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一章 花の咲く死をあなたに
EP6 信頼と利害
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11:45
学校が終わって家へと帰る。新年度早々に遅刻するところだった。時間ギリギリに息を切らせて教室に入ったものだから結構目立ってしまっただろうな。いや、まあ別に一年の時はほぼ誰とも関わらなかったから、別にこれでいじられるってことはないな。そもそもクラスメートは俺の存在を知ってただろうか。そのくらい陰薄くしてたし、知らなくて当然の俺だ。
さて、この後はコンビニにでも寄ってから、もう一度椿さんのところに行ってみよう。どうしてだろう、今は椿さんともっと話しい。これは、ただ単純に楽しいってだけの理由じゃない気がする。椿さんの考えは俺の考えと何かが共鳴している。そんな感覚を朝に感じた。だからあの感覚をもう一度、いや何度も浴びれば、もしかしたら俺の思考の枠が拡がるかもしれない。それで俺の死生観がまとまるなら、たくさん話がしたい。これを利用と言うのだろうか。いや、利害の一致だと思いたい。
そんなことを思ったら、足がドンドン軽くなって、桜並木に俺は立っていた。
ソメイヨシノの間を通り草原の丘を進む。オオシマザクラの下へ行くが、椿さんの姿が見当たらない。どこにいったんだろう。今日はずっとここにいるって、朝言っていたんだけどな。丘の上から辺りをぐるっと回したのだが、それらしい人は見当たらない。ふぅ、と溜息をついて木にもたれかけてその場に座った。
そうだよなぁ。あんなの冗談にきまってるよな。どこに偶然話があった高校生と放課後また会おうって約束する大人がいるんだよ。あんなの適当な送り台詞だったんじゃないか。なーにが「利害の一致」だよ。そうだ、そもそもあっちには利得なんてない。こうなるのは当然だな。俺一人なんかはしゃいじゃってたんだな。
「馬鹿馬鹿しいな、俺」
背もたれをドンドン滑らせていたらついに視点は三分咲きの桜と少しの青だけになった。
「なーにが?」
ヌッと視点に紙の長い女性の顔がうつる。
「ウワァ!」
俺は飛び起きた。「おぉ」椿さんは手を挙げてリアクションをとった。
「おかえり」
「ただいまです。じゃなくて、どこいたんですか⁉︎」
「え、走馬と同じことしてたよ?」
「俺と同じこと?」
「うん。そこのあったかいとこで大の字で日向ぼっこ。あー、走馬は日陰ぼっこだねそこは、もしやインキャってやつだね?」
椿さんは揶揄って笑う。その様子には怒りよりも安堵を覚えた。
「あれ、突っかかってこないね。この短時間で急に大人になっちゃった?」
「いやいや、椿さんがいたことになんかホッとしてるんですよ。て、おかしいですね。朝会っただけの人とまた会えただけで嬉しいなんて。」
椿さんはそれに対して頷きながら「ほんと、おかしいよね。」と言う。
「おかしいよやっぱり。こんな知らないお姉さんの言葉を真に受けて、話にくるなんてさ~。わたしが悪いお姉さんだったらどうしてたのさ。」
割とちゃんとした説教に笑みがこぼれた。
「お姉さんか、まあ若いですものね。」
「ちょっとちょっと、皮肉でも言ったつもり?全然腹たつやつだよ。」
「さっきの仕返しです。まだまだ子供ですから。」
椿さんはしてやられた顔をして苦笑をした。
「それと、椿さんは悪いお姉さんじゃないってなんとなく思いましたから。自分の危機管理はできている方だと思います。」
「ん~、まあそれもそっか」
俺と椿さんは一息ついて座った。
「なんかお腹すいたね。」
「あ、コンビニ行きます?俺も昼まだなので。」
「コンビニ‼︎」椿さんは目を輝かせた。
「行こう!コンビニ!」
