完結 これは不実な恋ですか?

心夏

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翌日は、なんとか気持ちを立て直し出勤した。


「早瀬くん、ちょっと話があるの。ランチおごるから外に出ない?」


そう誘われて、柏木さんと遅めのランチに出た。


「昨日の夕方、すっごいイケメンが早瀬くんのところに来たってバイトの女のコたちが騒いでたわよ。」


「すみません。お騒がせして。」


「謝ることなんてないけど…。その人、前に話してくれた人じゃないの?」


「はい…。」


もうきっと僕の性的指向も全部ばれているのだろう。


「そろそろ、長期出張も終わりよね。でも…彼と別れるつもりなら、東京には帰らないほうがいいじゃない?」


高橋くんだけじゃない、色々な人の気持ちを乱して心配をかけて、情けなさに頬を涙が伝った。

「僕やっぱり、東京に帰ります。ここにいると皆に甘えてそれは居心地がいいけどだめだと思うんです。」


バックヤードで高橋くんと穏やかに作業する時間が好きだった。ロスフラワーの浮き花を考えたときの高揚感、蒼さん蒼さんと慕ってくれることが単純に嬉しかった。

でもそれは、結城さんと一緒にいるときの感情と同質のものではない。寂しさから縋ってしまえば彼を傷つけることになる。


「でも彼、既婚者なんでしょう?」


「はい。」


「だったら…私は何年も無駄にしたわ。相手が既婚者だって気がついたときには、離れられなくって。同じ思いを早瀬くんにはしてほしくない。」


柏木さんの言葉が胸に滲みた。僕が同性愛者だってことには触れず、ただただ心から心配してくれている。


「わかってます。転属願いを出そうと思ってます。東京に残してある部屋も引き払います。本当に…ありがとうございました。」


言いながら涙が溢れた。


「僕、沖縄に来てよかったです。本当に柏木さんには感謝してます。」


「そっか、そこまで言われたらもう引き留められないね。これを口実に優秀な副店長をゲットできると思ったんだけどな。」


そう言って柏木さんはいたずらっぽく笑った。




高橋くんにもきちんと気持ちを伝えることにした。


「ごめん。やっぱり、高橋くんのことは弟のようにしか思えない。」


「そうですか。そんな気はしてました。」


「沖縄での仕事は、社会人として成長できるいい経験だった。高橋くんにも出会えてよかった。」


東京で気後れして築けなかった人間関係を沖縄では作ることができた。それは南国特有な開放的な空気と高橋くんの人柄だと思う。


「俺、フローリストとして早く一人前になれるように頑張ります。また一緒に仕事ができるように…」


「うん、待ってる。」


そう言って僕たちは別れた。


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