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第一章 木嶋真奈の日記より抜粋①
第十四話 獅子美ってなんだよ、どういうセンスだよ
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「ひあひゃあひゃは」
本当なら悠斗の連絡先から三人とコンタクトを取ればいいのだが、私はこれ以上コイツの声を聞きたくないし、何より万が一この三人の中の誰かが犯人なら、それなりの準備、対策をしてくる可能性もある。
だから、私は敢えて直接彼らに会う事はしない。じゃあどうするのか。
私はスマホをバッグから取り出し、ある友人に電話をかけた。
『もしもし?』
「あっ、もしもし。カルビ?」
『……私をその名前で呼ぶってことは仕事中だね……、真奈』
彼女はカルビ。情報屋だ。又の名を遠藤祐美という。理工学部三年生の、バリバリリケジョである。あっ、因みに仕事以外の時では普通に祐美と呼んでいる。
ではなぜ今カルビと呼んでいるのか。
それが彼女の、情報屋としてのコードネームだからである。
『仕事で私に電話なんて珍しいね。そんなに厳しいの?』
「いや別にタン塩でも良かったんだけどさ。念のために、ね」
『さて、グレードはどれにする?』
「特上で」
『はい。特上カルビいただきましたー!』
「お代は依頼者に付けといて」
「ほへ?」
『文学部の蒔田悠斗君ね。了解』
「さすがだね……」
悠斗が口を開け、ちんぷんかんぷんという顔でこちらを見ている。
まあ無理もないだろう。初めて私たちの会話を聞いた人は焼肉の注文かなと思うだろう。まあ、あながち間違いでもない。
まず、カルビが所属するのは文芸サークル『Info』である。表向きは大人しめの生徒が集まるただの本好きのサークルのように思われるが、その真の姿は所謂、情報屋。それぞれが好きな肉の部位のコードネームを名乗っており、依頼の報酬はその部位の肉代である。そして、月末にサークルのみんなで焼肉屋に行って、それぞれの部位を、その月で依頼を受けた分だけ頼んで食べるという最高なことをしている。
私はこの話をカルビから聞いて、入るサークルを間違えたと心底思った。
因みにタン塩とは、特定の誰かではなく、最近加入したばかりの一年生を指す。そもそも、まだ大学にすら入って日の浅い一年生は、ある程度サークル内で情報が共有されるとは言え、まだまだ未熟である。そのため特別に一年生は始め全員が『タン塩』というグループに入り、注文を受けた場合、総出で情報をかき集めるという、経験を積ませるシステムが成されている。
本当なら悠斗の連絡先から三人とコンタクトを取ればいいのだが、私はこれ以上コイツの声を聞きたくないし、何より万が一この三人の中の誰かが犯人なら、それなりの準備、対策をしてくる可能性もある。
だから、私は敢えて直接彼らに会う事はしない。じゃあどうするのか。
私はスマホをバッグから取り出し、ある友人に電話をかけた。
『もしもし?』
「あっ、もしもし。カルビ?」
『……私をその名前で呼ぶってことは仕事中だね……、真奈』
彼女はカルビ。情報屋だ。又の名を遠藤祐美という。理工学部三年生の、バリバリリケジョである。あっ、因みに仕事以外の時では普通に祐美と呼んでいる。
ではなぜ今カルビと呼んでいるのか。
それが彼女の、情報屋としてのコードネームだからである。
『仕事で私に電話なんて珍しいね。そんなに厳しいの?』
「いや別にタン塩でも良かったんだけどさ。念のために、ね」
『さて、グレードはどれにする?』
「特上で」
『はい。特上カルビいただきましたー!』
「お代は依頼者に付けといて」
「ほへ?」
『文学部の蒔田悠斗君ね。了解』
「さすがだね……」
悠斗が口を開け、ちんぷんかんぷんという顔でこちらを見ている。
まあ無理もないだろう。初めて私たちの会話を聞いた人は焼肉の注文かなと思うだろう。まあ、あながち間違いでもない。
まず、カルビが所属するのは文芸サークル『Info』である。表向きは大人しめの生徒が集まるただの本好きのサークルのように思われるが、その真の姿は所謂、情報屋。それぞれが好きな肉の部位のコードネームを名乗っており、依頼の報酬はその部位の肉代である。そして、月末にサークルのみんなで焼肉屋に行って、それぞれの部位を、その月で依頼を受けた分だけ頼んで食べるという最高なことをしている。
私はこの話をカルビから聞いて、入るサークルを間違えたと心底思った。
因みにタン塩とは、特定の誰かではなく、最近加入したばかりの一年生を指す。そもそも、まだ大学にすら入って日の浅い一年生は、ある程度サークル内で情報が共有されるとは言え、まだまだ未熟である。そのため特別に一年生は始め全員が『タン塩』というグループに入り、注文を受けた場合、総出で情報をかき集めるという、経験を積ませるシステムが成されている。
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