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四人で挑む、初めての連携戦
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訓練6日目の朝。
教室に入るとすでに皆が集まっており、静かな緊張感が漂っていた。
今日は、初めての「連携戦」が行われる日だ。
教官のオルドが教室前方に姿を見せると、自然と全員の背筋が伸びた。
「今日の訓練は四人一組での連携戦だ。お前たち四人はそのまま組んで挑んでもらう。中型モンスターに対する連携を試すぞ」
この場にいるのは、私、カイル、エルマー、そしてボルド。
つまり、選択の余地などない。
だけど……逆にそれがよかったのかもしれない。
オルドが転移用の指輪を起動し、足元に魔方陣のような光が広がる。
「では移動する。覚悟しておけ」
一瞬の浮遊感ののち、私たちは養成所内の別区画、連携訓練用の地下演習場に到着した。
昨日と似たようなドーム型の広場だが、空間はさらに広く、中心部にはひときわ大きな模擬モンスターが佇んでいた。
それは、ドームの魔力で生成された“模擬”とは思えないほどの迫力。
二本足のトカゲに似た姿、鋭い爪と分厚い尻尾を持つ中型種だ。
「これは《尾打ちのレサック》という模擬個体だ。動きは鈍いが、尻尾の一撃は重い。気を抜くな」
教官の説明に、私たちはそれぞれ頷き合った。
「じゃあ俺がいくぞ!」
誰よりも早く前に出たのは、もちろんカイルだった。
だがその直後……
「うおっ!? 足が……あっぶなっ!!」
気合いの入りすぎで、前傾になった体勢からつま先を滑らせ、カイルは地面に両手をついてズルリと滑る。
ちょうどそこにボルドが手を差し伸べ、彼を止めてくれた。
「焦るな、カイル。最初は俺が前に出る」
「わ、悪ぃ……頼む!」
ボルドが前へと進み、巨大な盾を構えてレサックの注意を引く。
ドスン、という音とともに尻尾が振り下ろされるが、盾は見事にその一撃を受け止めた。
「今だ、カイル!」
背後からエルマーが鋭く指示を飛ばす。
「おうっ!」
カイルが駆け出し、剣を振る――が、振りが大きすぎてレサックの脇をかすめてしまった。
「うわっ、惜しいっ!?」
「落ち着け。次は正面からいくぞ」
エルマーが片手を前に突き出し、詠唱を短く終えると、光の弾がレサックの脚を打った。
バランスを崩しかけた敵に向かって、カイルが再び剣を振る。
「せいっ!」
命中。
一瞬だけだが、確かな衝撃が走ったのが見えた。
(カイル……やればできるんだ)
私は後方で矢を番え、タイミングを見計らって狙いを定める。
(よし、今なら……!)
レサックの肩口を狙い、矢を放つ。
矢は弧を描いて飛び、見事に命中。
模擬モンスターがぐらついた瞬間、ボルドの追撃が決まり……
レサックは霧のように霧散した。
静かになった広場に、私たちは息をつきながら顔を見合わせる。
「……勝った、のか?」
「……ああ。やっと、な」
「俺、ちょっと当てたぞ! 見た!? レイナ!」
「うん、すごかったよ、カイル。ちゃんと決まってた」
「だろ~! っていうか俺、今日はけっこう役に立ってなかったか!?」
「まあ……昨日よりはな」
エルマーの冷静な返しに、カイルは「えーっ」と言いながら肩をすくめた。
でも、確かに今回はうまく連携できた。
ぎこちないながらも、私たち四人で敵を倒したという達成感がそこにあった。
教官がゆっくりとこちらに近づく。
「……まあ、合格点だ。多少のドジは目をつぶってやる」
その一言が、少しだけ誇らしくて。
私たちは静かに笑い合った。
教室に入るとすでに皆が集まっており、静かな緊張感が漂っていた。
今日は、初めての「連携戦」が行われる日だ。
教官のオルドが教室前方に姿を見せると、自然と全員の背筋が伸びた。
「今日の訓練は四人一組での連携戦だ。お前たち四人はそのまま組んで挑んでもらう。中型モンスターに対する連携を試すぞ」
この場にいるのは、私、カイル、エルマー、そしてボルド。
つまり、選択の余地などない。
だけど……逆にそれがよかったのかもしれない。
オルドが転移用の指輪を起動し、足元に魔方陣のような光が広がる。
「では移動する。覚悟しておけ」
一瞬の浮遊感ののち、私たちは養成所内の別区画、連携訓練用の地下演習場に到着した。
昨日と似たようなドーム型の広場だが、空間はさらに広く、中心部にはひときわ大きな模擬モンスターが佇んでいた。
それは、ドームの魔力で生成された“模擬”とは思えないほどの迫力。
二本足のトカゲに似た姿、鋭い爪と分厚い尻尾を持つ中型種だ。
「これは《尾打ちのレサック》という模擬個体だ。動きは鈍いが、尻尾の一撃は重い。気を抜くな」
教官の説明に、私たちはそれぞれ頷き合った。
「じゃあ俺がいくぞ!」
誰よりも早く前に出たのは、もちろんカイルだった。
だがその直後……
「うおっ!? 足が……あっぶなっ!!」
気合いの入りすぎで、前傾になった体勢からつま先を滑らせ、カイルは地面に両手をついてズルリと滑る。
ちょうどそこにボルドが手を差し伸べ、彼を止めてくれた。
「焦るな、カイル。最初は俺が前に出る」
「わ、悪ぃ……頼む!」
ボルドが前へと進み、巨大な盾を構えてレサックの注意を引く。
ドスン、という音とともに尻尾が振り下ろされるが、盾は見事にその一撃を受け止めた。
「今だ、カイル!」
背後からエルマーが鋭く指示を飛ばす。
「おうっ!」
カイルが駆け出し、剣を振る――が、振りが大きすぎてレサックの脇をかすめてしまった。
「うわっ、惜しいっ!?」
「落ち着け。次は正面からいくぞ」
エルマーが片手を前に突き出し、詠唱を短く終えると、光の弾がレサックの脚を打った。
バランスを崩しかけた敵に向かって、カイルが再び剣を振る。
「せいっ!」
命中。
一瞬だけだが、確かな衝撃が走ったのが見えた。
(カイル……やればできるんだ)
私は後方で矢を番え、タイミングを見計らって狙いを定める。
(よし、今なら……!)
レサックの肩口を狙い、矢を放つ。
矢は弧を描いて飛び、見事に命中。
模擬モンスターがぐらついた瞬間、ボルドの追撃が決まり……
レサックは霧のように霧散した。
静かになった広場に、私たちは息をつきながら顔を見合わせる。
「……勝った、のか?」
「……ああ。やっと、な」
「俺、ちょっと当てたぞ! 見た!? レイナ!」
「うん、すごかったよ、カイル。ちゃんと決まってた」
「だろ~! っていうか俺、今日はけっこう役に立ってなかったか!?」
「まあ……昨日よりはな」
エルマーの冷静な返しに、カイルは「えーっ」と言いながら肩をすくめた。
でも、確かに今回はうまく連携できた。
ぎこちないながらも、私たち四人で敵を倒したという達成感がそこにあった。
教官がゆっくりとこちらに近づく。
「……まあ、合格点だ。多少のドジは目をつぶってやる」
その一言が、少しだけ誇らしくて。
私たちは静かに笑い合った。
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