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第17話 第二至上主義論者のデートー映画編ー②
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「ほう。1日で2本の映画を観るというのは、何とも豪勢だね」
「今から1つ映画を観ます。その後にお昼ご飯を挟んだ後にもう一回映画を観ます。勿論、料金は私が持つのでご安心ください」
「わかったよ。でも、奢られっぱなしというのもフェアではない。代わりに私がお昼ご飯代を払うってことで手を打とう」
「ありがとうございます」
「それで、先ずはどの映画を観るのかな?」
「一番目は、“一番人気の映画”です」
一条さんと映画を観るに当たり、私は現在放映されている映画の評判について細かくリサーチしてきた。これは初めての映画館デートである。私の観たいものと一条さんの観たいものを1つずつというアイディアもあったが、ここは無難に世間の意見を参考にさせてもらうことにした。
今の私にはまだ一条さんの好みを十分に理解できていない。そんな状態で悶々と考えた所で、導き出せる答えなど高が知れている。であるならば、先人たちの意見を参考にするのも悪くはない。そして何よりも今回は『第二至上主義』的視点を取り入れるためにも、世間一般的に人気な映画を観るのには重大な理由もある。
「ネットの幾つかの大手レビューサイトを参考に、現在放映されている映画をランク付けしたところ『ヤベンジャーズ2』という映画が一番に人気な様です」
「成程、ハリウッドの映画だね。確かに宣伝でよく見るし一番人気も頷けるね。蒔かぬ種は生えぬ。それじゃあ、早速観てみよう」
こうして我々は飲み物を購入した後、事前に買っておいたチケットを一条さんに手渡すと、彼女が一番それに続いて私が二番で劇場内へと踏み入れた。
ところで、上映前の劇場内というのはどうしてこんなにもドキドキと胸が高鳴るのであろうか。道中わいわいがやがやと無駄に話したり騒いだりすることなく、皆黙々と上映されるシアターまで歩いて行く。しんと静まり返った劇場内の階段を一歩一歩上り、自分の席を見つけたら静かに着席する。たったそれだけの動作にも関わらず、まるでこれから地球外に飛び出すロケットに乗り込むかの様な気持ちにさせられる。
とはいえ、宇宙まで旅行しに行くとまではいかなくとも“未知の場所へ行く”という点では、映画館もロケットも似ているのかもしれない。
一度劇場内は真っ暗になり、そこから徐々に暗闇が晴れていく。突然、大きなスクリーンにドンと映し出される世界は我々の住む世界に似ている様でまるで別の世界の出来事の様に見える。そう考えれば千円と少々で別世界を旅できるのだから、映画という物は素晴らしい。
「ふふ、何だかドキドキするね」
映画が始まる直前、隣に座る一条さんも私と同じ気持ちなのか私の耳元でそう囁いた。
「同感です」
「今から1つ映画を観ます。その後にお昼ご飯を挟んだ後にもう一回映画を観ます。勿論、料金は私が持つのでご安心ください」
「わかったよ。でも、奢られっぱなしというのもフェアではない。代わりに私がお昼ご飯代を払うってことで手を打とう」
「ありがとうございます」
「それで、先ずはどの映画を観るのかな?」
「一番目は、“一番人気の映画”です」
一条さんと映画を観るに当たり、私は現在放映されている映画の評判について細かくリサーチしてきた。これは初めての映画館デートである。私の観たいものと一条さんの観たいものを1つずつというアイディアもあったが、ここは無難に世間の意見を参考にさせてもらうことにした。
今の私にはまだ一条さんの好みを十分に理解できていない。そんな状態で悶々と考えた所で、導き出せる答えなど高が知れている。であるならば、先人たちの意見を参考にするのも悪くはない。そして何よりも今回は『第二至上主義』的視点を取り入れるためにも、世間一般的に人気な映画を観るのには重大な理由もある。
「ネットの幾つかの大手レビューサイトを参考に、現在放映されている映画をランク付けしたところ『ヤベンジャーズ2』という映画が一番に人気な様です」
「成程、ハリウッドの映画だね。確かに宣伝でよく見るし一番人気も頷けるね。蒔かぬ種は生えぬ。それじゃあ、早速観てみよう」
こうして我々は飲み物を購入した後、事前に買っておいたチケットを一条さんに手渡すと、彼女が一番それに続いて私が二番で劇場内へと踏み入れた。
ところで、上映前の劇場内というのはどうしてこんなにもドキドキと胸が高鳴るのであろうか。道中わいわいがやがやと無駄に話したり騒いだりすることなく、皆黙々と上映されるシアターまで歩いて行く。しんと静まり返った劇場内の階段を一歩一歩上り、自分の席を見つけたら静かに着席する。たったそれだけの動作にも関わらず、まるでこれから地球外に飛び出すロケットに乗り込むかの様な気持ちにさせられる。
とはいえ、宇宙まで旅行しに行くとまではいかなくとも“未知の場所へ行く”という点では、映画館もロケットも似ているのかもしれない。
一度劇場内は真っ暗になり、そこから徐々に暗闇が晴れていく。突然、大きなスクリーンにドンと映し出される世界は我々の住む世界に似ている様でまるで別の世界の出来事の様に見える。そう考えれば千円と少々で別世界を旅できるのだから、映画という物は素晴らしい。
「ふふ、何だかドキドキするね」
映画が始まる直前、隣に座る一条さんも私と同じ気持ちなのか私の耳元でそう囁いた。
「同感です」
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