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揺らぎのなかで
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【王宮・書架の間】
私は王太子妃として、既に王家の者として、揺れてはいけない立場にある。
けれど――
今日もまた、耳に入ってしまったのだ。
“王太子が、夜ごと別の令嬢と逢っている”などという、ありもしない噂。
信じている。あの人が、そんな人ではないことくらい。
誰よりも真っ直ぐで、誰よりも誠実な方だということを、私は知っている。
だけど。
(なぜ……こんなにも、胸が痛むの)
私は王妃としての器を問われているのだろうか。
王妃教育で学んだ礼儀も、教養も、知識も、すべてを駆使してもなお――
感情までは、どうにもならなかった。
(……アラン様。どうか、どうか)
私は静かに扇を閉じた。
この手に残されたぬくもりだけを、心に抱いて。
私は王太子妃として、既に王家の者として、揺れてはいけない立場にある。
けれど――
今日もまた、耳に入ってしまったのだ。
“王太子が、夜ごと別の令嬢と逢っている”などという、ありもしない噂。
信じている。あの人が、そんな人ではないことくらい。
誰よりも真っ直ぐで、誰よりも誠実な方だということを、私は知っている。
だけど。
(なぜ……こんなにも、胸が痛むの)
私は王妃としての器を問われているのだろうか。
王妃教育で学んだ礼儀も、教養も、知識も、すべてを駆使してもなお――
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(……アラン様。どうか、どうか)
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