氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第3章 新たな覚醒

40話 8階層の魔物は一筋縄ではいかなかった

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 システィナは精霊がなんで自分とばかり契約してくれるのかが理解出来なかった。

「なんでわたしなの?確かに精霊眼を持つエルフ族は少ないけど、全然いないわけでもないのに……」

「システィナよ。お主はきわめて珍しいエルフだからじゃよ」

「わたしが珍しい?オアネド、どういう事よ?」

「当たり前じゃよ。システィナはその若さで既に60レベルを超えておるからじゃよ。そんなエルフ族はそうそうおらん」

「……」

「エルフ族は長命種族じゃ。レベル上げものんびりしており、気づいた時にはそれ相応の年月が経っておるからのう」

「た、確かに……」

「つまりじゃ。レベル上げをしないと精霊眼を使いこなせる訳がないじゃろ?」

「うん……」

「つまり、システィナはエルフ族の中でも特異体質なんじゃよ。レベル上げをして契約数が増えるから、当然寄ってくる精霊もいるじゃろ」

「な、なるほど……」

 オアネドがシスティナに、お前はエルフ族の中でも珍しいと言い、そんなエルフ族の中でも精霊眼持ちは更に珍しい存在だと言い聞かせた。
 その珍しい精霊眼持ちのエルフがガンガンにレベルを上げているのである。そうなれば、複数の精霊契約も容易になり、複数契約は当然の結果であった。

「それで、契約してほしいんだけど駄目かな?」

「駄目じゃない。駄目じゃない!契約してくれるならこっちからお願いしたいわ」

「やったぁ!」

 風の精霊は、システィナの周りをぐるぐるして喜んではしゃいでいた。そして、風の精霊はシスティナと契約を結んで、システィナについてくることになった。

「システィナ改めてよろしくね。あたしは風の精霊ブリズ」

「こちらこそよろしくね。ブリズ」

 風の精霊はシスティナに自己紹介をし、システィナから離れてドライアド達の方に興味を移したようだ。風の精霊ブリズは半透明な身体を持ち女性の姿をしていた。
 性格は自由奔放のようで、システィナと話していたかとおもえば、興味がなくなればそっぽを向く。そして、次の興味がある方に近づくのだ。また、ブリズと契約した事で、システィナは風属性の精霊魔法も扱う事が出来るようになる。
 ブリズはノーマル級の風の精霊である為、攻撃系の精霊魔法は使えないが、風を吹かせたりウィンドボイスとスプリントが使えるようになった。

●ウィンドボイス【精霊魔法】
 風に乗せて自分の声を任意の離れた相手に届ける。また、付与した人物にも同様の効果がある。効果範囲はレベル×100メートル。(システィナの場合はレベル62なので6キロ離れた相手に言葉を届ける事が出来る)

●スプリント【精霊魔法】
 付与された人物は移動速度が4倍となる。効果1時間。

 システィナはショウにその事を伝えると、「また、便利な魔法が使えるようになったな」と言われ笑顔となった。

「それにしても、8階層に来たとたんに精霊と契約できるとはな……たいしたもんだ」

「自分でも信じられませんよ……」

「次も期待してるからな」

「わかりました……って次!?」

「そんなの決まっているだろ」

「いやいや……ないないないない!ご主人様は何を言ってんですか」

「システィナはもっと現実を見たほうがいいな。俺の予想では9階層は火属性のエリアだと思っている。そうすると当然火の精霊がシスティナに声をかけてくるぜ?」

「そんな馬鹿な……」

「そうなれば、システィナは史上初の五属性の精霊と契約するエルフとなる」

「ご主人様……いくら何でも想像力が豊か過ぎます」

 システィナはショウの言葉に呆れた態度をとるが、横を見るとアユミ達は生温かい笑顔をしていた。また、ドライアド達四人の精霊達はにこやかな笑顔で何度もウンウンと頷くのだった。

「さてと、イベントも終わったみたいだし出発するか」

 ショウはそう言って、全員にヘイストをかけて出発するとさっそく魔物が襲いかかってきた。神眼で確認すると【キラーハウンド】と出る。
 その姿は真っ赤な目を持ち体長2メートル程の犬である。そして、その牙と爪は鋭く鋼鉄をも切り裂く。また、脅威なのはそのスピードだ。強靭な脚力で敵を翻弄し襲いかかるのだ。

「でっかい犬だ!」

「ヒナタは下がって!」

 アユミの指示にヒナタは素直に下がる。そして、アユミはキラーハウンドに挑発ヘイトをかけると、キラーハウンドはアユミに突撃する。

「くっ……」

 レベルの上がったアユミだが、キラーハウンドの攻撃は重くアユミは吹き飛ばされてしまう。しかし、システィナはブリズに指示をだし、アユミに風の膜を作り出した。アユミの背中には風が吹き、森の木々に衝突する時にダメージを軽減させたのだった。

「なんだこの突撃は……システィナ助かった」

 8階層の魔物は今までとは全然違うとアユミは思い知らされるのだった。そして、アスカ達はキラーハウンドに攻撃を仕掛けるが、キラーハウンドのスピードはアスカ達のスピードを凌駕した。

「くっ……なんだこのスピードは!」

 キラーハウンドのスピードはアスカ達の目には止まらず。その姿は、かすかに見えるほどに速かった。

「スロー!」

 ショウは、キラーハウンドにスローを付与する。

「「おじちゃんナイス!」」

 カホとイチョウが声を上げて、キラーハウンドに突撃を仕掛けるが、キラーハウンドはカホとイチョウの攻撃を回避する。

「「うそ……」」

 スローのかかったキラーハウンドは二人の攻撃を見切り回避した。

「嘘だろ?アイツ今まで手を抜いてたのか?」

 ショウはキラーハウンドのスピードに驚愕する。スローをかけると全力をだし、ステータスでスローのデバフを補ったのだ。ただ、そのスピードは目にも止まらないようなものではなく、アユミ達はキラーハウンドのスピードに追いついている。

「ブリズ、みんなにバフを!」

「わかったわ。みんなが死んじゃったら、あたしも地上に出られなくなっちゃうもんね」

「縁起でもない事言わないでよ」

 システィナは、アユミ達にスプリントをかける。かけた瞬間、アユミ達の移動速度が向上し、アユミ達とキラーハウンドの立場が逆転したのだった。

『ガウッ……』

「今度はお前があたし達のスピードに恐怖する番だ!」

 アスカはそう言って、キラーハウンドの背後に回り込み大絶斬を繰り出したのだった。

『ギャイン!』

 目にも止まらないスピードから、アスカの大絶斬はキラーハウンドにとって大ダメージとなり、悲鳴のような鳴き声が辺りにこだまする。
 アスカの攻撃に続き、イチョウとカホも攻撃を繰り出すと、キラーハウンドは二人の攻撃も見えておらず、回避すら出来ず、まともに攻撃を受け逃げ出す。
 しかし、ヨシノとカオリがキラーハウンドの逃げる方向に回り込み阻止した。俗に言う「回り込まれてしまった。敵からは逃げられない」と言う状況だ。
 逃げ出す事が出来なくなったキラーハウンドは、ヨシノとカオリに【爪・爪・噛む】の三連撃を繰り出したのだった。しかし、スピードが上がったカオリとヨシノは余裕で回避する。そして、痛烈なカウンター攻撃を繰り出したのだった。そして、受け身も取れずカウンター攻撃を受けたキラーハウンドは吹き飛び、そのまま動かなくなった。
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