氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依

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第3章 新たな覚醒

42話 水場に伝説級の

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 ショウは、晩ご飯を食べながら全員に、明日の予定を話していた。

「明日は、システィナは俺と一緒に行動してくれ」

「わかりました」
『わかっておるぞ』

 システィナとオアネドは静かに頷いた。オアネドには鉱石の場所を教えてもらい、そこを重点に土砂を時空間倉庫に収納するつもりである。また、その間アユミ達には周りを巡回し、システィナ達の護衛を指示する。

「わかってるって!この階層の魔物は任せてくれ!」

 アスカは、この階層に来たときとは違い、ずいぶんと慣れて自信がついたようだ。アスカの推定レベルはどちらかといえば、8階層の奥から9階層になるが魔物の基本ステータスにはアスカ一人だけでは対処しきれなくて、最初キラーハウンドと戦っていた時はかなり動揺していたのだ。

「そして、ヒナタとアリサはなるべく俺から離れるなよ。レベルが上がってきたとはいえ、この階層の魔物は脅威になるからな」

「「はい!」」

 こうして、注意事項を確認し合って次の日を迎え、ショウはハウスの外に出ると、ハウスの周りには魔物の死体がなかったのだった。

「どういう事だ?昨日は魔物が来なかったのか?」

「おじちゃん……これって?」

 朝の早いイチョウもその違和感に気づいたようだ。いつも、ハウスの結界に阻まれ死体がいっぱい転がっているはずの魔物の死体が一体もなかったのだ。

「この場所はセーフティエリアなのか?」

「違うと思う……」

「だよな?セーフティエリアなら、回復の泉があると思うし……」

「お、おじちゃん……あれ!」

「なっ!?あ、あれが原因か!」

 イチョウが、指差した先にはある魔物?がいた。その姿を見たショウは、イチョウにすぐヒナタ達を呼んできてくれと頼む。イチョウも昨日の会議でこれからの事を話し合っていたので、ショウの言いたいことを汲み取り、急いでハウスの中に入るのだった。

「父ちゃん!」

「ヒナタ、静かにしないと逃げられるぞ」

 ショウの言葉に、ヒナタは自分の口を手で押さえながら、水場を見るとそこには立派な白馬が身を休めている姿があった。

「まさか、こんな所に聖獣がいるとは思わなかった」

「父ちゃん……あの白馬は一体なに?」

「あれはユニコーンだ。俺の知識ではヒナタなら安全に近づいても大丈夫なはずだが……」

「はずなの?」

 いつの間にかショウの周りには、アユミ達もハウスから出てきて水場の方を見ていた。

「あれを捕まえるんだな?あたしに任せろ!」

「アスカは性格的に心配だな……カオリ、ヨシノ、スミエでヒナタをガードしてやってくれ」

「なんでだよう……」

 ショウの指示にアスカは頬を膨らませ抗議するが、ショウの考えは覆る事はなかった。

「アスカは猪突猛進なところがあるからな。それに、アスカのレベルは高すぎてユニコーンを警戒させちまうかもしれないんだ」

「あたしのレベルが高い?」

「そうだな。アスカはユニコーンを力技で捕らえようと思ったろ?」

「う、うん……」

「聖獣であるユニコーンに敵意むき出しで捕らえようとするのは間違っているからな」

「わ、わかったよ……」

「ただ、アスカは不測の事態に対処出来るように準備しておいてくれ」

「わ、わかった」

 ショウがそう言うとアスカは納得したようだった。そして、ヒナタはショウがついてこないと言うと不安そうに眉をひそめた。

「なんで父ちゃんはついてきてくれないの?」

「俺が知っているユニコーンは男は近づけないからだ。ユニコーンは乙女しか近づけないとされているんだ。だが、不測の事態がないとは限らないからな。万が一の時の為に、アスカ達が護衛するから安心しろ」

「わ、わかった……」

 そう言うとヒナタは、カオリ達とユニコーンに向かうのだった。水場はもちろんだが、周囲には魔物の気配は一切なく、ショウの世界地図ワールドマップにも魔物の気配はなかった。つまり、この異常な状況はどう考えてもユニコーンの存在によるとしか考えられなかった。

「うわぁ……綺麗なお馬さんだ」

 遠くからはわからなかったが、ユニコーンに近づくと
その毛並みは真っ白であり、頭に生えた角は虹色に輝いていて神秘的に映っていた。ヒナタ達が近づこうとすると、ユニコーンは目を覚まし頭をこちらに向けた。
 ヒナタ達の後方から見ていたショウは驚きを隠せず小さく声を上げた。

「ユニコーンって瞳は真っ赤なのか?」
「旦那様は知らなかったのか?」
「だって初めて見るからな」
「知っているって言ってたじゃないか……」
「空想上の世界でな」
「それは知らないって言うんだよ」
「しっ!大きな声を出すんじゃない。少し俺達は下がるぞ」

 そう言って、ショウはアスカを抑え後退すると、ユニコーンはもたげた首を下ろす。それを見たショウは、やはり男の自分は近づけないと悟って、アスカに後の事を頼んだ。

 ショウが近づこうとしないのがわかったユニコーンは安心したのか、水場で腰を下ろしてリラックスしていた。しかも、ヒナタ達が近づくも気にしていないようで、そのままの状態だった。
 ヒナタ達は、ショウから絶対敵意を出すなと言われていたこともありゆっくり近づく。

「綺麗なお馬さん」

 ヒナタ達は、ユニコーンの目と鼻の先まで近づいていたが、ユニコーンは気にしていない感じだ。しかし、ヒナタが近づくと鼻先をヒナタに近づける。鼻先をヒナタにつけ、ヒナタを見定めるようにしていた。

「お馬さん。可愛い!」

 ヒナタに悪意が完全にないとわかると、ユニコーンの瞳の色は真っ赤から綺麗なブルーに変わったのがわかったショウは、ヒナタ達からさらに離れる。

「アスカ。もう大丈夫みたいだが、お前もヒナタ達に近づいていいぞ」

「わ、わかった」

 アスカが近づくと、ヒナタはユニコーンの鼻先を撫でながら話し始める。

「ねぇ。お馬さん、あたし達と一緒に来てくれない」

『あたしがなぜ?』

「「「「しゃべった!?」」」」

 まさか、ユニコーンがしゃべるとは思わず、全員がびっくりする。

『あたしは聖獣よ。人間の言葉ぐらいわかるわよ』

「そうなんだ。あたしお馬さんと一緒に暮らしたい!」

『あたしは馬じゃないわ。ユニコーンよ』

「ごめんなさい……ユニコーン。あたし貴女と一緒に暮らしたい。駄目?」

『ここから出ていくメリットは何?あたしはここにいてもデメリットは感じてはないわ』

「そうなの?一人で寂しくないの?」
「そうですね。一緒に暮らせばこうして話せるし、ご主人様はご飯もいっぱいくれるわよ」
「時には、こうしてダンジョンに潜って冒険もできるよ」
「そうですね。わたくし達は毎日楽しいですわ」

『ご主人様はあの男の事?』

「そうですね。主様あるじさまはお優しい方ですので毎日楽しいですわ」

『まあ、嘘は言ってないみたいですね』

「そうだよ!父ちゃんはあたしにいっぱいご飯もくれるし、服も買ってくれるから安心できるんだよ」

『で、どうするつもりなの?あたしが人間界に行くと大騒ぎになるわよ。だから、もうこの話は終わりにした方がいいわ。諦めなさい』

 そういうとユニコーンは、水場に身を伏せて目を閉じてしまった。
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