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28(攻視点)
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『二兎追う者は一兎も得ず』
そんな諺が頭をよぎった。
去っていくまりちゃんを見送り
『車で待ってる。』
真奈美にそう連絡して、車に戻った。運転席のシートを倒して天井を見上げた。
前にこの病院に来たのはおよそ3ヶ月前か。その間、蒼は一言も俺を詰らなかった。黙って自分だけのせいにして去っていった。
ぎゅっと胸の奥が痛んだ。
詰られても軽蔑されても側にいて欲しかった。
蒼が俺の元から去って行った理由はわかっても、蒼の行方は杳としてれなかった。
▲
家を引き払わずにいることに一縷の望みをかけて店とアパートに定期的に通った。
(今日も会えなかったな…。)
蒼のことを考えながらぼんやりと店を出た。
ドンッ
店を出たところで人とぶつかった。紙袋からパンフレットらしきものが散らばり慌てて屈んで拾い集めた。
「すみません。ぼんやりしてて…。」
「いえ、こちらこそ。」
聞き覚えのある声に顔をあげると目があった。
「あっ蒼の…」
「サボテン男…」
ほぼ同時に声をあげると、その後は気まずい沈黙が流れた。ぶつかったのは執拗に蒼を食事に誘っていた男だった。無言で落ちたものを拾い集めて相手に渡した。
先に口火を切ったのは相手だった。
「……あなたの、せいですか?早瀬さんが沖縄行っちゃったの。」
思わぬ情報に詰め寄るように聞き返した。
「沖縄にいるんですか?蒼?」
『しまった。』彼の表情にはそうありありと出ていた。
「ご存知なかったんですか?ご存知ないなら僕の口からはこれ以上は…」
立ち去ろうとする彼を引き止めた。
「どうしてもっ!どうしても‥‥会いたいんです。」
ふうっとため息をつくと彼は言った。
「花時計っていう雑誌ご存知ですか?」
「雑誌‥ですか?」
「今月号に早瀬さんが載ってますよ。」
「ありがとうございます!」
どこか諦めたような目をした彼にお礼を言うと俺は本屋に走った。
店員をつかまえて雑誌の場所を聞く
「あった‥。」
震える手でページをめくるとそこには見知らぬ男と二人並んで微笑む蒼が写っていた。
蒼の居場所は拍子抜けするぐらい簡単に見つかった。
蒼がいるのは開放感溢れる海辺のリゾートだった。
蒼は新進気鋭のフローリストとして紹介されていた。
▲
今すぐに会いに行きたい。
だが、、臨月の真奈美を置いて蒼に会いに行くのは気が引けた。心ここに有らずのまま帰途についた。
「ただいま‥‥」
「おかえりなさい?」
真奈美が窺うように俺の顔を覗き込んだ。
「顔色悪いわよ?」
「蒼が、沖縄にいるんだ‥‥」
買ったばかりの雑誌をテーブルに置いた。
パラパラと雑誌に目を通すと真奈美は俺の手を取った。
「いってらっしゃい。行かないと後悔するわよ。」
「真奈美‥‥大事なときなのにごめん。」
「樹もいてくれるから、心配いらないわ。」
俺を励ますように手を握ると安心させるように微笑んだ。
そんな諺が頭をよぎった。
去っていくまりちゃんを見送り
『車で待ってる。』
真奈美にそう連絡して、車に戻った。運転席のシートを倒して天井を見上げた。
前にこの病院に来たのはおよそ3ヶ月前か。その間、蒼は一言も俺を詰らなかった。黙って自分だけのせいにして去っていった。
ぎゅっと胸の奥が痛んだ。
詰られても軽蔑されても側にいて欲しかった。
蒼が俺の元から去って行った理由はわかっても、蒼の行方は杳としてれなかった。
▲
家を引き払わずにいることに一縷の望みをかけて店とアパートに定期的に通った。
(今日も会えなかったな…。)
蒼のことを考えながらぼんやりと店を出た。
ドンッ
店を出たところで人とぶつかった。紙袋からパンフレットらしきものが散らばり慌てて屈んで拾い集めた。
「すみません。ぼんやりしてて…。」
「いえ、こちらこそ。」
聞き覚えのある声に顔をあげると目があった。
「あっ蒼の…」
「サボテン男…」
ほぼ同時に声をあげると、その後は気まずい沈黙が流れた。ぶつかったのは執拗に蒼を食事に誘っていた男だった。無言で落ちたものを拾い集めて相手に渡した。
先に口火を切ったのは相手だった。
「……あなたの、せいですか?早瀬さんが沖縄行っちゃったの。」
思わぬ情報に詰め寄るように聞き返した。
「沖縄にいるんですか?蒼?」
『しまった。』彼の表情にはそうありありと出ていた。
「ご存知なかったんですか?ご存知ないなら僕の口からはこれ以上は…」
立ち去ろうとする彼を引き止めた。
「どうしてもっ!どうしても‥‥会いたいんです。」
ふうっとため息をつくと彼は言った。
「花時計っていう雑誌ご存知ですか?」
「雑誌‥ですか?」
「今月号に早瀬さんが載ってますよ。」
「ありがとうございます!」
どこか諦めたような目をした彼にお礼を言うと俺は本屋に走った。
店員をつかまえて雑誌の場所を聞く
「あった‥。」
震える手でページをめくるとそこには見知らぬ男と二人並んで微笑む蒼が写っていた。
蒼の居場所は拍子抜けするぐらい簡単に見つかった。
蒼がいるのは開放感溢れる海辺のリゾートだった。
蒼は新進気鋭のフローリストとして紹介されていた。
▲
今すぐに会いに行きたい。
だが、、臨月の真奈美を置いて蒼に会いに行くのは気が引けた。心ここに有らずのまま帰途についた。
「ただいま‥‥」
「おかえりなさい?」
真奈美が窺うように俺の顔を覗き込んだ。
「顔色悪いわよ?」
「蒼が、沖縄にいるんだ‥‥」
買ったばかりの雑誌をテーブルに置いた。
パラパラと雑誌に目を通すと真奈美は俺の手を取った。
「いってらっしゃい。行かないと後悔するわよ。」
「真奈美‥‥大事なときなのにごめん。」
「樹もいてくれるから、心配いらないわ。」
俺を励ますように手を握ると安心させるように微笑んだ。
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