここは任せて下さい!帰ってきた山賊はわたくしの矢で串刺しにしてみせます」

「頼んだぞ」

 ショウは、スミエを一人残すのは少し心配だったが、山賊程度に負けることもないかと思い直す。それも当然であり、先のダンジョン攻略でスミエのレベルは既に90台となっていたからだ。
 ヒューマン族の平均レベルは30であり、強い人間でも50を超えないのである。たまに、高レベルのヒューマン族がいないわけではないが、スミエは間違いなく最強のアーチャーであり、ショウが信頼するホムンクルスである。

「じゃあ、いくぞ!」
「「「「はい!」」」」

 洞窟内に突入するショウは、世界地図ワールドマップで洞窟内をサーチすると、囚われた鍛冶師達の存在をシスティナに伝える。システィナは、ドライアドに伝え茨の蔓でガードする指示を出し、オアネドには地下牢に閉じ込められている鍛冶師達を石壁を作り出して保護した。

「「「「「な、なんだ!?」」」」」
「いったい何が起こっている!」

 アジト内にいる鍛冶師達が一斉に、茨の蔓でできたドーム状の結界に保護され始めたのだ。山賊やアサシン達は慌てふためく。そして、その時ショウ達が洞窟内に現れたのだ。

「誰だ貴様らは!」
「ここをどこだと思っていやがる!」
「侵入者を殺せ!」
「ふざけた真似をしやがって!死ねぇええええ!」

 いきなり突入してきたショウ達に山賊達は応戦することになる。
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