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愛川勉篇
7月8日 AM9:00
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緑色のカーペットが敷かれた床の上に置かれた木の小机。その上にのる充電器のささったスマートフォン、テレビのリモコン、日本ホテルバーメンズ協会の教本とノートが置かれている。そのすぐ近くのベットには勉がスーフーと寝息をたてながらぐっすりと眠っている。スーと吸うたび布団が膨らみ、フーと吐くたび布団が萎む。
無地のカーテンの少しあいている隙間から陽が入り込み、勉の首元を照らす。時間も時間なので起きかけだったのか、目をぼんやりとかすめ、ゆっくりと開くと特に何かをするわけでもなくただ天井を見ている時間が流れた。
少し時間が経ち九時二十分、テーブル上のスマホからギターとドラムの音が流れ出した。これは勉が中学生の頃からずっと好きなバンドの曲だ。テーブルの上なのでスマホのバイブレーションが机に伝わり、ロックの音楽と振動の音が混じって聴こえる。
勉はムクッと体を起こしベッドから降り立って、スマホの音楽をきる。そして左手で右手首を握り「んぁ!」と思い切り伸びをする。そして伸びたままつま先立ちでシンクへ歩いて行きストンと緊張状態を解除した。
シンクのフチに置いてある歯ブラシの入ったマグカップを手に取り、歯ブラシを取ってから水を出しマグカップに入れ、歯を磨き出す。マグカップをシンクに置きのそのそと机に向かうと、テレビのリモコンをとって電源を押した。朝の報道番組が流れた。デパートの人気商品ランキングか取り上げられているが興味が湧かず、ポチポチと放送のあるチャンネルを一通り押してから再度電源ボタンを押した。静けさを取り戻す十二畳のワンルーム。勉はシンクに移動し口をすすいだ。
カップに歯ブラシをいれ定位置に戻すとそのまま冷蔵庫をあけて卵をふたつとウィンナーを一パック取り出した。
卵とウィンナーをコンロの傍に置き、鉄フライパンをコンロに設置してサラダ油を垂らして引いた。薄く白い湯気がたったのを確認し、勉はウィンナーのパックにカッターの刃を突き刺し、ピーッと刺し口を広げ、フライパンに落とした。菜箸を使って油にウィンナーを絡めるとテカテカと艶がでる。
ジュージュー、パチパチ、と音をあげながら少しずつウィンナーが膨れていくのがわかる。それを確認して勉は急いで卵を割りウィンナーの上に落とし蓋をかけた。さっきまでの音は蓋でミュートされてるとはいえ、より一層勢いを増し、透明だった白身はみるみる白く固まっていった。
蓋をかけて四十秒ほど経つと、先ほどまでの音が鳴り続く中、不意にポンと音が響いた。ウィンナーがとうとう破裂した音だ。勉はタオル越しに蓋をとると湯気が一斉に上がった。火をとめ、フライ返しで形を崩さないように皿に移した。
油っこい臭いが漂うシンク。窓からさしていた陽の光が眩しいのか上半身をグイッと曲げて避けている。皿に移した目玉焼きを机に運び、行儀良く手を合わせ、「いただきます」と唱えてから箸で食べ始める。白身の部分と脂の染み出るウインナーを一緒に食べ、黄身の部分は割れて溢れないように一口で放り込む。あっという間に無くなった目玉焼きの皿は、シンクに持っていかれ直ぐに洗剤をつけて洗われた。
勉は冷蔵庫からリンゴジュースをとりだしコップに注ぎ、座ってテレビをつけた。冷えたリンゴジュースの注がれたガラスのコップは水滴をたくさん纏っていた。
無地のカーテンの少しあいている隙間から陽が入り込み、勉の首元を照らす。時間も時間なので起きかけだったのか、目をぼんやりとかすめ、ゆっくりと開くと特に何かをするわけでもなくただ天井を見ている時間が流れた。
少し時間が経ち九時二十分、テーブル上のスマホからギターとドラムの音が流れ出した。これは勉が中学生の頃からずっと好きなバンドの曲だ。テーブルの上なのでスマホのバイブレーションが机に伝わり、ロックの音楽と振動の音が混じって聴こえる。
勉はムクッと体を起こしベッドから降り立って、スマホの音楽をきる。そして左手で右手首を握り「んぁ!」と思い切り伸びをする。そして伸びたままつま先立ちでシンクへ歩いて行きストンと緊張状態を解除した。
シンクのフチに置いてある歯ブラシの入ったマグカップを手に取り、歯ブラシを取ってから水を出しマグカップに入れ、歯を磨き出す。マグカップをシンクに置きのそのそと机に向かうと、テレビのリモコンをとって電源を押した。朝の報道番組が流れた。デパートの人気商品ランキングか取り上げられているが興味が湧かず、ポチポチと放送のあるチャンネルを一通り押してから再度電源ボタンを押した。静けさを取り戻す十二畳のワンルーム。勉はシンクに移動し口をすすいだ。
カップに歯ブラシをいれ定位置に戻すとそのまま冷蔵庫をあけて卵をふたつとウィンナーを一パック取り出した。
卵とウィンナーをコンロの傍に置き、鉄フライパンをコンロに設置してサラダ油を垂らして引いた。薄く白い湯気がたったのを確認し、勉はウィンナーのパックにカッターの刃を突き刺し、ピーッと刺し口を広げ、フライパンに落とした。菜箸を使って油にウィンナーを絡めるとテカテカと艶がでる。
ジュージュー、パチパチ、と音をあげながら少しずつウィンナーが膨れていくのがわかる。それを確認して勉は急いで卵を割りウィンナーの上に落とし蓋をかけた。さっきまでの音は蓋でミュートされてるとはいえ、より一層勢いを増し、透明だった白身はみるみる白く固まっていった。
蓋をかけて四十秒ほど経つと、先ほどまでの音が鳴り続く中、不意にポンと音が響いた。ウィンナーがとうとう破裂した音だ。勉はタオル越しに蓋をとると湯気が一斉に上がった。火をとめ、フライ返しで形を崩さないように皿に移した。
油っこい臭いが漂うシンク。窓からさしていた陽の光が眩しいのか上半身をグイッと曲げて避けている。皿に移した目玉焼きを机に運び、行儀良く手を合わせ、「いただきます」と唱えてから箸で食べ始める。白身の部分と脂の染み出るウインナーを一緒に食べ、黄身の部分は割れて溢れないように一口で放り込む。あっという間に無くなった目玉焼きの皿は、シンクに持っていかれ直ぐに洗剤をつけて洗われた。
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