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撃退
しおりを挟む「っ!!」
避けられない!と、思った時にはもう腕に痛みが走っていた。
「ぅぐ」
「リアナ!!」
駆け寄ってくるバルさんが狼を払って、宙から取り出した布で傷口を押さえる。致命傷にはならなかったけど、赤い染みが広がって、さらに痛みを強く感じた。
泣きそうになりながらも、バルさんから布を受け取り血が止まるように、力を込めて押さえる。
唇を噛み締めて痛みに耐えながら、周囲を警戒する。一匹が襲ってきたということは次もあるはず。
だけど、ふとバルさんの気配が変わった気がした。
「……?」
隣にいた彼を窺うと、わずかに口角を上げていた。それはどこか危うい雰囲気があって……声をかけるのも憚られる。
一歩踏み出すバルさんが、手の平を胸元に近づけたかと思えば──次の瞬間、金色の光が集まった。それは大きな輝きとなっていく。
彼は、そのまま空へと掲げた。
同時にキンッと高い音が響いて、光が空に掛け昇る。高い位置でパッと花開くように紋章が展開した。
かと思えば、それが砕けて雨のように降り注ぐ。あまりに眩しくて、つい手で目元を遮った。
「っ……!!」
私には眩しいだけだったけど、狼にはダメージが入っていた。ギャインッ!と聞こえて薄く目を開いたら、降り注ぐ光が刃のように狼の体に切り傷を作っていっていた。
鳴き声を上げながら、森に逃げ込む。そこをさらに追い討ちをかけるつもりか、バルさんがまた手元に光を集めた。
それにギョッとする。そこまでする必要はない。驚いたまま、思わずバルさんにしがみついた。
「バルさん!」
「!」
ハッとした顔で私を見る。狼たちはもう森に引っ込み、こちらを窺いながらも、襲うことは出来ないと断念したようだ。
そこからすぐ迷っていた狼たちが一頭二頭と減っていき、最後の数匹がいなくなったら完全に静まり返った。
思わず力が抜ける。ヘナヘナと座り込んだら、バルさんが顔を覗き込んできた。
「大丈夫かい?」
サラッとした金色の髪を揺らして、頭を傾けている。周囲の薄暗さと相まって普段の翡翠色の瞳は、深緑色へと陰っていた。じっと見返していたら、足音がして視線を向ける。
ちょうど反対から、ルナさんが小走りで近づいてくるところだった。
「バル、リアナ。二人とも無事のようだな。追い払ってくれたのはバルか?」
「ああ。だがリアナが怪我をしてしまった。すまない」
「気にしないでください。たいした怪我では……っい」
傷がズキッとする。早いところなんとかしないと、と思っていたら声をかけられた。
先程の夫婦がお礼がてら、傷を見ると。
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