ビターチョコデコレーション

大和滝

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愛川勉篇

7月8日 PM12-1:00

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 時計の針が真上で重なった。資料作りのためエクセルで作業していた勉は十二時になったことを確認してパソコンを閉じた。立ち上がり、髪を整えた勉はスマホをサコッシュに入れ外に出た。勉は去年あたりから健康のため休みの日は昼間に最低一時間はランニングをするようにしている。
 そよそよと流れる川、ニ、三ヶ月前までは桜が満開だった並木道り、そこをずっと通るとある池のほとりをぐるっと一周するとまた並木通りに戻ってきて、まっすぐ走り入り口に着く。これが勉のランニングコースだ。勉は大体十分おき程度で水を飲む。この日もいつも通り何気ないランニングだ。
  ◇          ◇           ◇
  同日 午後一時

 健康のために始めたランニングだけど、俺割と続いてるよな。何事に対しても長続きしなかった俺が継続してできてるのは良いことだよな。あ~、でも違うか。「逃げ」なのかな。兄貴や梨菜から逃げたんだよな。もちろんお母さんとお父さんからも。
『俺は面汚し』
 ごめんな、こんな俺で。兄貴も梨菜もまともに仕事して暮らしてるってのに俺は、あんなに厳しくしてもらったくせに、結局小さなバーのアルバイトだ。俺も期待に応えたいよ。絶対いい企業に就くから、それまで俺に猶予をください...。
 あぁ、そうだ帰りに夕飯の材料を買いに行こう。まとめ買いしたいから業務用スーパーでいいよな今回も。
 今いる場所からは対照的なデパート街に向かって歩き出した俺の脚は少しの疲れと多量の心地よさを感じている。梅雨明けの蒸し蒸しが引いて少しずつカラカラしてくる下で俺は水を片手にペースを上げていった。
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