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No.29 年賀状・直美のお年玉の真実

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学校では、クリスマス・冬休みの話、どこからともなく聞こえてきた。

「靴下ぶら下げる?」「枕の下にメッセージ書いておく」・・・・・

学校行事はほぼ終わり、冬休みのみとなっていた。

そう、直美には、「イベント」は、ないのである。12月は誕生日なのに・・・・・

イベントが来るたびに、心はどんどん固まっていく直美なのである。



その場には入れず、俯いていた休み時間。5時限目の音楽では「あわてんぼうのサンタクロース・ジングルベル」を、歌った。

歌は大好きだから、クリスマスの曲でも、楽しい授業になった。

直美の家は、クリスマス・イブも、クリスマスも、特に何もなく、日常だ。

12月26日終了式を迎え、冬休みになる。



住所を聞いていたクラスメイトには、年賀状を送るので、まずは、宛名を書く。そして、イラストは下手なので、「あけましておめでとう。今年もよろしく。二年生も楽しくすごそう」と、言葉を書いた。





書道教室は、朝の時間に変更になる。そして、6級を合格し、5級を目指しているところだった。

休み中に、色鉛筆などの補充や、足りないノートの補充をしなければならないが、母には言えない。

そして、30日、窓ふきの大掃除を手伝う直美、父はどこかへ出かけてしまう、父に対してイライラしている母。"今日に始まったことではない"と、直美は感じ取っている。



直美「窓ふき終わったよ、あと、どこ拭く?」

母「あー、終わったらいい、昼にしようか」

塩おにぎりを握り、一緒に食べた。とてもおいしかった。

母は、衣類・雑貨の整理をして、あっという間に一日は終わった。



そう、お正月なのだが、これもまた、関係ないのである。

「年・月、の数字が変わるだけ」という父の考え、「お年玉は生活費から出すから、交換するだけの生活費だ」という、母の考え、直美は反抗することはしなかった。間違ってないし、何といっても、ごちゃごちゃ言われるのが一番いやだからだ。自分さえ我慢すれば事は収まる。そう、言い聞かせるしかほかなかったのだ。

親戚のお年玉袋に名前を書くのは、直美だ。

機嫌がいい時、トランプ・かるた、で遊んだ。妹は、1歳を迎える。

大晦日、除夜の鐘を待つことなく寝てしまう直美、静かに、年明けを迎えることとなる。







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