「あ、はい。」
俺と急にテンションのあがった椿さんは立ってコンビニに向かった。
学校が終わって家へと帰る。新年度早々に遅刻するところだった。時間ギリギリに息を切らせて教室に入ったものだから結構目立ってしまっただろうな。いや、まあ別に一年の時はほぼ誰とも関わらなかったから、別にこれでいじられるってことはないな。そもそもクラスメートは俺の存在を知ってただろうか。そのくらい陰薄くしてたし、知らなくて当然の俺だ。
さて、この後はコンビニにでも寄ってから、もう一度椿さんのところに行ってみよう。どうしてだろう、今は椿さんともっと話しい。これは、ただ単純に楽しいってだけの理由じゃない気がする。椿さんの考えは俺の考えと何かが共鳴している。そんな感覚を朝に感じた。だからあの感覚をもう一度、いや何度も浴びれば、もしかしたら俺の思考の枠が拡がるかもしれない。それで俺の死生観がまとまるなら、たくさん話がしたい。これを利用と言うのだろうか。いや、利害の一致だと思いたい。
そんなことを思ったら、足がドンドン軽くなって、桜並木に俺は立っていた。
ソメイヨシノの間を通り草原の丘を進む。オオシマザクラの下へ行くが、椿さんの姿が見当たらない。どこにいったんだろう。今日はずっとここにいるって、朝言っていたんだけどな。丘の上から辺りをぐるっと回したのだが、それらしい人は見当たらない。ふぅ、と溜息をついて木にもたれかけてその場に座った。
そうだよなぁ。あんなの冗談にきまってるよな。どこに偶然話があった高校生と放課後また会おうって約束する大人がいるんだよ。あんなの適当な送り台詞だったんじゃないか。なーにが「利害の一致」だよ。そうだ、そもそもあっちには利得なんてない。こうなるのは当然だな。俺一人なんかはしゃいじゃってたんだな。
「馬鹿馬鹿しいな、俺」
背もたれをドンドン滑らせていたらついに視点は三分咲きの桜と少しの青だけになった。
「なーにが?」
ヌッと視点に紙の長い女性の顔がうつる。
「ウワァ!」
俺は飛び起きた。「おぉ」椿さんは手を挙げてリアクションをとった。
「おかえり」
「ただいまです。じゃなくて、どこいたんですか⁉︎」
「え、走馬と同じことしてたよ?」
「俺と同じこと?」
「うん。そこのあったかいとこで大の字で日向ぼっこ。あー、走馬は日陰ぼっこだねそこは、もしやインキャってやつだね?」
椿さんは揶揄って笑う。その様子には怒りよりも安堵を覚えた。
「あれ、突っかかってこないね。この短時間で急に大人になっちゃった?」
「いやいや、椿さんがいたことになんかホッとしてるんですよ。て、おかしいですね。朝会っただけの人とまた会えただけで嬉しいなんて。」
椿さんはそれに対して頷きながら「ほんと、おかしいよね。」と言う。
「おかしいよやっぱり。こんな知らないお姉さんの言葉を真に受けて、話にくるなんてさ~。わたしが悪いお姉さんだったらどうしてたのさ。」
割とちゃんとした説教に笑みがこぼれた。
「お姉さんか、まあ若いですものね。」
「ちょっとちょっと、皮肉でも言ったつもり?全然腹たつやつだよ。」
「さっきの仕返しです。まだまだ子供ですから。」
椿さんはしてやられた顔をして苦笑をした。
「それと、椿さんは悪いお姉さんじゃないってなんとなく思いましたから。自分の危機管理はできている方だと思います。」
「ん~、まあそれもそっか」
俺と椿さんは一息ついて座った。
「なんかお腹すいたね。」
「あ、コンビニ行きます?俺も昼まだなので。」
「コンビニ‼︎」椿さんは目を輝かせた。
「行こう!コンビニ!」
「あ、はい。」
俺と急にテンションのあがった椿さんは立ってコンビニに向かった。
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