倒れていた自称王子様を助けたら異世界を行き来する溺愛生活が待っていました

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甘い薬と、香ばしいスープ

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 少年に二本目を渡し、それを食べ終えたのを確認すると、私は粉薬とミネラルウォーターの飲み方を丁寧に説明してから、それぞれを手渡した。

 どうやら彼の世界には、ペットボトルというものは存在しないらしい。

 少年は不思議そうにそれを見つめながらも、少し水を口に含み、上を向いて粉薬を一気に流し込んだ。

 途中、驚いたような表情を浮かべたけれど――ごくん、と喉を鳴らし、薬を無事に飲み下したようだった。

「こんなに……甘い薬を、口にしたのは初めてだ」

 彼がぽつりとつぶやく。

「こっちの世界では、子ども向けの薬はね。果物の味とかに似せて、甘く作ってあるの。飲みやすいようにって配慮だよ」

 私は笑いながら説明し、続けて言った。

「薬が効くまでには、少し時間がかかると思う。私は隣の部屋にいるから、よかったらベッドで横になってて」

 そう言い残し、私は立ち上がってキッチンへと移動した。

 もう我慢できなかった。醤油ラーメンが私を呼んでいる。

────────

 電気ケトルに水を入れ、スイッチを押す。

 醤油ラーメンの準備開始。フタを点線まで開け、中から小袋を取り出して、説明通りに具やスープをカップに入れる。フタを閉じたら、後入れかやくをその上に乗せて、重し代わりに。

 しばらくして、ケトルからお湯が沸いたことを知らせる音が響いた。

 私はさっそくお湯を注ぎ、スマホのタイマーを起動。あとは完成の時を待つばかり。

 タイマーが一定のリズムで震え始める。時間がきた。

 フタを剥がし、後入れかやくをカップに投入。箸で軽く混ぜて――よし、完成。

 ああ、美味しそう。少年を起こさないよう、小さな声でつぶやく。

「いただきます」

 ふぅふぅと息を吹きかけながら、熱々の麺を口に運ぶ。

 ……美味い。美味すぎる。醤油の香ばしさと、ちぢれ麺の食感がたまらない。

 一口、二口と夢中で食べ進めていると――

 ガチャリ。

 え? 突然ドアの開く音に、私は驚いて顔を上げた。

 そこには、先ほどよりも顔色がずいぶん良くなった少年の姿が立っていた。

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